生成AIは、オウンドメディアなどのコンテンツや記事をリライトするツールとしても使えます。
リライトで重要なのは、読者ニーズと検索エンジンの評価を同時に満たすこと。冗長表現を削り、簡潔かつ明確な文章にすることで、読者の理解を助けるとともに、検索エンジンがコンテンツを適切に評価しやすくなります。また、新たな情報や独自の視点等の独自性を加えることで、記事全体の質を高める必要もあります。
本記事では、生成AIで記事をリライトするプロセスを解説すると同時に、リライト後の効果検証もしてみます。
検索順位があと一歩の記事を選ぶ
検索順位があと一歩だったり、検索結果でのクリック率(CTR)が低い記事がリライトの対象になることが多いですが、今回は「検索順位をさらに上げたい記事」を対象にします。
筆者は、自転車(ロードバイク)をテーマにしたブログを13年ほど運営しています。そこで書いた記事を使ってみましょう。
8月21日に「Morethanのビブショーツを買って使ってみたレビュー」という記事を書きました。
ビブショーツとは、身体に密着するストレッチ素材製の「肩ひも付きのショーツ」です。ロードバイクに乗る人はたいてい着ている専用ウェアです。
※Morethanはメーカー名
1週間後、キーワード「Morethan ビブショーツ レビュー」でGoogleで8位になりました。悪くはない順位ですが、5位以内を目指したいところです。上位には、Amazonや楽天のEC、そして個人ブログやYouTubeが並びます。記事の質を上げれば、4~5位に食い込めるのでは…と予想しました。
ChatGPTを使った具体的なリライト手順
1.検索意図等の漏れ、改善点を探る
書けることはすべて書いたつもりですが、検索意図のヌケモレがあるかもしれません。
そこで、こんなプロンプトを投げます。
自分の記事をリライトしたい。
狙ったキーワードでGoogle8位なので内容は悪くないと思う。
が、検索意図の漏れや、独自の視点がまだ足りていないかも。
改善点を指摘してほしい。
さらに、前提情報を与えます。
■狙っているキーワード
「Morethan ビブショーツ レビュー」
■現在の順位
Google8位(※シークレットモード)
■記事の構成
~~目次をコピペ~~
■本文
~~全文をコピペ~~
■検索意図の考察
・ユーザーはまだ商品を買ったことがなく、実際に使った人の生の声を知りたい
・メリットもデメリットも包み隠さず知りたい
■競合記事
・上位はAmazonや楽天、個人ブログとYouTube動画
・個人コンテンツが多いので、正しくリライトすれば勝てると思う
■独自の視点や強み
・良い点だけでなく、そうではない点も触れている
・専門メディアとして13年間発信しているので、信頼感は高いと思う
ChatGPTの返答がこちら。
※ハイライトは筆者によるもの
1. 検索意図への対応強化
もう少し具体的なシナリオを想定し、「購入を迷っている人」「初めてMorethanを使う人」の視点から、よくある疑問に対する回答を追加する(例:他ブランドと比較してどうか、長時間使用した際の快適性、耐久性、洗濯後の変化など)
2. 独自の視点の強化
既に独自視点はあるが、「13年の経験から見たMorethanビブショーツの評価」という視点を強調すると、他ブログとの差別化が図れる(例:過去に使用した他のブランドとの比較、長期的な使用におけるパフォーマンスの違いを詳しく述べる)
3. 検索意図の漏れ
デメリットに触れるのは良いが、もっとユーザーに伝わるように、改善の余地がある部分や使い方によって発生する可能性のある問題を指摘する(例:特定の体型に合わない、特定の気温や天候に不向きなど)
他の高級ブランドとの違い、価格帯が異なる他ブランドとのパフォーマンス比較を含めると、ユーザーが選択をしやすい
4. 記事の構成・内容の強化
シチュエーション別に製品がどのようにパフォーマンスに影響したかを追加する(例:長距離ライド、雨天時の使用、夏場の暑い時期など)
5. ビジュアルや図解の追加
使用中の写真やサイズ感を視覚的に説明する図解を追加する
まとめると、
・読者の疑問にすべて回答したか?
・経験値を反映させたか?
・問題点やその可能性を見落としていないか?
・比較対象が足りないのではないか?
・写真や図解で補足できないか?
でした。
あぁ…そっか、まだ足りていなかった…と思い知らされました。
正直、ぐうの音も出ません。
ありがとう、ChatGPT。
2.表現の不自然さ、冗長さを指摘させる
内容のダメ出しの次は、表現や読みやすさの改善です。
本文の表現について聞きたい。
・冗長な表現
・誤解を招く表現
・わかりにくい表現
・それ以外の読みにくさを生じさせている要素
があれば、遠慮なく指摘してほしい。
文章力はそれなりに自信があるので、「ほぼ指摘されないだろう」と高をくくっていたのですが、けっこうありました。
恥を忍んでそのまま公開します。
※ハイライトは筆者によるもの
1. 冗長な表現
「購入方法は基本アマゾン経由のみ」
→「基本的にアマゾン経由のみ」とすれば、より簡潔。文末の「みたいです」も「ようです」にすることで、引き締まった表現になる。
「えいっえいっ…と広げながら脚と股間にもっていくかんじ」
→この部分は冗長。「広げて装着する必要がありました」などと簡潔に表現できる。
「まあ、いったん装着するとちょうどいい感じなので、問題はないんですけどね」
→「装着後はちょうど良く、問題ありません。」と簡潔にまとめる。
「タグはともかく、Morethanの商品はいたって素晴らしいです」
→「タグの問題を除けば、Morethanの商品は非常に素晴らしいです」とすることで、焦点を明確にできる。
2. 誤解を招く表現
「お詫びといってはナンですが、ビブショーツを買って試してみました」
→「お詫びといってはナンですが」という表現は、前後の文脈と整合性が取れていない。
「えいっえいっ…と広げながら脚と股間にもっていくかんじ」
→製品の装着が難しい、または不快であるという印象を与える可能性がある。「装着時に少しきつく感じるが、装着後は問題ない。」と説明することで、誤解を避けられる。
3. わかりにくい表現
「サイズ感は”いわゆる国産”を基準にする方が良い」
→「いわゆる国産」という表現が曖昧。「国産ブランドのサイズ基準に近い」のほうが読者にとってわかりやすい。
「Wiggleが無くなってからは、どこで買おう…と迷いつつ、ずっとお古で乗り切ってきました」
→「Wiggleのサービスが終了してからは、どこで購入すべきか迷っていました」とすると、サービス終了という事実が明確。
4. その他の読みにくさを生じさせている要素
口語的な表現の多用
全体的にカジュアルで親しみやすい文章だが、口語表現が多すぎると一部読者には軽すぎる印象を与える可能性がある。「まぁ」や「ちょっと」「かんじ」「いわゆる」といった表現を調整することでトーンを整えられる。
5.段落の統一性
段落ごとの内容が明確に区別されていない部分がある。「タグにこんな表記が」の部分はやや唐突。論理的に配置し、統一感を持たせて全体の流れを改善する。
「遠慮なく指摘して」とは言いましたが、本当に遠慮なくきました。でも、AIの客観的な指摘だと、冷静に受け止められるものです。
冗長表現、論理構造、矛盾の解消…は受け入れるとして、口語調な部分を全部消すとキャラが失われるので、部分的にだけ修正することにしました。
3.独自情報や自分ならではの視点を追加する
検索意図の漏れに気付かされ、表現の調整も受けたので、すでにこの時点でかなり改善点が見つかりました。最後は、独自性に改善の余地がないか調べてみましょう。
E-E-A-Tの観点や、一次情報についての気づきが得られればいいな…くらいの気持ちで、
単刀直入に質問してみました。
この記事に独自性を与えるために、どんな工夫ができるだろうか?
以下、回答です。
※ハイライトは筆者によるもの
1. 実際の使用体験を深掘り(具体的なライドシーンの描写)
「急な坂道でのペダリングの感触」や「長時間のライドでのお尻の痛みの軽減具合」など、読者が共感できるエピソードを追加する。
2. 他の製品との比較を強調(他ブランドとの比較)
「RaphaやCastelliとの違いを明確にし、コスパの良さを強調する」など、実際に使用した他のブランドとの比較を盛り込む。
3. 専門的な知見の提供(素材や技術に関する解説)
「3D立体カーボンゲルパッドの構造とそれがどのようにライド時の快適性を高めるか」についての詳細な解説をする。
4. 購入後のケア方法や長期使用のコツ(製品のメンテナンス方法)
「洗濯後の生地の変化やケアのポイント」を紹介する。
5. 読者との対話的なアプローチ(Q&A形式)
読者が抱くであろう質問を予測し、それに答える形で記事を構成する。
Q: サイドポケットって本当に便利?
Q: 生地が硬いってどの程度?快適性に影響する?
Q: サイズ感が心配なんだけど、どんな基準で選べばいい?
6. ビジュアルコンテンツの追加(写真や動画の活用)
「実際に使用している場面や製品の特定の機能を示すビジュアル」を含める。
言われてみて、「確かにそうだ」と思いました。指摘されて初めて気づくことって、多いですね。
・さらに使い込んで感想をためる
・他の製品と比較する(写真も使って)
・読者の疑問に答える回答を用意する
を追記することにしました。
それと、生地の硬さやお手入れ方法については、「メーカーさんに問い合わせて答えをもらうほうが正確だし、自分の誤解を発見できる」ので、問い合わせることにしました。これはChatGPTに指摘されたことではなく、対話の途中でひらめきました。
生成AIは、目からウロコなアイデアは出さないものの、人の持つ創造性に火を付ける着火剤的な効能は大いにあると思います。
リライトした結果、8位から6位にまで上昇
メーカーさんからの回答やChatGPTに指摘された点を追記し、公開しました。
数日後、Google8位から6位に上昇しました。(9/11時点)スマホだと5位だったりしますが、5~6位あたりに落ち着いたようです。Amazonと楽天の牙城はなかなか崩せそうにないものの、2位と4位は個人ブログなので、もう少し上を狙えそうな気がします。
今回は検索順位を2つしか上げられませんでしたが、少しの努力で即効果が出せたのは良かったです。再現性のある施策ですので、皆さんのリライト施策でぜひ試してみてください。
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著者PROFILE
SEO・ソーシャル・動画の3領域でのコンテンツ企画と制作が得意な生粋のコンテンツクリエイター。ソフトバンク、楽天トラベル、Six Apart、freee、ファベルカンパニーを経て2024年に独立。コンテンツマーケティングを専業とし、オウンドメディアとYouTubeの設計 / 企画 / 執筆 / 編集 / 分析 / 改善 / SEO を幅広く行う。MarkeZine、Web担当者Forum、ねとらぼ、WorkshipMAGAZINE等で執筆しつつ、Content Marketing Academyでは特任講師を務める。
・Twitterアカウント @Cycle_Gadget
・Facebookアカウント https://www.facebook.com/junji.nakayama.104