これからWebマーケティングをやりたいと考えている人の中には「自分はWebマーケティングの仕事に向いているか」と思われる方もいるのではないでしょうか。本記事では長年事業会社でWebマーケターとして働いてきた筆者が、Webマーケティングに向いている人・向いていない人の特徴や、未経験の方がWebマーケティングを仕事にするためのプロセス、具体的な職種や業務内容などをわかりやすく解説します。
目次
Webマーケティングに向いている人の特徴8選
事業会社で15年マーケターとして働く中で、様々なタイプの人を見てきましたが、筆者の経験上、「この能力がある人はWebマーケティングに向いている」と考える8つの特徴を紹介します。
いずれの能力も自分で強み弱みを認識し意識していくことで、徐々に伸ばしていくことができます。大切なのは、自分自身の特徴を把握し、強みを活かし、弱みをカバーしていくことです。
Webマーケティングには様々な仕事があるため、自分の特徴を活かした仕事をすることも重要と言えます。
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ロジカルシンキングが得意で結果にこだわれる人
Webマーケティングの仕事では、原因と結果に法則性を見出すロジカルシンキングの考え方が重要です。マーケティングは最初から解決する方法が用意されている訳ではなく、自分自身で今起きている結果から原因を特定し解決方法を見出す力が求められます。
例えば、CVや流入数の大きな減少といった想定外の事態に対して、「なぜ減少しているのか」、「何を・どうすれば改善できるか」といった結果と原因の分析、解決方法をロジカルに考えることができれば、起きている事象に対してクリティカルに改善効果のある施策を考えられる確率が上がるためです。
経営者や上司ともロジカルに現在の状況や今後の戦略を話し合うことが多いため、マーケティング戦略を立案し、チームで実行していく上でもロジカルシンキングが求められます。
数字やITに興味関心がある(抵抗感がない)人
Webマーケティングの業務では、施策の改善やデータ分析など、あらゆる場面で数字に向き合います。CVR(コンバージョン率)やROI(投資収益率)、ROAS(広告の費用対効果)などの計算式を理解し、正しく使いこなす必要があるため、数字に抵抗感がない人に向いています。
また、パソコン操作にも慣れている必要があり、エクセルなどの表計算ソフトやMAツール、アクセス解析ツールなども駆使して業務を行います。IT知識に興味関心がある人、抵抗感がない人に向いていると言えるでしょう。
多角的視点や好奇心を持ち、変化に対応できる人
Webマーケティング領域では、新しい技術やサービスが次々と生まれ、業界を取り巻く環境に日々変化が起きています。たとえばSEOを例にすると、Googleのコアアップデートにより、検索順位の変動が日常的に発生したりします。
Webマーケティングの仕事で継続的に結果を出すには、このように日々起きる変化に対応しつづける必要があります。そのためには、既存の成功体験にとらわれない多角的な視点や、業務に関連する最新の知識をアップデートし続ける好奇心が求められます。
失敗を恐れず粘り強く行動できる人
Webマーケティングの仕事では、一般的に「仮説策定→実施→効果測定→施策の改善」というプロセスをスピーディに回しながら、成果を高めていく手法が取られます。理由としては、100%成功する施策はない上に、状況や市場の変化によって成功パターンも変わってくるためです。
そのため、失敗を恐れず、満足いく結果を得られるまで粘り強く何度も行動を継続できる資質が不可欠です。
人の行動や心理に興味関心がある人
Webマーケターの仕事には、消費者の行動心理を理解し、それに基づいて効果的な施策を考えることも含まれます。なぜならば、消費者のニーズや悩みを理解することで、消費者に響く訴求やコンテンツを作成し、心を動かすことで、商品やサービスの購買などの結果につながりやすくなるためです。
以上の理由から、心理学に興味がある人や人の気持ちに寄り添える人は、顧客のニーズを的確に捉え、成果を生み出しやすいと考えられます。
ひとつの物事に没頭できる人
Webマーケティングの業務には、データ分析や仮説検証など、地道かつ集中力を要する作業が多く含まれています。1日中、Excelでデータを加工して分析したり、SEOのためのキーワード調査や、上位表示しているコンテンツを見続けるなんてこともあります。
こうした理由から、ひとつの物事に没頭できる人もWebマーケティング担当者としての1つの素養を持っていると言えます。
コミュニケーション力がある人
Webマーケティングの仕事はヒトと関わらないと誤解されがちですが、ヒトとのコミュニケーションが頻繁に発生します。
たとえば、実施する施策の相談や進捗報告などのために、クライアントや上司などとの対話が必要です。また、クリエイティブの改善に際しては、他部署や外注ライター・デザイナーなどと連携を図ることも多いです。システムの改善が伴う施策ではエンジニアとチームを組むこともあります。
こうした事情から、スムーズかつ的確に要件を聞き出せる・伝えられるコミュニケーション力があると関係者とうまく仕事を進めることに有利です。どんな施策も実施されなければ絵に描いた餅でしかありません。
商売やビジネスの肌感がある人
Webマーケティングは、顧客ニーズや市場動向を踏まえて施策を実施し、数字で結果を生み出すことが重要視される仕事です。そのため、小さい規模でも自分で商売をやったことがある人や実家が商売をやっていたなど、商売やビジネスの肌感(センスや知識、経験など)がある人は、結果を出しやすい傾向があるように思います。
Webマーケティングに向いていない人の特徴6選
ここまでWebマーケティングに向いている人の特徴を挙げましたが、以下6つの特徴に該当する人は、Webマーケティングの仕事に向いていない場合が多いです。
数字やITに苦手意識がある人
前述のとおり、Webマーケティング業務と数字・ITは切っても切り離せません。そのため、数字やITに苦手意識があると、Webマーケティングにおいて成果を生み出しにくいでしょう。
主体性や目標達成意識が低い人
Webマーケティングでは、日々変化する環境に対応し、明確な成果を生み出す必要があります。そのためには、主体的に最新情報を学び続ける行動力や、目標を達成する強い意志が求められます。主体性や目標達成意識が低いと、結果が伴いにくいでしょう。
失敗や変化を嫌う人
Webマーケティングの仕事では、失敗と変化は避けられません。失敗と変化をネガティブに捉えていては成果が出にくいでしょう。
商売感が無い(経営者目線が無い)人
Webマーケティングの目的は、あくまで「売上や顧客などの成果を生み出すこと」であり、そのためには顧客ニーズの理解をはじめとして、経営者目線が不可欠です。
そのため、仕事を「主体的に売上を獲得しにいくもの(商売・ビジネス)」ではなく、「言われた作業を受け身で淡々とこなして収入を得るもの」と考えている方には適していないと言えます。
すぐ諦めてしまう・短期目線の人
業務内容にもよりますが、Webマーケティングには目に見える結果が出るまでに時間を要する分野も少なくありません(SEOやSNS運用など)。そのため、結果が出ないからすぐに諦める人にはあまり向いていないかもしれません。
完璧思考の人
Webマーケティングの目的は売上や利益を生み出すことであり、一つひとつの施策や仕事を完璧にすることではありません。細かな作業を完璧にしようとすると、費用対効果や生産性がかえって低下する事態になり得ます。
こうした理由から、効率性や結果重視の人と比較して、結果に直結しない細部が気になってしまう完璧思考の人はWebマーケティングに不向きかもしれません。
Webマーケティングの向き不向きが分からない場合は?
向き不向きが分からない場合、まずは以下いずれかの方法により、Webマーケティングに触れてみることを推奨します。
・書籍やスクールで基礎知識を学ぶ
・副業でWebマーケティングの仕事をしてみる
・小規模で良いから、まずはSNSやWebサイト制作などに自分で取り組んでみる
個人的にオススメなのは3つ目の方法です。たとえばSNS運用を仕事にしたいならば、ターゲットユーザーを意図したコンテンツをSNSに投稿し、フォロワー獲得にチャレンジしてみることが考えられます。SEOであれば、Webサイトを自分で作り、GA4やサーチコンソールなどを登録して、施策の効果をモニタリングしてみると良いでしょう。
実際にやってみることで、あなた自身にとってWebマーケティングが適した仕事かどうかを判断しやすくなります。向いていると思ったら、次章で紹介する行動にチャレンジしてみましょう。
Webマーケティングを仕事にするための行動
未経験からWebマーケティングを仕事にしたい場合、以下のプロセスを踏むと、比較的スムーズにWebマーケターとしてのキャリアを積みやすいです。
手順1:仕事内容を理解する
まずは、仕事内容を大まかに理解しましょう。具体的に理解すべきは以下のとおりです。
- 仕事のジャンル(Web広告やSNS運用など)
- 各ジャンルの具体的な業務内容
- その他(働き方や適性など)
上記を踏まえた上で、実際に仕事としたいジャンルを決定します。
手順2:知識やスキルを習得する
次に、Webマーケティング業務に必要な知識やスキルを習得します。方法としては、前述した書籍やスクールはもちろん、自ら小規模に取り組んでみることも効果的です。
Google デジタルワークショップ などのオンライン学習プログラムも基礎学習としてはおすすめです。
手順3:実際に仕事を行う
最後に、学んだ知識をもとに仕事を行います。基本的には、転職またはビジネスオーナー(最初は個人事業主が一般的)として独立、社内で行うという3パターンから選択することになると思います。
転職の場合、「転職サイト・エージェントの活用」または「スクールによる求人紹介の活用」が一般的です。多くの場合は、未経験でも転職可能な求人を探すことになります。Webマーケティングの業務を行った経験(明確な実績があると尚良)があると、より採用されやすくなるでしょう。
Webマーケティングの仕事内容
最後に、Webマーケティングの主な仕事内容を簡単に紹介します。
Web広告運用
Google・Yahoo!などのリスティング広告やディスプレイ広告などを運用し、コンバージョン(顧客や売上などの獲得)の創出を目指します。主に、獲得目標や広告配信ターゲットの設定、クリエイティブの作成・検討、効果測定・改善などの業務を行います。高い数字達成指向性が求められます。
SEO・SEO対策
自社サイトのコンテンツを検索上位に表示させることで、検索エンジン経由の流入数やコンバージョン数増加を目指します。主に、キーワード選定や記事制作、内部・外部対策(表示スピードの向上など)の業務を行います。分析能力やユーザー心理を読む能力など複合的な能力が求められます。
SNS運用
X(旧Twitter)などのSNSを運用し、自社ブランドの認知力アップなどを目指します。主に、顧客ニーズに基づいた情報発信や顧客とのコミュニケーションなどの業務を行います。人の心理を考えることやコミュニケーションが好きな方が向いているでしょう。
データ分析・アクセス解析
GA4やサーチコンソールなどのツールを活用し、WebサイトやSNSで収集したユーザーの行動データや属性などを分析し、施策や商品などの改善に役立てます。ECサイト運用であれば、顧客の購買分析なども含まれます。
数字や分析、またそれらからビジネス的な視座を得られるバランスが良い方が向いています。
その他Webマーケティング業務
上記以外のWebマーケティングの仕事として、主に下記のような業務が挙げられます。
- Webディレクション:Webサイト全体の進捗管理、SNS運用の監督など
- メルマガ運用:リピート購入促進などを目的とした、登録者への継続的なメール配信
- 動画(YouTube)制作:認知形成や情報発信などを目的とした、動画コンテンツの制作
まとめ
Webマーケティングに向いている人の特徴を紹介してきましたが、現時点で全ての能力が完璧である必要はありません。筆者自身も上司や周りの人の協力を得ながら自分の強み弱みを理解し、得意なことを中心に貢献しながら、少しずつ弱みを改善してキャリアを積んできました。
皆、得意不得意があり、それを自己認識していくことが大切です。自分の特徴がが活かせるWebマーケティングの仕事につくことがキャリアップのポイントと言えるでしょう。
また、Webマーケティングは共同で行う仕事でもあります。自分が得意なことを率先して行い、不得意なことは仲間に助けてもらうことで、強みを活かし、弱みを補うことができるでしょう。最初は強み弱みを教えてくれる上司や仲間、パートナーの存在も大切です。
これからWebマーケティングの道に進まれる方はそういった環境を自らつくっていくことや、向き不向きについてのフィードバックを謙虚に受け入れる姿勢を持つことで、継続的なキャリアアップを目指していきましょう。
向き不向きがわからない方は、小規模でも良いのでWebマーケティングの仕事にチャレンジしてみることがおすすめです。
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