2022年5月25日のGoogleコアアルゴリズムアップデート(May 2022 Core update)を解説。今回はかなり検索順位変動が見られたため、Faber Company SEOのエキスパート、副島啓一と小丸広海が、検索順位や流入数の増減したサイトの特徴や悪影響があった場合の考え方、検索順位の下落を防ぐ施策のヒントなど最新情報をお伝えします。
※動画撮影時点でロールアウトは完了していません。ご紹介しているのはコアアップデートから約1週間後のデータです。
※必ずしも、動画で紹介している施策が要因となって検索順位が変化したとは限りません。この動画はあくまでひとつの仮説としてご視聴ください。
May 2022 Core updateでは、2021年6月よりも激しい変動が見られた
2022年6月6日動画公開時点、つまりMay 2022 Core updateから1週間後の観測時点で把握できている現象を私たちが分析したものです。この時点でロールアウト(機能が円滑にサービスに反映される)していません。あくまでも現時点で観測した範囲での興味深い現象を、私たちが分析・考察したものとしてご理解ください。前回「あまり大きな変動がなかった」とされた2021年6月のコアアップデートに比べて、下記のような現象が全体的に見られます。
- 1.サブディレクトリ型サイトの検索順位が下がっていた
- 2.順位別キーワード数が増加している傾向が見られる
- 3.5月25日の前にも変動が断続的にあった
個々の観測事例を見ていきましょう。
コアアルゴリズムアップデートで検索順位が上がったサイト、下がったサイトの特徴は?
SEOスペシャリスト。前職でSEOに出会い2010年にFaberCompany入社し10年以上SEOに携わり続けてきた専門家。 内部SEO対策を中心にUX設計・セミナー講師などの職務を受け持ち、最新情報に加えクライアントの生の相談を元に培った深い知見を使いコンサルタント・SEO顧問として現在も活動中。SEOコンサルタントとして分析してきたWebサイトを750を超える。
今回のアップデートでは、特にコンテンツ品質の善し悪しが顕著に評価に表れたのではないかと思います。
☑︎小丸が解説!まずは正しいSEO対策について知ろう:正しいSEO対策とは?SEOの基本施策をわかりやすく解説
高品質なコンテンツとは?
- ユーザーの意図と関連性が強く、十分な時間や労力をかけて作られているもの
- 専門知識や才能をやスキルを持ち合わせている人間が関わって制作されたかのような要素が重要
- E−A-T(Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)を略したコンセプト・造語)が備わっているか
今回のアップデートで悪影響/好影響を受けたページとは?
悪影響を受けたページの傾向
まずはコンテンツ自体がメンテナンスされていないように見えるケースがいくつかありました。メンテナンスとは情報の更新、編集やリライトのことを指します。
- タイトルの年数の記載が去年のままだった
- ページ内に記載されている更新日が数年前だった
- 公開日や更新日自体が記載されてない
といった、細かく読んでみると「ちょっと情報が古くなってるんじゃないかな」「いつの記事かな」と感じるような状態が含まれます。
☑︎参考記事:【リライトとは? SEOを意識した記事の改善方法・優先度・リスク
好影響を受けたページの傾向
良い影響を受けたページはその逆、「最新の情報に提案されたように見える」ケースが多かったです。
こういった「メンテナンスされてるように見える状態」が評価されていました。定期的にメンテナンスされてるか否かは、情報の信憑性の根本に関わります。公開日や更新日は入れることをおすすめします。
運営元や連絡先など基本情報が明記されていないページは要注意
信頼性を高める情報が欠けているページやサイトも影響をを受けて傾向が見えました。
例えば企業が運営するサイトであれば、運営元や連絡先を記載しているケースがほとんどだと思います。画面に映っているような、問い合わ先(電話やメールアドレス)、編集ポリシー、規約や方針、さらに言うと「About Us(私たちについて)」といった「誰がどんな方針で運営しているか」がわかる情報を細かく記載してるはずです。
サイトの運営元情報を充実させるべき理由
コンテンツや情報の取り扱いに関しての責任の所在、信頼性の担保を示すためです。おそらく多くの人は、このような情報が記載されていない、もしくは極端に少なく最低限の情報程度しか記載されてない場合、メインコンテンツの内容がいかに立派でも、慎重になるはずです。
運営者情報が存在しないサイトで、高額な商品を購入したり、取引したりしたくないですよね。
前述した「ページ、サイトのメンテナンスの有無」に、このような運営や連絡先も含まれます。信憑性やE-A-Tに関わる重要な要素であるとGoogleは判断します。
コンテンツ更新を怠らず、E-A-Tを充実させたサイトはいつか評価される
特徴的な事例を紹介します。とある企業様が運営しているペット系のサイトの順位状況がこちら。
ペットに関連するキーワード10個の平均検索順位が、今回のアップデートで、26位から12位に大きく回復しました。 私が見る限り、このサイトが保有するコンテンツは非常に品質が高いと感じます。先に紹介したような定期メンテナンスを行っていますし、運営や連絡先なども明記されている。E-A-Tも十分だと思えるサイトです。サービス名の指名検索も、競合と比較して劣っていません。
実はこのサイト、前回のアップデートが2021年11月にあった時、計測していた10のメインキーワードの平均26位程度に下がってしまっていました。しかし今回のアップデートで元の水準に戻れたのです。
順位の下落はコンテンツに原因があるからとは限らない
Googleもアップデート時にページの検索順位のアップダウンはあるものの、そのページに修正すべき問題があるとは限らない。何かするのであれば、できるだけ優れたコンテンツを提供することに集中しましょう」と、推奨しています。
ユーザーが求める品質を担保していて、実際にいい情報が得られるサイトは、たとえ順位が下落しても、どこかのタイミングで適切に再評価されることがあるのです。
当社の取締役Search Advocate(サーチ・アドボケイト)鈴木謙一が運営している「海外SEO情報ブログ」の記事「コンテンツの品質とは記事だけを意味しない、サイト全体を見てGoogleは品質を判断する」も是非参考にしてみてください。以下のような項目も評価の対象になります。
Googleの検索品質評価ガイドライン
もう一つ、Googleが検索品質評価ガイドラインを公表しています。サイトやページの品質はどう評価されて、検索結果画面に生かされているのかを示す、検索評価者向けのガイドラインです。
このドキュメント内のP.8〜68が、ページクオリティ評価についてのパートです。
ちょっと長いなと思う方は、P.19〜59の該当部分だけも見てください。高品質のページ、低品質のページの例とその理由などがキャプチャ画像とともにたくさん記載されているので、なんとなく雰囲気がつかめると思います。
☑︎参考記事:【動画解説】Google検索品質評価ガイドラインとは?SEOに携わる人は読むべき
2022年5月Googleコアアップデート ジャンル別の検索順位変動例
株式会社Faber Company 取締役
兵庫県尼崎市出身。東京大学工学部システム創成学科(PSI)卒業後はITベンチャー畑に進み、2007年、モバイル系ベンチャー企業に入社。2011年、企業の人材発掘支援を行う株式会社SOOLにて国内初の新卒スカウトサイト「Iroots」を起ち上げ、2014年、エン・ジャパン株式会社に事業売却。当社には2013年より参画し、2014年、株式会社Faber&Technologyを立ち上げ、代表取締役社長に就任。2016年3月、当社取締役就任。アーリーステージのビジネス起ち上げを得意とする。
業界・ジャンル別にサイト分析をしていると、今回のアップデートでは主に3点の傾向があると思われます。
一つずつ見ていきましょう。
ポイント1:「本業かどうか」をGoogleが見極めるようになった
この数年の動きを見て、「会社の運営元が本業としているジャンルのサイトかどうか」が、重要なファクターになってきたと感じます。
金融業の例
例えば金融事業を展開している企業のコーポレートドメイン配下で運営されている金融メディアは、伸びている傾向にあります。反対に、過去3年、コーポレートドメインの配下ではない「比較メディア」などの順位は下落する傾向にありました。
美容業の例
美容業界ではちょっと面白い傾向が見られました。美容整形外科や内科のドメイン配下の脱毛メディア、または本業と関係ない脱毛アフィリエイトサイトなどは、ちょっと厳しい下落方向にある印象です。
こちらのグラフの黒い線は、脱毛と関係ない企業のドメイン配下で運営しているアフィリエイトサイトです。しかし同時に、何件か、美容整形クリニックのドメイン配下にあるところも、25日あたりで検索順位が急落する傾向にありました。
ところが脱毛を専業でやっているサロンの脱毛サイトは、ほとんど変わらず推移しています。ということは、Googleは「本業との関連性」「専業かどうか」を高精度で判別できるようになってきたのではないかという仮説が成り立ちます。
ポイント2:E-A-Tの深堀り(監修・編集)がより評価されるように
小丸の解説にもありましたので詳細は省きますが、こうなってくると対策は、やはり専門家監修や編集を含めたコンテンツの品質そのもの深堀りとなります。
「新しい、正しい情報をちゃんとした本業の会社、専門分野から発信したほうがよい」と言えるかと思います。
企業ドメイン配下のウォーターサーバー関連サイトの例
企業ドメイン配下で運営しているウォーターサーバー関連サイトも見てみましょう。いい感じで検索順位が上がった状態を何とか維持してきましたが、今回のアップデートで下落しています。仮説としては、以下が考えられます。
- ①今までは企業の配下であることである意味“優遇”されて検索順位をキープできていた
- ②前回のアップデートではドメインの過評価が少々薄まった
- ③今回のアップデートでドメインの過評価がされなくなった
こういう場合の対策はどうすればいいか。今回のアップデートでは多少落ちたものの、新規コンテンツの継続的な投稿と、既存コンテンツの磨き込みを継続的にやり続ければ、なんとか維持できるかもしれません。本業と関連した企業ドメイン配下にないサイトは、努力が必要になりそうです。
辞書型(ディレクトリ型)サイトの例
2021年6月に、情報ソースが明確な「辞書型サイト」の検索順位が一気に上がったのですが、今回のアップデートで落ちる傾向が見られました。単純に情報ソースを置くのではなく、興味を持って熟読してもらう、回遊してもらうというユーザー行動を含めた「コンテンツ品質」が非常に重要になってきたのではないかと感じています。
「人気」訴求サイトの例
「◯◯ 人気」という検索キーワードの推移も変動がありました。これまではコンテンツの中身はそんなに変わっていないのにもかかわらず乱高下を繰り返してきました。しかし今回のアップデートでは高止まりという傾向を初めて見せました。これにより、一部そのクエリの取り扱いやインテントが変わった可能性もあると感じています。
Googleはアフィリエイトメディアを表示できないよう制御?
こちらは本業ではない企業が運営している金融系のアフィリエイトメディアの推移です。今回のアップデートで検索順位は全体的に落ちました。しかし検索50位以内にランクインしているキーワードを比較すると、順位が落ちたページと落ちていないページが見受けられました。
興味深いのは、検索結果に露出しないようにGoogleが制御してるという傾向が見られることです。いわゆるアライアンスメディア(複数の企業同士が居力し合う体制や経営スタイル)のような、“ディレクトリ貸し”型サイトの一群は、Googleが意図的に下位にキープさせたままにしていると感じられます。
以上、今回私たちが観測した範囲での2022年5月コアアルゴリズムアップデートの途中報告でした。
アップデートの影響を受けて検索順位が下がったり、オーガニック流入が下がってしまっていたら要因分析をお手伝いすることも可能です。お気軽にご相談ください。
過去のGoogleコアアルゴリズムアップデート情報まとめ
過去のコアアルゴリズムアップデートの傾向を把握することも役立つかと思います。ぜひこちらの動画もチェックください。
☑︎2021年6月速報
☑︎2021年6月分析結果
☑︎2020年12月速報
☑︎2020年12月分析結果
☑︎2020年5月速報
■2022年7月7日 直近のコアアルゴリズムアップデートまとめ(英語版)をGoogle Search Centralで公開
コアアルゴリズムアップデートの過去内容をまとめたコンテンツをGoogleが公開していました。
こちらもぜひ参考にしてください。
詳細はこちら➡︎ https://developers.google.com/search/updates/ranking