シリーズ形式でお伝えしているオウンドメディア業界別事例。今回は、スポーツ・アウトドア関連のオウンドメディアを紹介します。同じ業界の方も、まったくの別業界の方も、自社のオウンドメディアに活用出来るポイントをぜひ見つけてください。
人生をより豊かにするものだからこそ、メディアで「スポーツ・アウトドアを楽しむきっかけづくり」を
業界別事例第1回では「インテリア・雑貨」業界を取り上げ、第2回では「アパレル」業界を取り上げて紹介しました。第3回は「スポーツ・アウトドア」業界です。 メディアの用途としては大きく2種類想定されて、
- すでにスポーツやアウトドアに関わりがある人にファンになってもらうため
- まだスポーツやアウトドアと接点の無い人が興味を持つきっかけを作る
などが考えられるでしょうか。
スポーツ・アウトドアにまつわるオウンドメディア事例4選
では、具体的に事例を見ていきましょう。
①「SPORTS FIRST MAG」( https://sportsfirst.jp/ )
株式会社ゴールドウインが運営している、「スポーツを一番に考え、スポーツが持つ素晴らしい魅力を独自の視点でお客様に伝えていく」をコンセプトとして生まれたオウンドメディアです。
◆コンテンツ
・「PEOPLE」(いつからかスポーツが一番になった)
スポーツに熱意を傾ける人のライフスタイルに迫ったインタビュー記事です。特徴は、なんといってもインタビュー対象が全員ゴールドウイン社員の方であること。社員さんからスポーツ愛が存分に伝わってきます。
・ 「SPOTLIGHT」(注目のモノやコトを実現した想い)
スポーツショップやイベント、スポーツにまつわる製品開発に携わる方にお話を聞いているコンテンツです。
・ 「KNACK」(スポーツを楽しむコツ)
アスリートフードマイスター直伝のスムージーの作り方からランニングをする際の靴下の選び方まで、体作りやスポーツを楽しむためのコツが載っています。
・ 「NEWS」(イベント、製品情報)
ゴールドウインが関わっているイベント情報の発信が中心です。
◆コンバージョン
おすすめの記事の表示がメインで、特に会員登録やオンラインショップへの導線はありません。イベントに関しても、電話や店頭で申し込みをするものがほとんどのようです。
◆ 会員登録の導線
オウンドメディアに会員ページなどは設けていません。オンラインショップでは、会員登録すると送料無料やポイントを溜めてお買い物に使える特典があります。会員に送られるメールマガジンでは、契約をしているプロフェッショナル・アスリートのウエア着こなし方法などの情報も掲載されているようです。
◆ ソーシャルメディア(SNS)の利用状況
FacebookとYoutubeのアカウントを運用しています。Facebookでは、SPORTS FIRST MAG の更新情報をお知らせしています。Youtubeではスムージーの作り方の動画が公開されています。
◆一言コメント
社員の方へのインタビューから垣間見えるように、スポーツ好きが集いスポーツのことを一番に考え商品開発を行っているゴールドウインの姿勢が垣間見えるオウンドメディアです。
②コナミメソッドまとめ( https://method.konamisportsclub.jp/ )
株式会社コナミスポーツクラブが運営するオウンドメディアです。
◆ コンテンツ
「コナミが教える正しい運動のコツ」というサブタイトルどおり、プロアスリートが登場するお手本動画を用いて、バク転・鉄棒・倒立・平泳ぎなどのコツがわかりやすく解説されています。 親子で練習するときに、親が子どもにどのようにコツを教えるべきかを画像を用いて載せている点も親切です。スポーツだけでなく、腰痛対策・肩こり対策・お腹痩せ・二の腕痩せのための運動も同じく解説されているので、体質改善やシェイプアップ目的でジム通いを考えている女性にも訴求できる内容になっています。
◆コンバージョン
関連サイトとして、「お子様をスイミングスクールに通わせたい方」「お子様を体操スクールに通わせたい方」「フィットネスクラブで運動したい方」の3バナーが表示され、リンク先はコナミスポーツクラブのカリキュラム内容や費用の紹介ページになっています。
◆会員登録の導線
コナミメソッドまとめに会員ページなどは設けていません。健康グッズやサプリメントなどを販売しているオンラインショップでは会員組織があり、登録するとお得な価格で買い物ができたり、サプリメントの定期配送サービスを受けられるようになるようです。
◆ソーシャルメディア(SNS)の利用状況
コナミメソッドまとめ専用のアカウントは持っていませんが、コナミスポーツクラブ全体としてFacebookとYoutubeのアカウントを持っています。Facebookは新店オープン情報、お得なキャンペーン情報、サッカースクール開催のお知らせなどがメインです。一方、Youtubeではコナミメソッドまとめ内で紹介されている動画や1分間でできる体を引き締めるエクササイズ術の動画がアップされています。
◆一言コメント
子どもに体操や水泳を習わせたい親と体を引き締めたい女性の2層をターゲットにしてオウンドメディアが運営されています。所属している体操の内村選手など、有名選手が動画に登場しているのも魅力的です。また「クロール コツ」「平泳ぎ コツ」「倒立 方法」などのキーワードで検索結果1位(2017年2月現在)に表示されています。ユーザーの検索意図にも沿ったコンテンツ群になっているようです。
③JINS-MEME.FIT( https://jins-meme.fit/ )
メガネ・アイウエアブランドのJINSでおなじめのジェイアイエヌ株式会社が運営しているオウンドメディアです。同社が発売しており、メガネ+アプリで動きスポーツシーンなどでよく使われている、JINS MEMEという商品に付随したオウンドメディアになります。
◆コンテンツ
・ 「METHOD」
「セルフエクササイズで『ゆがみ』を解消しタイプアップを狙う」「“前かがみ”を改善するトレーニング」など、ランナーが知っておきたいノウハウが動画を用いて解説されています。
・「PEOPLE」
ランナーがどのようなトレーニングをしているか、JINS MEMEをどのように使いこなしているのかについて聞いたインタビュー記事です。
・REPORT
JINSが主催・コラボレーションして開催したイベントの様子がレポート形式でまとめられています。フルマラソン参加者の専属トレーニングなども催しているようで、正しいフォームを身に付けてより早く走りたいと思うランナーには興味深い内容になっています。
◆ コンバージョン
TOPページや各記事のサイドバナーに、常に「JINS MEME」商品ページのバナーが設置されてあります。また、「REPORT」記事のコンバージョンポイントは試走会やプライベート・レッスンなどの「J!NS MEME RUN CLUB」ページになっています。
◆会員登録の導線
「JINS-MEME.FIT」やJINS-MEMEの製品ページに会員制度は設けていません。JINS全体のオンラインショップでは、メールマガジン会員やオンラインショップ会員制度があり、お買い物特典やアフターサービスが充実しています。
◆ ソーシャルメディア(SNS)の利用状況
FacebookとTwitterのアカウントを持っており、「JINS-MEME.FIT」の更新情報やプレスリリースの発信をしています。
◆参考URLなど
1つの商品のためのオウンドメディアというのもなかなか珍しいです。ただ、ランニング関連のコンテンツに絞っているからこそ、JINS MEMEがターゲットにしているランナーから支持を集めています。記事を読んで終わりではなく、リアルな場でのイベントを充実させており、そこへ至る導線としてオウンドメディアを活用している点も秀逸です。 また、ブルーライトカット機能を持つことでビジネスマンを中心によく使われているJINS SCREENの商品特設サイトでは、自分に合う眼鏡を診断できるアンケートや、ユーザーや専門家にJINS SCREENの効果について聞くインタビュー記事が載っています。
④ ニューバランス株式会社( https://www.newbalance.co.jp/ )
スポーツシューズメーカーとして絶大な支持を集める株式会社ニューバランスジャパンは、NB RUNNERS、BETAMAG、NB RUNNING COLUMNなど複数のオウンドメディアを運営していますが、ここではNB RUNNERSについてご紹介します。
◆コンテンツ
ランナー向けのオウンドメディアです。ランニングを楽しむ人がいつからランニングを始めたのか、どのような気持ちで走っているのかといった姿を追う取材記事から、マラソンイベントや試着会の紹介記事、商品の開発秘話まで幅広く掲載しています。どの記事にも写真が多用されていることも特徴で、ランナーの躍動感やニューバランス商品のスタイリッシュさが際立ちます。
◆ コンバージョン
記事内でランナーが身に付けている商品をレコメンドとして紹介しており、リンク先はオンラインショップの商品ページになっています。
◆会員登録の導線
NB RUNNERSに会員ページなどは設けていません。オンラインショップで会員組織があり、登録をするとバースデークーポンのプレゼントや会員限定セールの案内がメールマガジンで届くようです。
◆ ソーシャルメディア(SNS)の利用状況
NB RUNNERS 専用ではありませんが、ニューバランス全体としてFacebook、Twitter、Instagram、LINEのアカウントを運用していますFacebookでは、商品の案内ではなく、契約アスリートの試合情報やイベントの告知などが主に発信されています。以前、シューズ「574」のプロモーションとして、同商品のファンである44人のクリエイターの動画がリレー形式でアップされる企画も実施されました。
◆参考URLなど
ニューバランスのマーケティングやオウンドメディア運営の詳細については、こちらの記事でも紹介されています。ぜひご覧ください。
- 「自社から発信するあらゆるものをオウンドメディアと捉える「拡散型マーケティング」~ ニューバランス ジャパンのオウンドメディア活用インタビュー」
- 「ニューバランス、試行錯誤で導き出した動画マーケティングの解とは」
インタビューやイベントレポートなど生の声・情報で魅力を伝えることが重要
スポーツ・アウトドア業界のオウンドメディアにおいては、運動することのメリットやスポーツがどれだけ日々を豊かにするのかということを伝えることが重要です。そのためには、今すでにスポーツを楽しんでいる人のリアルな声を届けたり、開催されたイベントの様子を写真も交えて伝えることが効果的でしょう。ゴールドウィン社の事例のように、社員自らが語るコンテンツも素晴らしいと思います。コンテンツは「身近」にあるという良い事例です。 厚生労働省実施の平成27年国民健康・栄養調査結果の概要によると、20歳以上の日本人のうち運動習慣のある者は男性37.8%、女性27.3%しかおらず、特に20代の運動不足が深刻なようです。(※「運動習慣」の定義は1回30分以上の運動を週2回以上実施し、1年以上継続している者) 出典:厚生労働省 平成 27 年国民健康・栄養調査結果の概要 PCやスマートフォンを利用する時間が増えている現代において、体を動かす時間が圧倒的に足りていないとも言えるでしょう。だからこそ、何かしら自分の健康不安や運動不足を感じたときに、体を動かしてみようと思ってもらえるキッカケを作り、将来のブランドファンを増やしていくことが重要になるのではないでしょうか。
その他の成功事例も知りたい方はこちら
業界別のオウンドメディア成功事例まとめ
コンテンツ制作の基本的な考え方から、実際に活用している企業の成功事例まで、「オウンドメディア」がよくわかるミエルカブログの記事をまとめました。 おわり
著者PROFILE
SFA導入コンサルからCRMベンダーのセールスに転身し、営業マネージャーに。その後Faber Company営業部長を経て、マーケティングを担うIMC部を設立。現在は執行役員として、ミエルカのプロダクトマネージャーやセミナー登壇などの活動をメインに行っている。
■ 講演実績:マーケティングアジェンダ/日経クロストレンドForum 他■Twitter:@tsuuky09