canonical(カノニカル)タグはURLを正規化するために欠かせないものですが、canonicalタグの誤使用はSEO評価を大きく落としてしまうことにもつながります。日々の良質のコンテンツ作成がとても大事ですが、canonicalタグなどのテクニカルな方法を押さえておくことは、SEO対策を考えるうえで重要です。今回はcanonicalタグを用いたURLの正規化方法を詳しく解説します。
canonical(カノニカル)タグとは?
canonicalタグとはhtmlタグの1つで、同じWebサイト内に重複コンテンツや類似ページがある場合、Googleなどの検索エンジンにどのページを評価してもらうかを伝えます。
自社のWebサイトを運営していると、意図的でない事情で重複コンテンツや類似ページができてしまいますが、canonicalタグを使うことで評価されるページを1つに統一できます。
canonicalタグ実装のメリット(SEO効果)
canonicalタグ実装のメリットを次の例を挙げて解説します。
たとえば、下記の2つのサイトの表示先が重複コンテンツだとします。
- https://sample.jp
- https://www.sample.jp
URLが違うだけで表示されるコンテンツが同じとなると、Googleから重複コンテンツと判断されてしまうことになるため、canonicalタグを使ってURLの正規化を行うわけです。
次の4つは、具体的な重複コンテンツと認識されやすい事例です。
- httpsとhttpの違い
- URLにwwwがあるかどうか
- URL末尾の「/(スラッシュ)」の有無
- 仲介サイトやECサイトなど
URLを正規化することで、重複コンテンツに対するGoogleなどの検索エンジンからのWebサイト評価を分散させることが防げます。
canonicalタグでできるURLの正規化とは?
canonicalタグのURL正規化を理解するうえで、大前提として、Googleなどの検索エンジンは、WebサイトをURLでページ評価することを頭に入れておいてください。
たとえば、同じWebサイト内にあるコンテンツが全く同じであったとしても、URLが違うだけで「それぞれが別のページ」として、Googleなどの検索エンジンから評価されます。
そうなると、別のページにもかかわらず、「同じ内容のコンテンツがある」と評価され、SEOの視点で評価が下がるなどの悪影響が出てしまいます。そうならないためにも、canonicalタグでURLを正規化し、ページ評価を統一させることが必要です。
301リダイレクトとの違い
canonicalタグを解説するうえで、301リダイレクトとの違いを解説します。301リダイレクトもcanonicalタグ同様、正規化目的で使用しますが、両者の違いは次の通りです。
- canonicalタグ:URLを正規化するためのhtmlタグ
- 301リダイレクト:Webサイトを閲覧しているユーザーに対し、ページ遷移を行う
さらに301リダイレクトは、実装することで次の効果も期待できます。
- ページ統一後、不要なページからのリダイレクトをおこなえる
- 運営上の理由で新しいURLに変更する場合、今までのページ評価を落とさない
canonicalタグはGoogleなどの検索エンジンに、評価して欲しいページ情報を伝えます。あくまでアピールするためのもので、ページを遷移させたり、301リダイレクトのように何かを強制する力もありません。両者の違いを正しく理解し、適切に使うようにしましょう。
なぜcanonicalタグを使う必要があるのか?
SEO対策としてcanonicalタグを使う理由は次の通りです。
- 重複コンテンツの解消
- リンク評価の分散防止
- “www”や“/index.html(php)”などのあり・なし問題
- パラメーターの有無によってアクセスできてしまうURLを正規化
- ドメインの正規化を行えない場合がある
それぞれについて、詳しく解説します。
重複コンテンツの解消
運営しているWebサイト内に重複コンテンツが存在すると、Googleなどの検索エンジンからの評価が下がる可能性があります。
ゆえに、canonicalタグで評価対象としたいURLを明示することで、重複コンテンツの評価を回避することが可能です。似たようなページが出来た場合には、評価対象となるURLを明示し、canonicalタグで正規化を行いましょう。
リンク評価の分散防止
評価を1ページに集約させる
canonicalタグを実装する理由は、Googleなどの検索エンジンからの評価をメインページに集約させるためです。
被リンクの多さで評価を上げられますが、重複コンテンツがある場合、獲得できる被リンクの分散に伴い、ページが受ける評価も分散してしまいます。
また、Googleなどの検索エンジン側にもクロールにかかるリソースが増え、重要なページがインデックスされない可能性が高まります。それを避けるため、canonicalタグでメインページを正規化し、確実に評価をメインページに集約させます。
被リンク対策のため
canonicalタグの設定で、対象ページに対する被リンク数の分散防止が可能です。URLの正規化を行わない場合、被リンクによる評価が分散されてしまうリスクがあります。
例えば、URLの正規化をしていない状態で、以下の3つのコンテンツで各Webページの被リンクを1つずつ獲得した場合、次のように評価が分散します。
【Webページの種類被リンク獲得数】
- https://www.samplel.co.jp/:被リンク獲得数1
- https://samplel.co.jp/index.html:被リンク獲得数1
- https://www.samplel.co.jp/index.html:被リンク獲得数1
仮に、https://www.samplel.co.jp/を正規ページとして設定しておけば、どのWebページが被リンクされても「被リンク獲得数3」と、評価の集約が可能です。
このように、SEOには欠かせない被リンク対策としても、canonicalタグは重要です。
canonicalタグの利用シーン
canonicalタグを活用するシーンは次のとおりです。
- Webサイトの仕組みで重複ページが自動生成されてしまう場合
- PCサイトとスマホサイトでURLが異なる場合
- 記事が転載される場合
- コンテンツシンジケーションを行う場合
- AMPページを作成している場合
- ABテストを実施する場合
- URL表記に違いがある場合
Webサイトの仕組みでコンテンツが自動で重複生成されてしまう場合
canonicalタグの利用が推奨されるケースとして、Webサイトの仕組みでコンテンツが自働で重複生成されてしまう場合です。
たとえば、次のようにURLが表示される場合、「www」の有無だけで「重複コンテンツ」とGoogleなどの検索エンジンから判断されてしまいます。
- https://www.example.com
- https://example.com
このような事態を避けるため、canonicalタグの実装は有効です。
PC用サイトとスマートフォン用サイトでURLが異なる場合
PC用サイトとスマートフォン用のWebサイトで、異なるURLが異なる場合にもcanonicalタグの実装は必要です。
たとえば、次のPC用サイトとスマートフォン用のWebサイトがあるとします。
・PC用サイト:https://www.example.com
・スマートフォン用サイト:https://sp.example.com
このようなケースの場合、以下のようにcanonicalタグを実装すると良いでしょう。
【実装例】
<link rel=”canonical” href=”https://www.example.com”>
上記のように実装することで、PC用サイトが正規のURLであることを示せます。
さらに「alternateタグ」を次のように実装することで、canonicalタグとの関連付けがおこなわれ、Googleなどの検索エンジンに認識してもらいやすくなります。
【実装例】
<link rel=”alternate” media=”only screen and (max-width: 640px)” href=”https://sp.example.com“>
alternateタグについては以下の記事で詳しく解説していますので、もしよろしければ読んでみてください。
記事が転載される場合
記事の転載について、次のケースに該当する場合、「重複コンテンツ」と判断され、評価が下がる可能性があります。
- 自社のWebサイト記事を他社で転載してもらう
- 他社のWebサイト記事を自社に転載する
特に気をつけなければいけないのが、自社サイトの記事が他社のWebサイトで転載される場合です。
自社の場合は、canonicalタグを意識的に実装できますが、他社に転載してもらう場合、必ずしも他社がcanonicalタグを実装してくれるとは限りません。自社の記事が他社のWebサイトに転載される場合は、他社のWebサイトを運営する企業にcanonicalタグの実装をお願いしましょう。
コンテンツシンジケーションを行う場合
自社のWebサイト記事やコンテンツを、自社以外のWebサイトに再配布することをコンテンツシンジケーションと言います。この行動により、自社の認知度向上につながりますが、コンテンツシンジケーションと合わせて行いたいのがcanonicalタグの実装です。
これにより、自社の記事をGoogleなどの検索エンジンに明示し、再配布先での検索結果上位表示により、自社サイトへの流入減少を防げます。さらには、コピーコンテンツの判断も回避可能です。
実装は次のようにおこないます。
【実装例】
<link rel=”canonical” href=”自社WebサイトページのURL”>
AMPページを作成している場合
AMP(Accelerated Mobile Pages)ページがある場合、canonicalタグの実装を推奨します。
AMPページとは、スマートフォンなどのモバイル端末によるWebサイトの画面表示を高速化するために作るページです。AMPページではないオリジナルのページとコンテンツ内容は同じなので、canonicalタグ実装でコピーコンテンツの評価回避や、コンテンツ評価対象を明示するようにしましょう。
ABテストを実施する場合
二つのWebサイトページを作成し、両者へのアクセス数や契約成約数などをデータで比較するABテストにも、canonicalタグの実装を推奨します。
テスト的な意味合いで作成された二つのページコンテンツは同一内容であるため、何も対応をしなければGoogleなどの検索エンジンに重複コンテンツと判断されてしまいます。作成したページに対する評価をしっかり獲得したい場合は、canonicalタグを実装するようにしましょう。
URL表記に違いがある場合
次のようなURL表記に違いのある場合、別サイトと認識されないよう、canonicalタグの実装を推奨します。
【例】
- wwwがあるかどうか
- http://とhttps://の違い
- URL末尾にスラッシュがあるかどうか
- index.htmlがあるかどうか(Webサイトのトップページ )
上記に該当する場合は、Googleなどの検索エンジンからの評価分散を避けるため、canonicalタグを実装したほうが良いでしょう。
サーバーの関係で301リダイレクトができない場合
301リダイレクトはWebサイト移転や更新の際、新しいWebサイトへ元のWebサイトが保持していた評価を引き継ぐ方法です。サーバーの関係で301リダイレクトが出来ない場合、新しいWebサイトへ評価引継ぎができないため、canonicalタグで新しいサイトへの正規化処理をおこないましょう。
canonicalタグの実装方法
canonicalタグの実装方法は次の3つです。
- HTMLへの実装方法
- HTTPレスポンスヘッダーへの実装方法
- WordPressへの実装方法
HTMLへの実装方法
canonicalタグは、HTML内の<head>タグ内の<link>タグに実装します。<link>タグはWebサイトページに関連する外部リソースの指定タグで、主な用途はURL正規化やショートカットアイコン、スタイルシートです。
【実装例】
<head>
<link rel=”canonical” href=”正規化(評価を集中させたいページの)URL”>
</head>
「rel」属性は外部リソースの種別指定に用い、hrefは外部リソースのURL指定で使うため、ここに正規化したいURLを記載します。
<head>タグ内の最初の方に実装することで、Googleなどの検索エンジンに早く正規化されたページを認識してもらえます。
注意点は正規化したいURLは相対パスではなく、絶対パスで記入することです。GoogleではURLは絶対パス記載を推奨しています。
HTTPレスポンスヘッダーへの実装方法
通常、canonicalタグはHTMLに実装しますが、HTTPレスポンスヘッダーにも記述可能です。HTML内で実装したcanonicalタグは、文字通りHTMLページ内でのみ機能します。
PDFファイルや画像など、HTMLデータではない重複コンテンツを正規ファイルに指定する場合、このHTTPレスポンスヘッダーを使います。
【実装例】
Link:<http;//正規化(評価を集中させたいページの)URLを記述>; rel=”canonical”
上記のように実装することで、HTTPレスポンスヘッダーでもURLの正規化が可能です。
ただし、設定方法がその他の実装方法よりやや難解で、大規模なWebサイトや頻繁にURLが変更されるようなWebサイトでは、管理が難しいというデメリットがあります。使う際には十分に検討のうえ、使うようにしましょう。
WordPressへの実装方法
「All in One SEO Pack」というWordPressプラグインを使うと、自働で<head>タグ内にcanonicalタグが実装されます。
【All in One SEO Pack】
https://ja.wordpress.org/plugins/all-in-one-seo-pack/
All in One SEO Packをインストールし、プラグインを有効化したのち、「カスタム canonical URL を有効化」にチェック、ページ作成画面下部にcanonical指定先URLの追加項目表示されるので、対象ページのURLを記載することで設定可能です。
canonicalタグの設定有無を確認する方法
自社で運営しているWebサイトに、canonicalタグが設定されているかを確認する方法は次の2つです。
- HTMLで確認する
- SEOツールで確認する
HTMLで確認する
HTML内にcanonicalタグが実装されているかどうかで確認可能です。
確認は次の手順でおこないます。
【確認手順】
- 該当のHTMLページを選択したうえで、右クリック→ページのソース表示を選択する
- HTMLの記述内容から「link rel=”canonical”」を検索する
HTML内のcanonicalタグ確認はすべて手作業になるため、時間がかかるのが欠点です。
SEOツールで確認する
canonicalタグをSEOツールで確認する方法もあります。
アナトミー
SEOツールのアナトミーは、Webサイトの各ページタイトルや構成を含め、ページ設定したcanonicalタグの確認が可能なツールです。
Webサイト1ページ分のcanonicalタグだけではなく、それぞれのページにcanonicalタグが設定されているかどうかを、色で視覚的に確認できます。これにより、必要なページだけではなく、不要なページにcanonicalタグが設定されているかも確認可能です。
Googleサーチコンソールで確認する
canonicalタグはGoogleサーチコンソールで、以下の手順で確認できます。
- ①Googleサーチコンソールのトップ画面からメニューにある「URL検索」をクリックし、対象のWebサイトURLを入力し、Enterボタンを押下する
- ②押下後検査結果にある「ページのインデックス登録」のクリックし、「ユーザーが指定した正規URL」の項目を確認する
上記項目にURLが表示されていれば、canonicalタグは設定済み。そうでなければ、canonicalタグは未設定と判断できます。
canonicalタグの実装の注意点
canonicalタグは使い方を間違えると、検索結果順位が落ちたり結果表示されなくなる可能性があります。そのような事態を避けるため、以下の注意点を頭に入れておいてください。
- canonicalタグは<head>タグ内に1つのみ記述すること
- 内容の異なるページをURLにしないこと
- canonicalタグの指定先URLを全て同一にしない
- 複数ページにまたがるコンテンツの1ページ目を正規URLにしない
- 指定先のURLを間違えないこと
- サイト(ドメイン)リニューアルやURL変更時には301リダイレクトを使用すること
- canonicalタグは万能ではない
canonicalタグは<head>タグ内に1つのみ記述すること
当然のことですが、<head>タグ内にcanonicalタグを複数記述するのはNGです。かならず「<head>タグ内にcanonicalタグの実装は1つのみ」と覚えておきましょう。
内容の異なるページをURLにしないこと
canonicalタグで指定する正規URLは、対象にしたいページのURLを指定しましょう。
対象ではないWebサイトページのURLを指定した場合、インデックス登録がおこなわれず、ページが表示されなくなることも考えられます。特にHTML内に直接canonicalタグを実装する場合は、注意が必要です。
canonicalタグの指定先URLをすべて同一にしない
canonicalタグで指定するURLをすべて同一にすると、Webサイト内にあるすべてのページが「1つのコンテンツ」と判断される可能性があります。
必ずcanonicalタグで指定するURLは「対象にしたいWebサイトのページのURLにする」と覚えておきましょう。
複数ページにまたがるコンテンツの1ページ目を正規URLにしない
コンテンツ量が多く、複数ページにまたがるような場合、1ページ目のURLをcanonicalタグで指定しがちです。この場合、1ページ目だけが評価対象となり、2ページ目以降はGoogleなどの検索エンジンに見つけてもらえなくなります。
コンテンツ内容が複数ページにまたがる場合は、必ず対象とするWebサイトのページを指定するようにしましょう。
指定先のURLを間違えないこと
当たり前の話ですが、意外と起こるケースです。
「間違えてもすぐに戻せばいいのでは?」と思うかもしれませんが、すぐに修正対応しても今までの検索順位が元に戻らない可能性があります。指定先のURLを間違えたことで、指定先のページが検索結果に表示されず、思いもしない形でSEOの評価が下がる恐れがあります。
単純なことだからこそ、しっかりと意識しておいてください。
URLは絶対パスで実装すること
canonicalタグを用いたURLの指定は必ず絶対パスで実装してください。
絶対パスとは特定ファイルまでの階層を最上部から漏れなく経路を記載したもので、フルパスとも言います。相対パスでもcanonicalタグは指定できますが、Googleなどの検索エンジンが別のWebサイトのものだと評価されてしまいます。
よく間違えやすい例は、次のとおりです。
【間違えやすい例】
- 「http://」と「https://」の違い
- wwwがついているかどうか
- index.htmlがあるかどうか(トップページの場合)
正しくGoogleなどの検索エンジンに正しくURLを伝えるため、URLは絶対パスで実装しましょう。
URLは「%」エンコーディングすること
URL表示に含まれる日本語や記号を「%E5」のような文字で置き換えた形式をパーセントエンコーディングと言い、URLで使用できない文字を排除するために使われます。
パーセントエンコーディング形式のURLは、ブラウザのアドレスバーのURLをコピーするだけで取得できます。
【実装例】
<link rel=”canonical” href=”https://example.com/category/%E8%A3%BD%E5%93%81″>
サイト(ドメイン)リニューアルやURL変更時には301リダイレクトを使用すること
canonicalタグを実装することでURLを正規化(1つのURLに評価を統一する)できますが、ユーザー視点ではURLは統一されておらず、それぞれのURLにアクセス可能な状態です。これにより、ユーザーに不要なページを訪問させることに繋がり、利便性低下の評価をGoogleなどの検索エンジンにされてしまう恐れがあります。
WebサイトリニューアルやURLを変更する場合には、必ず301リダイレクトを用いるようにしましょう。
canonicalタグは万能ではない
ここまでの解説でcanonicalタグが万能のように感じるかもしれませんが、実はそうではありません。canonicalタグはWebサイトの対象ページ自体を正規化する場合は正常に機能します。
例えば、WebサイトのページAに対するHTML内の記述でページBを正規化するなどの実装をした場合、記述どおりの動作が行われない可能性があります。canonicalタグにこういった面があることを、きちんと理解しておくようにしましょう。
canonicalタグの誤使用には十分に気をつけること
canonicalタグは使い方を間違えなければ非常に有用なHTMLタグで、SEO評価の向上に寄与できます。解説したように「301リダイレクトを使うべきところをcanonicalタグを使ってしまった」など、安直にcanonicalタグを使おうとするのではなく、canonicalタグの機能をきちんと明確にしておくことで、SEO評価の低下や誤処理を防ぐことが可能です。
この記事でcanonicalタグについて正しい知識を身につけてください。