BtoBのSEOと聞いて「まずはオウンドメディアで記事を量産する」と考える方は少なくありません。確かに記事は重要な施策のひとつですが、それだけでは成果にもつながりにくいのが現実です。ただ記事を増やすのではなく、サイト構造や内部リンクの設計、FAQや事例ページの活用、外部評価の獲得など、複数の施策を戦略的に組み合わせることが不可欠です。

本記事では、SEOに詳しくない方でも実践できる、BtoBのSEOでまず押さえておくべき基本の10施策をわかりやすく解説しています。「自社でできることから始めたい」「何をやればいいかわからない」という方に向けて、すぐに取り組める具体策をご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
SEOとは「Search Engine Optimization」の略称で、「検索エンジン最適化」を意味します。
そしてSEO対策は、自社のWebサイトを高品質なものにし、検索上位を目指す取り組みとして使われますが、厳密には正しい言葉ではありません。
正しい日本語で考えると「検索エンジン最適化対策(SEO対策)」は、サイトの順位を最適化するために検索エンジン側が講じる策というニュアンスになり、本来伝えたい「サイト運営者が検索結果での上位表示を目指す取り組み」という意味とは異なります。
そのため当社・Faber Company(ファベルカンパニー)では本来の意味に沿ったSEO施策という表現を推奨しています。本記事では、広く浸透しているSEO対策という言葉も併用しますが、ご留意いただけますと幸いです。
BtoBビジネスにおけるSEO対策とは?
BtoBのSEOは、内部施策・コンテンツSEO・外部施策の3つに分類されます。これらはBtoCとも共通しますが、BtoB特有の条件を踏まえた工夫が求められます。
たとえば、BtoBでは「社名+サービス名」などの指名検索が多く、コーポレートサイトやサービスサイトの構造最適化が成果に直結しやすい傾向があります。こうした内部施策は、特に重要です。
また、課題解決型の記事やホワイトペーパーを通じた情報提供も、コンテンツSEOとして有効です。検討初期の潜在層に向けたコンテンツ設計が、信頼の獲得につながります。
さらに、プレスリリースや社外メディアでの情報発信による外部リンクの獲得も、検索エンジンからの評価向上に貢献します。
どれか一つではなく、3つの施策をバランスよく設計・実施することが、成果につながるBtoB SEOの基本です。
※関連記事:【2025年最新版】正しいSEOとは?5つのSEO対策とチェックリスト
BtoBのSEOでありがちな誤解
BtoBのSEOというと、まず「オウンドメディアで記事を増やすこと」に目が行きがちです。たしかに記事制作も効果的な手段ですが、BtoBサイトには記事以外にもSEO施策へ好影響となるコンテンツ形式が複数存在します。たとえば次のようなものです。
- 導入事例ページ型
- 自社のサービスがどのように活用されているかを示すことで、「業種+事例」などの検索にヒットしやすくなります。
- FAQページ
- 見込み顧客が抱える具体的な疑問に対応することで、ニッチなキーワードでの流入を獲得できます。
さらに、こうしたコンテンツを活かすには、内部施策(サイト構造やタグ設計)と外部施策(被リンク獲得や外部配信)も欠かせません。記事単体ではなく、全体を設計することで初めて、検索エンジンとユーザーの両方に評価されるWebサイトになるのです。
とはいえ施策の選択肢が多く自由度が高い反面、どの施策が自社に合っていて、どれから手を付ければいいのかを迷うかもしれません。そのようなときは、ぜひ当社・Faber Comapnay(ファベルカンパニー)のSEOコンサルティングサービスを利用してください(初回相談・無料)。
ミエルカSEOのツールを導入している方も、そうでない方もコンサルティングサービスをご利用できます。貴社の体制や状況をヒアリングし、幅広い業種のWebサイト改善を経験してきた専門家たちが貴社に合わせたSEOのベストプラクティスをご提案します。まずは以下のボタンから無料相談をお申し込みください。
BtoBのSEO対策でやるべき10の基本
ここからは、BtoB企業が具体的に取り組むべき10の基本SEO対策を紹介します。
- サイト全体のメインターゲットキーワードの設定(内部施策)
- 検索ニーズに合わせたサイトマップ設計(内部施策)
- タイトル・ディスクリプションの個別設定(内部施策)
- サービスページの細分化(コンテンツSEO/内部施策)
- 内部リンクの最適化(内部施策)
- お役立ちコンテンツの配信(コンテンツSEO)
- プレスリリース配信・外部メディアへの記事提供(外部施策)
- 事例コンテンツの設置(コンテンツSEO)
- FAQの設置(コンテンツSEO)
- 関連サービス・関連企業からのリンク(外部施策)
自社サイトを運営するなかで、まずは「できるところ」から着実に実践していきましょう。
1.サイト全体のメインターゲットキーワードの設定(内部施策)
BtoBサイトでは、サイト全体のメインターゲットとなるキーワードを設定します。「トップページ または サービスページで上位表示させたい一般検索キーワード」を選ぶとよいでしょう。
自社全体や自社サービスを端的に表す言葉がおすすめです。たとえば当社であれば「SEOツール」「SEO」などがメインターゲットキーワードです。メインターゲットキーワードは、別の言葉とつなげることによって、下層ページのキーワードとしても設定できます。
キーワードの種類 | 例 |
---|---|
メインターゲットキーワード | SEOツール |
下層ページのキーワード | SEOツール 導入事例 SEOツール 料金 SEOツール 比較 |
2.検索ニーズに合わせたサイトマップ設計(内部施策)

BtoBのSEOで成果を出すには、検索キーワードの意図や粒度に合わせてディレクトリ構造を整理し、サイトマップを作成することが欠かせません。
ディレクトリ構造とは、Webサイトの階層構造のことです。「SEOツール 料金」や「SEOツール 機能」「SEOツール 導入事例」など、主要な検索クエリに対応したページを階層的に配置します。
こうした構造を整理するために役立つのがサイトマップです。サイトマップとは、ディレクトリ構造を明示したファイルやページのこと。Webサイトの地図とも言い換えられるでしょう。
サイトマップには以下の2種類があります。
- 検索エンジン向けのXMLサイトマップ
- ページの更新頻度や階層構造をGoogleなどに正しく伝える役割があります。
- ユーザー向けのサイトマップページ
- 訪問者がサイト全体の構造を把握しやすくなり、目的のページにたどり着きやすくなります。

※関連記事
・ディレクトリ構造を理解しSEO成功確率を高める方法
・サイトマップとは?XML作成法、SEO対策をわかりやすく解説
3.タイトル・ディスクリプションの個別設定(内部施策)
ページごとに適切なタイトルとディスクリプションを設定することは、SEO対策の基本です。それぞれの役割は異なりますが、どちらも検索結果でのユーザーの行動に大きく影響します。
タイトルは検索順位に直結する要素です。検索エンジンは、タイトルに含まれるキーワードからそのページの内容を判断するため、狙いたいキーワードを自然に含めることが重要です。目安の文字数は28~32文字となります。
ディスクリプションは検索結果画面でタイトルの下に表示される要約文(ページの概要)です。順位には直接影響しないものの、検索者がページをクリックするかどうかを左右します。製品名や特長など、ユーザーが気にする要素を簡潔に盛り込みましょう。目安の文字数は120~140字です。
キーワードによりますが、これ以上に文字数が多いと検索結果画面で全文が表示されず、「…」として省略されてしまうことがあります。

なお、ディスクリプションを設定していても、Googleの判断によって自動的にページ本文から抽出されたテキストが表示されることもあります。これはGoogleが「ユーザーニーズに合致していない」と判断した場合に起こる現象です。
タイトルとディスクリプションについてより深く知りたい方は、以下の関連記事をご覧ください。
※関連記事:
・SEOに効くタイトルの付け方とは?文字数や作成手順【事例つき】
・メタディスクリプションとは?文字数や書き方・例文、SEO効果をわかりやすく解説
4.サービスページの細分化(コンテンツSEO/内部施策)
BtoB企業で複数のサービスを展開している場合は、検索ニーズに合わせてサービスページを細分化することが効果的です。一つの総合ページにすべてを詰め込むよりも、それぞれのサービスごとに独立したページを用意することで、検索エンジンにもユーザーにも内容が伝わりやすくなります。
たとえば「SEOツール」や「ヒートマップ」といった具体的なキーワードを狙う場合は、それぞれに特化したサービスページを用意します。こうしたページ構成にすることで、検索エンジンからの評価やユーザーの理解を高められるでしょう。

検索ニーズに応じて細分化することで、ユーザーの検索意図に、より的確に応えられるようになり、流入数やコンバージョン率の向上にもつながるでしょう。
5.内部リンクの最適化(内部施策)
内部リンクとは、Webサイト内で関連性の高いページ同士をリンクでつなぐことです。内部リンクを適切なページに設置すると以下のメリットがあります。
- ユーザーの利便性向上
- 関連情報へスムーズに移動でき、回遊性が高まります。
- 検索エンジンの理解を促進
- 新規・更新ページを効率よくクロールさせられます。
- ページ同士の関連性が高まる
- 内部リンクの集まりは、検索エンジンからの信頼性向上につながります。
サービスページに「導入事例」へのリンクを設けたり、FAQページから「お問い合わせ」ページに導くといったように、ユーザーの動線に沿ってリンクを設計することが大切です。
リンクを設置する時は、以下の点を意識しましょう。
- アンカーテキスト(リンクの文言)にキーワードを含める
※例|導入事例はこちら→SNS広告の導入事例を見る - 文脈に合った自然なリンク設置を行う
※関連性のないリンクはユーザビリティを損ねてしまうため - リンクの貼りすぎに注意する
※ページ全体の可読性や体験を損なうリスクがあるため
※関連記事:内部リンクとは?定義とSEOに効く貼り方・注意点(専門家監修)
6.お役立ちコンテンツの配信(コンテンツSEO)

サービスに直結しない「課題解決型コンテンツ」の配信は、検索から新たな見込み顧客を獲得するうえで欠かせない施策です。
BtoBにおける情報収集は、いきなり製品名を検索するのではなく、「いま困っていること」「どう改善すべきか」といった課題ベースの検索から始まることが一般的です。このような検索クエリに対応した情報を、自社ブログやオウンドメディアで発信していれば、ユーザーの初期接点として機能します。潜在層にリーチできるだけでなく、専門性や信頼感の醸成にもつながります。
また、いわゆる「記事コンテンツ」だけでなく、自社の強みを端的に伝える紹介コンテンツや、くわしい情報を提供するホワイトペーパーなどのダウンロード資料を用意しておくことも重要です。
検討段階にいる見込み顧客に対して、知りたい情報をさまざまな角度から提供できるため、資料請求や問い合わせといったアクションにもつながりやすくなります。
※関連記事:カスタマージャーニーって何?概念と基本を5分で理解する
※関連事例:公開記事5本でサイトの自然検索流入が7倍になった事例
7.プレスリリース配信・外部メディアへの記事提供(外部施策)
外部メディアへの情報発信は、BtoB企業が高品質な被リンクを獲得し、検索エンジンとユーザーの両方からの評価を高める重要な施策です。
プレスリリースや寄稿記事では、自社サービスに関するサマリー(概要)を記載し、「くわしくはこちら」のような形で自社サイトへリンクを設置するのが基本です。これにより、興味を持った読者を自社サイトへ誘導できます。
また、提携先メディアに記事を寄稿し、自社サイトへのリンクを載せてもらうことで、検索エンジンから自社サイトへの評価を高められる可能性があります。
注意点としては、リンクが正規の被リンク(dofollow
)として設置されているかを確認しましょう。リンクに(nofollow
)が付くとSEOへの影響は限定的になります。
※関連記事:被リンクとは?良質リンクの獲得方法や調べ方、SEOとの関係をわかりやすく解説
8.事例コンテンツの設置(コンテンツSEO)
BtoBにおけるSEOでは、「業種+事例」などの具体的な検索クエリが多く存在します。事例コンテンツはそれに対する非常に有効な施策です。
こうしたニーズに応えるためには、業種ごとに事例をまとめ、個別ページとして用意することが理想です。こうすることで、専門性を訴求しつつ、検索流入にもつながります。
読者にとって有益なものにするために、事例ページには、以下の要素を含めるとよいでしょう。
- 導入先の企業名と業種
- 導入前の背景・課題
- 実施施策(ツールや手法)
- 改善後の成果(数値があるとベター)
- 導入企業の担当者様のコメント(信頼性の強化)
このような構成で事例を公開することで、検索流入・信頼構築・CV促進を同時に実現することができます。
ミエルカSEOでも、業種別に絞り込める「ミエルカ導入事例」ページを設置しています。ぜひこちらもご覧ください。

9.FAQの設置(コンテンツSEO)
FAQページは、見込み顧客や既存ユーザーの検索ニーズを捉える有効なコンテンツSEO施策の一つです。
BtoBでは、導入前に「ログイン方法は?」「導入コストは?」「操作が難しくないか?」といった具体的な不安や疑問を検索するユーザーが多くいます。たとえば「ミエルカ ログインできない」「キーワード調査 使い方」などのクエリは、導入検討者や既存ユーザーの行動に直結する検索キーワードです。
これらのキーワードに対応したFAQページを設けておくことで、次のような効果が期待できます。
- 見込み顧客の不安を解消し、コンバージョン(CV)につなげやすくなる
- 既存顧客の自己解決を促進し、サポート負荷を軽減できる
- 具体的なキーワードに最適化されたページとして、SEO流入を獲得しやすい
検索ニーズに沿ったFAQを整備することで、信頼性のある情報提供と自然検索からの導線強化を同時に実現できます。
よくある質問を考える上では、以下の方法がおすすめです。
- 実際の問い合わせ履歴やアクセスログをもとに精査する
- 類似サイト・類似サービスのFAQを参考にする
- 自社の営業・CSに確認する
また、著者は「ChatGPTの生成AIにサービス資料を渡して、質問を考えてもらう」という方法も活用しています。今まで気づけなかった意外な発見があるため、なかなか思いつかない時などにおすすめです。

10.関連サービス・関連企業からのリンク(外部施策)
信頼性の高い外部サイトからのリンク(被リンク)は、検索エンジンにおける評価を高める重要な要素のひとつです。
BtoBサイトでは、比較検討の際にユーザーが他社事例や専門情報を参照する傾向が強く、信頼されている外部サイトからの被リンクが、第三者評価としてユーザー行動に大きく影響します。特に、信頼性の高いサイトからのリンクは、SEOの外部施策としても効果的です。
自社ページへのリンクを掲載してもらう施策としては、次のようなものがあります。
- 他社が参考・引用したくなるようなコンテンツを公開する
- 関連企業に事例紹介などの取材記事を作ってもらう
- 社員同士の対談記事を両メディアで公開する
こうしたコンテンツは、自然な形でのリンク獲得(ナチュラルリンク)を促し、検索エンジンからの評価を高めるとともに、業界内での信頼性強化にもつながります。
※関連記事:外部リンクとは?被リンク・内部リンクとの違いやSEO効果・対策方法
コンバージョン導線も重要なポイント
SEOでの集客を成果につなげるには、「資料請求」や「お問い合わせ」などのコンバージョン導線の設計が欠かせません。
BtoBのSEOでは、単にアクセス数を増やすだけでなく、「誰が何を見て、どう行動するか」を意識した導線設計(CV設計)が重要です。ユーザーの導線を最適化することで、SEOで集客したユーザーとの接点をリード獲得に転換しやすくなります。
さらに重要なのは、CVポイントを持つページは検索エンジンからの評価も高まりやすいという点です。ユーザーが長く滞在したり、複数ページを回遊したりする構造が生まれることで、コンテンツの質やユーザー満足度が高いページと評価される可能性があるからです。
SEOとCV設計は切り離すのではなく、最初から一体として設計することで、集客から成果への導線が一貫性を持ち、Webサイト全体の力を高めることができます。
※関連記事:【初心者向け】CRO(コンバージョン率最適化)とは?Webマーケの流れと施策
できることから、確実に積み上げる
本記事では、BtoBビジネスで成果を出すためのSEO対策について、基本施策を10項目に分けてご紹介してきました。検索ボリュームが限られたBtoB領域では、ただ記事を量産するだけでは成果につながりません。内部施策・コンテンツSEO・外部施策をバランスよく設計し、顧客の行動導線まで一貫して設計することが不可欠です。
とはいえ、実際の現場では、
- 何から手をつければよいか分からない
- リソースが限られており、施策の優先順位をつけづらい
- 社内にSEOの専門知見がない
といった悩みを抱える企業も少なくありません。
そんなときに頼れるのが、Faber Companyのコンサルティングです。SEOの理論をただ教えるのではなく、クライアントごとの体制や業界、導入済みツールを丁寧にヒアリングした上で、「今、実際にできること」から提案する現実的な支援を提供しています。BtoB・BtoCを問わず、多様な業界での改善実績があり、SEOだけでなく、ビジネス成果に直結する戦略設計が可能です。
施策の方向に迷っているのであれば、まずはお気軽にご相談ください。初回ヒアリングは無料です。お客様の状況に合わせた「できること」から、いっしょに見つけていきましょう。