どうもFaber Company月岡です。日頃から様々なWebマーケティングやSEOに関するご相談をいただきますが、「競合サイトのアクセス数を知りたい」というご要望を結構な頻度でもらいます。ベンチマークしている競合サイトのアクセス数を知って、自社サイトとの差分を把握したいという気持ちは分からなくありません。
ただ…誤解を恐れず言いますが、「ツールを使って競合サイトのアクセス数など知ったところでなんの施策にも活きません!」(もちろん参考にはなりますが)そこで本稿では、月岡なりの無料でもできる競合サイト分析のやり方とツールの活用方法、データの見方についてお伝えします。
目次
■講演実績:マーケティングアジェンダ/日経クロストレンドForum 他 ◎無料キーワード相談を受付中
競合サイト分析ツールを使った判断のデメリット
※ここは前置きみたいな感じなので、早くやり方教えて!という人は「SEO施策にも活きる競合サイト分析のやり方とは」へ※
いきなり否定から入る感じで申し訳ないのですが、競合サイト分析ツールでアクセス数を把握して色々判断するにはデメリットが多く存在します。なぜならデータの取得方法に“偏り”があるからです。
海外ツールを中心としたWebマーケティング支援ツールには、特定ドメインやURLを入力すると当該サイトのアクセス数などのデータを抽出してくれるものが多く存在します(月数万円~数百万円までピンキリです)。ただ、不思議に思わないでしょうか?そのサイトのGoogle Analyticsをみているわけでもないのに、どうしてそのサイトのアクセス数がわかるのかと。
海外にはデータサービスプロバイダーというのが存在し、Webマーケティングに使えるデータを販売しているところがたくさんあります。こうしたサービスの多くは、ブラウザにインストールするものを中心に、無料で使える便利なツールやサービスなどを配布し、それらの利用ユーザーのデータを吸い上げデータ化しています(クリックストリームデータと呼ばれるものです)。外部から対象サイトのアクセス数を把握できるツールは、こうしたデータを基に推測値を算出しているらしいのですが、実際の数字とは結構な乖離があることもしばしば。。。
もちろん、そうしたデータでも活用の仕方によっては参考にはなります。これらの前提を理解して使うのであれば問題ありません。ただ信憑性の乏しいアクセス数を知ったところで自分たちの施策に落ちてこないことがほとんどじゃないでしょうか。
ということで、施策につながる競合サイト分析について月岡なりの方法をお伝えしていきます。
無料でできる!SEO施策にも活きる競合サイト分析のやり方とは
月岡なりの競合サイト分析は大まかに分解すると、7ステップに分かれます。①~③は基本ステップで、④~⑥は順不同です。⑦は余裕があればやりたいところでしょうか。基本的にはぜんぶ無料でできます。時間はかかりますがぜひトライしてみてほしいです。
- ①競合サイトはどこなのか見極める
- ②競合サイトを“1ユーザー”として使ってみる
- ③ディレクトリマップ把握
- ④想定される主要なキーワードでのファインダビリティ
- ⑤コンバージョンポイント把握
- ⑥各種ソーシャルメディア・その他メディアの活用状況
- ⑦競合サービスユーザーに聞く
1ステップずつ解説しましょう。
①競合サイトはどこなのか見極める
「そんなの分かってるわ!」と思われるかもしれませんが、“Web上の競合”について尋ねると意外と答えられない方が多い印象です。“ビジネス上の競合”が“Web上の競合”でないことも多くあります。ビジネス上の競合だけでなく、Web上での競合サイトを見極めましょう。
調べ方は簡単で、自社サービスのカテゴリに合致するキーワードのいくつかで検索してみて、よく出てくるサイト(URL)がWeb上の競合になりえます。弊社だと「オウンドメディア」「コンテンツマーケティング」「SEOツール」などでしょうか。きちんとWeb上の競合がどこなのかチェックしておきます。
②競合サイトを“1ユーザー”として使ってみる
競合サイトが定まったら、「早速、分析だー!」となると思いますが、少し落ち着きましょう(笑)あーだこーだ分析者として競合サイトを見る前に、そのサイトを使う1ユーザーになりきってサイトを使ってみてください。
そのサイトでサービス・商品を買う、契約するとなったらどう自分が動くのか。その気持ちのままサイトを使ってみて、いいところ悪いところを洗い出します。ここで「●●が使いにくい、読みにくい」「こういうコンテンツは参考になる」といった観点でメモしていくとよいと思います。
※これは自社サイトの分析にも当てはまりますね。GA見る前にやることをオススメします。
このあとのステップ③や⑤あたりにも関係してきますので、じっくりサイトを舐め回すよう(笑)に見ていきましょう。
③ディレクトリマップ把握
一通りのユーザー体験を実施したら、次にざっとどんなページやコンテンツがあるのかを把握します。
- グローバルナビゲーション(グロナビ)
- フッターリンク
この2つからリンクを辿っていくと大方のコンテンツがどんな構成で存在するか判断できると思います。主要なコンテンツはグロナビ(及びその周辺)にあり、フッターリンクにはサブドメインなどで展開されているオウンドメディアやコンテンツサイトがあったりします。見逃さないように整理していきましょう。
調査した内容はExcel等に整理しておきます。マインドマップツールなんかを使うと見やすくまとめられます。さらに、主要コンテンツページごとに「はまりそうな(=検索流入がありそうな)キーワード」も合わせて整理しておくとよいでしょう。ここのあたりは自社のSEO対策を考える上でも大事な調査になりますね。
④想定される主要なキーワードでのファインダビリティ
続けて、先ほど整理した主要コンテンツごとに検索流入キーワードおよびその周辺キーワードでのSEO状況をチェックします。「ファインダビリティ」とは「Web上での見つけやすさ」のことです。キーワードごとに検索順位をチェックしていき、1位は●点、2位は●点など検索順位をスコア化して、算出します。
ただ、これはキーワード数が多いと手作業でやるのはしんどいです。できるならやりたくありません。。ここはツールを使って効率化しましょう。手前味噌ですが、SEOツール「ミエルカ」を使うとベンチマークサイトの流入キーワードを把握、それらの検索順位状況のチェックは一連のフローでできて簡単ですので、ぜひお試しください。
キーワードごとに検索順位と検索ボリュームも分かりますので、想定されるCTRから流入数の算出も可能です。外部から分かる情報だけですが、自社サイトや他サイトもキーワードごとの検索順位という同様の条件で分析できますので、よりファクトに近い分析になるのでは、と思います。
⑤コンバージョンポイント(CTA)の把握
どのようなコンバージョンポイント(CTA)があるかを確認します。このCVポイントの種類は業種やサイト種別によって異なります。
BtoB
- トライアル・資料請求
- サービス問合せ
- メルマガ登録
- ホワイトペーパーダウンロード
- セミナー/ウェビナー申込み
など
BtoC
- 購入(ECなど)
- サンプル、お試し申込み
- メルマガ登録
- 診断コンテンツ
- キャンペーン申込み
など
どのような形式でリード or 見込客獲得をしているのかを整理しておきましょう。メルマガやホワイトペーパー登録などライトコンバージョンが充実していれば、ナーチャリング(見込客育成)フェーズを大事にしているのだと予想できますね。
ついでに、フォームの「項目数」なども月岡はチェックします。フォームによってはURLの構成などから使っているサービス(どのMAかなど)が分かったりします。ちなみにですが、大半のフォームで「もっと項目数少なくすれば、CV増えるのになー」って思うことが多いです。
⑥各種ソーシャルメディア・その他メディアの活用状況
LINE、Twitter、Facebook、Instagram、You Tubeなど、最近ではソーシャルメディアもBtoB企業でも活用が進んでいるのではないでしょうか。動画系だとTik tokも徐々に活用している企業が増えてきた印象です。
チェックのポイントとしては、会社やサービス単位で、
- どのようなアカウントがあって
- フォロワー(登録数)はどれくらいか
- どんなコンテンツ発信を
- どれくらいの頻度でやっているか
などを確認しておきたいところです。
また、Web上のパフォーマンスはパブリシティ(PR)によっても大きく左右されます。お知らせ欄やニュース欄で、テレビや新聞など他メディアでの露出状況を確認しましょう。PRタイムスなどのプレスリリースサイトで社名・ブランド名検索すると、リリース内容などもチェックできます。
合わせて、Googleトレンドを使って指名検索数の推移をチェックしておくのも有用です。どのようなサイトで競合商品やサービスが取り上げられているか分かりますので、意識してなかったメディアが見つかることもあります。トレンドのグラフで大きな山(スバイクして上がっているところ)があれば、何かしらのキャンペーンや露出が関係していると想定できます。
⑦競合サービスユーザーに聞く
これはかなりアナログなのですが、知り合いなどを通じて競合サービスのユーザーにヒアリングをかけるのもアリです。
- なぜそのサービスを契約したのか
- どこで知ったのか
- どこと比較したのか
など
ランチをおごるくらい(笑)で聞けるなら安いものです。最近では競合サービス利用ユーザー(過去利用含む)にヒアリングをできるようなサービスなどもあります。意外と安価ですので、お試しでもできるレベルかと思います。
予算があるようであれば、LINEリサーチやFastaskなどのリサーチパネルを使うことも検討したいですね。数万円から調査は可能ですが、BtoBで対象を絞りすぎてしまうとサンプル数が取れない可能性があるので注意です。リサーチは大手リサーチ会社に頼むと数百万くらいかかってしまいますので、Webサイト分析のためだけに使うには、ちと高額すぎます。サービス全体の設計や見直しなどと絡めて実施することが現実的でしょうか。
徹底的にユーザーを考え抜いた自社サイト運営がキモ
さて、ここまでやれば競合サイト分析としては、かなりのインプットになっていると思います。競合分析ツールでアクセス数を知るだけより、圧倒的に施策に活きてくる感じが持てたでしょうか?
競合サイト分析はもちろん大事なのですが、個人的には「②1ユーザーとして使ってみる」を自社サイトとともにやることが一番重要だと思っています。
自社サービスに興味をもってもらえる可能性のあるユーザーが知りたいこと、解決したいことはなんなのか。どうやって自社サイトにたどり着くのか。このへんを徹底的に考え抜いて、自社サイト運営に活かしたいものです。
競合のマーケティング分析についてはこちらの記事でも解説します。
競合分析やってみた。デジマにおけるやり方、分析項目やフレームワークを実例で解説。
競合サイト分析を通じて、自社の施策を考えるお手伝いもしていますので、ご興味あれば相談くださいませ。