本記事をご覧になっているあなたはすでにアクセス解析をされている方、もしくは、これからアクセス解析に取り組む可能性があって情報を集めている方ではないでしょうか。
この記事ではPV・コンバージョンを増やすためにどのようにWEBサイトをアクセス解析するのか。その具体的な手順と使用するツールを紹介します。
アクセス解析の目的を決める
WEBサイトのアクセス解析は目的を決めるところから始めます。
目的を決めずにアクセス解析を始めると、大量のデータを見て、「へ〜」で終わってしまいがちです。あなたも一度は経験したことがあるのではないでしょうか?
WEBサイトは良くも悪くもあらゆるデータを取得することができるので、データを見る前に自分が何を分析したいのかを決めておきましょう。
通常、あなたが運営しているWEBサイトの目的・目標達成のための施策としてアクセス解析をするので、以下のような目的になると思います。
toC
- 売上を増やす
- PV/MAU/SSを増やす
- 会員登録数を増やす
toB
- 問い合わせを増やす
- 会員登録数を増やす
今回は弊社が運営しているブログから「ミエルカヒートマップ」の問い合わせ数を増やすことを目的にアクセス解析を実践します。
改善対象の項目に影響を与える要素は?
まずは先ほど決めた目的達成のために改善しなければならない要素を洗い出します。
弊社の場合、ブログ記事からサービス問い合わせするには以下のフローが必要になり、以下の要素で問い合わせ数は決まります。
問い合わせ数 = ブログ記事へのアクセス数 × サービスページへの繊維率 × コンバージョン率(問い合わせ率)
つまり、
- ブログ記事へのアクセスを増やす
- ブログ記事→サービスページへの遷移率を高める
- サービスページのコンバージョン率を高める
上記いづれかの変数を改善できればコンバージョン数は増えると言えます。今回は①②、2つの改善に試みます。
では、それぞれの数字をアクセス解析ツールを使って見ていきましょう。
3つのアクセス解析ツールでCV増の打ち手を出す
アクセス解析には有料・無料様々な分析ツールがありますが、著者は3つのアクセス解析ツールで分析を行います。
Googleアナリティクスで各要素の数字を把握
まず、先ほど洗い出した要素のデータを確認するためにGoogleアナリティクスを使用します。
GAのグローバルメニューから
行動>サイトコンテンツ>ランディングページ
をクリック。
次にセグメントを作ります。
今回は「ミエルカブログの記事を見て、ヒートマップサービストップへ遷移したユーザー」
という条件でセグメントを作りました。
セグメントの作り方は以下のようになります。
「+セグメントを追加」→「+新しいセグメント」の順でクリック。
左メニューの「シーケンス」を選択。
フィルターを図のように設定(※)。
※設定方法は各WEBサイトによって変りますので注意してください。
これで、サービストップへ遷移したユーザーの多いブログ記事が特定できます。
Googleアナリティクスのデータをダウンロードし、ブログ記事からサービスページへの遷移率を見てみると、記事によって遷移率の高いもの・低い物があることに気づきます。
さて、あなたならどの記事から改善を行いますか?
正解はありませんが、著者は以下の図のように優先順位をつけます。
理由は
- コンバージョン率が高い記事をさらにコンバージョン率を高めるのは難易度が高い。
- アクセスを増やせるポテンシャルを確認するのは比較的容易
だからです。
コンバージョン率が高いものをさらに改善するには、これまで行っておこなかった新しい施策を打つ必要があります。
しかし、コンバージョン率が低い記事は、他のコンバージョン率が高い記事のデザイン・動線・訴求内容を参考にして修正すればよいので比較的容易といえます。
また、アクセスを増やすポテンシャルの確認も、サーチコンソールを使えば比較的容易に分析ができます。
本記事では、遷移率の違う2つの記事を題材に以下二つの分析をご紹介します。
①コンバージョン率に影響を与える原因を見つけ、コンバージョン率の低い記事を修正する
②コンバージョン率が高いブログ記事へのアクセス数を増やす
ヒートマップツールでユーザー行動を分析。パフォーマンスが悪い記事の原因を調査する。
同じように作っているブログ記事なのにサービスページへの遷移率に違いが生じるのはなぜか。
これはGoogleアナリティクスのデータを見るだけではわかりません。
そこで、ヒートマップというアクセス解析ツールを使います。
ヒートマップはGoogleアナリティクスでは分析できない、読者の行動データを取得することができます。
具体的にはページ訪問者がページの
- どの部分を熟読しているのか
- どこまで記事をスクロールしているか
- どの部分をクリックしているのか
を確認することができます。
ヒートマップツールで遷移率の「差」の原因を調べる
WEBサイト内の遷移率に違いを与える要素は3つあります。
- デザイン/動線
- 訴求内容
- 読者の属性
この仮説を踏まえ、サービスページへの遷移率が大きく違う二つの記事のヒートマップデータを見比べます。
両記事のクリックされている箇所を見てみると、片方はヘッダー部分のサービスページへの遷移ボタンがクリックされていないことがわかります。
ヘッダー部分のデザインは同じなので、デザイン・動線による影響は少ないはずです。
また、読者の属性についてですが、遷移率の高い記事は「ヒートマップの使い方を知りたい」と考えている人を対象に書いた記事で、もともとヒートマップに興味がある読者だと推測できます。
一方、遷移率が低い記事は「コンバージョン率をあげたい」と考えている人を対象に書いた記事で、ヒートマップツールへの興味が一定数あることを想定して作っています。
読者のニーズは違っても、ヒートマップへの興味はどちらもある読者を想定しているので、読者の属性がパフォーマンスに影響することも少ないと考えます。
ということは、両記事のパフォーマンスの違いは
・デザイン・動線の違い- ・訴求内容の違い
・読者の属性の違い
によるものと考えられます。
実際に2つの記事を見てみると、片方はコンバージョンを増やすための分析方法を解説した記事。
もう一方はヒートマップツールのメリットを解説した記事であることがわかります。
どちらもヒートマップツールの訴求はしていますが、遷移率が低い記事はメリット訴求が少ないのでしょう。
訴求力を高めるには、遷移率が高い記事の文言を参考にして記事内容を修正します。
もう一つの方法として、記事内で遷移率の高い(訴求力の高い)記事を紹介する方法があります。
「ヒートマップの活用法・メリットはこちらの記事で解説しています」
のように、訴求力の高い記事を読ませて、そこからサービスを訴求します。
アクセスを増やすには!?サーチコンソールで流入キーワードをチェック
先ほどはサービスページへの遷移率が低い記事の改善案を出しました。
続いて、②コンバージョン率が高い記事へのアクセスを増やす方法を検討します。
アクセスは要素をもう少し細かくみると下図のようになります。
先ほどの訴求力の低い記事から高い記事へ動線を貼るというのは内部からのアクセスを増やす施策です。
次は外部からのアクセスを増やせないか検討します。今回使うアクセス解析ツールはサーチコンソールです。
サーチコンソールに遷移率の高い記事のURLを入力します。
これで入力した対象記事がどんな検索キーワードでアクセスされているかがわかります。
今回対象にした記事は「スマホ ヒートマップ」というキーワードでのアクセスが多いことがわかります。
このキーワードの検索順位が低い場合、検索順位を上げることができれば今以上にアクセスを増やすことができます。
一方、検索順位がすでに高い場合、現状のパフォーマンスが良いことになるのでこれ以上のアクセス増は見込めません。
今回の例では、すでに平均検索順位が2.5位なので、今以上に検索順位をあげてアクセスを増やすことは難易度が高いことが推測できます。
ちなみに、検索順位をあげる手順については「スマホサイトをヒートマップ分析 ‒ UI変更はSEOにも効果あり【事例で解説】」の記事で解説しています。
アクセス解析 分析内容まとめ
今回は2つの記事に焦点を当てアクセス解析をしました。
ここまでの分析をまとめます。
目的:ブログ記事からサービスページへの遷移数を増やす
分析1:Googleアナリティクスでブログ記事の遷移率を算出
分析2:遷移率の高低の原因をヒートマップで調査
分析3:遷移率の高い記事への検索流入数を増やせないかをサーチコンソールで調査
結果:
①遷移率の低い記事の原因と打ち手は以下2つが考えられる
コンバージョン率が低い記事はサービス訴求が弱い
→遷移率が高い記事の訴求内容を参考に訴求文を修正。
→遷移率が高い記事へ内部リンクを貼る。前後の文脈は要調整。
補足:
デザイン・動線について
→両記事に違いはない。
読者の属性
→両記事ともヒートマップに興味を持つ読者をターゲットとしているため、パフォーマンスへの影響は低い
②遷移率の高い記事への検索流入数を増やすのは難易度が高い
改善事例:ヒートマップ分析で商品ページ遷移率3倍
実際に著者が関わらせてもらったクライアント事例をご紹介します。
ご紹介するのはECサイトかわしま屋様の事例です。
https://kawashima-ya.jp/
今回はECサイト内にある記事コンテンツからのCV数を増やすことも目的としてアクセス解析をしました。
プロセスとしては、記事コンテンツ→商品詳細→カートの各遷移率を高める施策を打ちます。
今回は記事コンテンツ→商品詳細の遷移率を高める施策について解説します。
ステップ1:改善ページの特定
記事コンテンツを読んで商品詳細ページに遷移するユーザーの割合をGAで取得しエクセルに一覧化させます。
エクセルの結果を見ると、遷移率の高い記事コンテンツと低い記事コンテンツがあることがわかります。
この差異をヒートマップを使って分析します。
ステップ2:遷移率差異の原因を分析
遷移率の高いページ・低いページそれぞれをヒートマップで確認します。
すると、遷移率の高いページは商品詳細ページへのバナーがクリックされているのに対し、低いページはバナーがクリックされていないことがわかります。
記事内容は同じようなハウツー系記事ですが、読者のニーズに違いがあるのでは?という仮説が立つのでバナーの訴求方法を変える施策が考えられます。(施策1)
また、実際に両ページをユーザーとして利用してみると、ページ遷移の方法に違いがあることがわかります。
※現在は修正されています。
この遷移方法の違いも遷移率に影響を与えている可能性があるので、遷移方法を修正しました。(施策2)
実際には施策2だけを実装しましたが、施策前後の2週間弱で施策を行ったすべてのページで記事コンテンツ→商品詳細ページへの遷移率が上がり、その結果カートへの商品投入率も上がりました。
まとめ
今回はブログ記事からサービスページへ遷移させる数を増やすための打ち手を考えました。
今回のアクセス解析で使用したのは
- Googleアナリティクス
- ヒートマップ
- サーチコンソール
の3つです。
Webサイトの改善にはアクセス解析ツールは必須です。
ただし、ツールは道具でしかなく活用する手順やそもそものアクセス解析のノウハウがわかってツールの価値は発揮されます。
弊社ではヒートマップの無料トライアルの他、個別の簡易コンサルティングを行っています。
これからアクセス解析を始めたいという方は是非参考にしてください。
▽問い合わせURL
【無料】ヒートマップ分析ツール – MIERUCA(ミエルカ)
著者PROFILE
ミエルカ研究所は、人工知能と言語処理の力で、「言葉」の持つ可能性を追及、研究していくための研究所です。
SEO&コンテンツマーケティング・オウンドメディア支援ツール「ミエルカ」を提供するFaber Companyが母体となってます。