オウンドメディアとソーシャルメディア(アーンド)、ペイドメディアの違いとは?トリプルメディアの特徴と役割を理解して使い分けよう
更新日:2022.10.5 公開日:2017.02.01オウンドメディアとソーシャルメディアに力を入れている企業は多いものの、各メディアをうまく使い分けられていなかったり、どれも更新が追い付いていないといった実態もよく目にします。そこで今回は、あらためてオウンドメディアとソーシャルメディア、さらにペイドメディアもいれて、その特徴と役割の違いについて理解し、どのように使い分ければいいのかをまとめてみました。
企業におけるトリプルメディアとは
オウンドメディアとソーシャルメディアの関係を語る前提として、企業におけるトリプルメディアについておさらいしておきましょう。トリプルメディアとは、企業と消費者の接点となりえる3つのメディア(ペイドメディア・アーンドメディア・オウンドメディア)の総称です。それぞれのメディアの特徴は下記のとおりです。
◆ ペイドメディア(paid media)
費用を支払って既存のメディアに「広告」として出稿し、当該メディアの読者やユーザーにリーチします。広告として出稿フィーが発生する(費用を支払う)のでペイドメディアと呼ばれます。幅広いユーザーに製品・サービスの認知を広げる効果があります。
マスメディア(新聞・雑誌・テレビ)やWeb広告が該当します。マスメディアは歴史があり、いまだ影響力の大きいメディアであるものの、出稿費用が高額で、メッセージが一方通行になりやすい側面もあります。
◆オウンドメディア(owned media)
企業が自社で所有・運営するメディアで、製品・サービスやそれらが解決する悩み・課題に関連するコンテンツを用いて自社の顧客になりうるユーザーにリーチします。代表的なものに自社製品サービスのWebサイトやブログ、メールマガジンなどがあります。どのような方向性で何を発信するかを企業側でコントロールできますが、特にブログなどの潜在ユーザー向けのコンテンツは直接的な売上効果という意味では即効性は低く、そうした効果を生むには継続的な運用と成果を待つ根気が大事になります。
◆アーンドメディア(earned media)
消費者や顧客が情報を発信するメディアで、企業ではなく消費者や顧客が自発的に発信する情報のため、そこで得られたよい評判や口コミは大きなPR価値を持ちます。口コミサイトやFacebook・Twitter・Instagram・LINEなどのソーシャルメディアが該当します。よい口コミや評判が多くなれば自然と自社のファンや顧客が増えていくメリットの一方で、企業が情報をコントロールできない分、予期せぬ〝炎上〟のリスクもあります。
このように、3つのメディアにはそれぞれの特徴があるため、マーケティング活動を行う際は特徴を活かしてうまく使い分けをしていく必要があります。
オウンドメディアとソーシャルメディアの特徴と役割、活用事例
では、今回のテーマであるオウンドメディアとソーシャルメディアの特徴と事例について詳しく見ていきましょう。
まず、オウンドメディアはメディアの方針・集客方法・発信の際の様式などをすべて自社でコントロールできるというメリットがあります。また「ファンや顧客とのエンゲージメントを確立する」「見込み顧客の興味度を上げる」などメディアの目的を決めて情報発信できるため、多様なニーズに応えるコンテンツが揃えられます。しかし、話題や信用を獲得するメディアになるためには、コンテンツ量・質・独自性などが必要で、何よりそれを継続する運用体制の構築が肝になります。
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オウンドメディア事例
オウンドメディアの成功事例として紹介したいのが、キューピー株式会社のキューピーマヨネーズキッチン。
マヨネーズが料理に幅広く使えることを知ってもらうために、「揚げる」「炒める」など意外性のあるレシピの紹介をしています。ファーストビューに見慣れたキューピーマヨネーズのパッケージを載せつつ、幅広いレシピのバリエーションが一覧できるようになっています。何より美味しそうな写真が食欲をかきたてます(笑)
「このサイトでレシピを探してみようかな」と思わせるのが重要で、クリエイティブにこだわり、自由に素材を配置したりして「見せ方」の工夫が出来るのはオウンドメディアならではかと思います。
アーンドメディア(ソーシャルメディア)の事例
一方で、アーンドメディアの1つであるソーシャルメディアは、ファンや顧客とインタラクティブな(双方向の)コミュニケーションを取ることができるメリットがあります。投稿内容はユーザーによって拡散されるので、ユーザーの友達、さらにそのまた友達…と今まで直接アプローチできていなかった潜在顧客に知ってもらうキッカケも生まれます。
しかし、コンテンツの見せ方やレギュレーション(ルール)が利用するメディアに依存します。ソーシャルメディアと一口に言っても、Facebook・Twitter・Instagramなど多岐に渡り、メディアごとに発信のお作法や得手不得手も変わるため、それらを理解した上で活用しないとファンを獲得できないどころか、逆に負のブランドイメージを生み出しかねません。
ソーシャルメディアを活用した成功事例としてご紹介したいのが、株式会社土屋鞄製造所のFacebookページです。
現在29万の「いいね」を集めており(!)、Facebookページのお手本としてもよく取り上げられているこちらのFacebookページ。こだわりの革製品、季節を感じさせる風景、職人の様子などを切り取った美しい写真が特徴的です。おそらくユーザーの多くは、自分の友人が「シェア」や「いいね」をしていた写真に惹かれ、土屋鞄製造所を知り、自らもファンになったのではないでしょうか。さらに、土屋鞄製造所のInstagramで投稿される写真はどれも世界観があって素晴らしいものが多く、私も好きなアカウントの一つです。
オウンドメディアとソーシャルメディアを使い分けてユーザーと最適なコミュニケーションを
オウンドメディアとソーシャルメディアをうまく使い分けて運用することはなかなか難しいものです。
そのような中で、たとえば株式会社東急ハンズのオウンドメディア「ハンズのヒント」ではマイナビニュースとコラボして、住まいや生活に関連する読み物コラムを発信、Twitterアカウントでは、運用者(管理者)の性格や人柄が垣間見える親しみやすいトーンで、東急ハンズ商品をPRしつつフォロワーともコミュニケーションを取るなどうまく使い分けができています。
フォトブックサービスを展開する株式会社TOLOTは、ブログで写真にまつわる情報発信を行い、Facebookページではブログの更新案内がメインではあるもののユーザーからのコメントに対しては真摯に返答しています。Instagramでは「♯TOLOT」というハッシュタグを普及させ、9,000件以上のTOLOT利用者からの投稿を集め口コミ的な役割を果たしています。
※参考記事:「オウンドメディアやSNSを活用したネットPRで企業は何をどう伝えればいい?話題を体系的に組み立てている株式会社TOLOTのノウハウを取材しました」
ただソーシャルメディアはプラットフォームの流行り廃りに影響を受けやすかったり、ファンを獲得できないとユーザーにリーチができないというデメリットがあります。一方、オウンドメディアがSEOで効果を発揮するまでにも一定の時間が掛かります。構築して間もない段階では、拡散を狙えるソーシャルメディアやソーシャル広告をうまく活用することで、オウンドメディアへの集客を助けることもできるでしょう。
当ブログではコンテンツを更新した後、MIERUCAのFacebookページで更新情報をお知らせしています。もちろん検索キーワードは意識したコンテンツ設計を心がけていますがソーシャルシグナルを獲得することも同様に重要視しています。また、投稿後にFacebook広告を少額(1,000円とかでOK)でも実施するのをオススメします。コンテンツのリーチを高めることができますし、Facebookページ自体への「いいね」も意図をもって増やすことが可能です。(もちろん読んで何かしらの気づきを得てもらえるようなコンテンツであることが前提ですが)
まとめ
今回みてきたオウンドメディアとソーシャルメディアの特徴や違いをまとめると下記の通りです。
オウンドメディア
- 自社フォーマットで自由なコンテンツ表現、発信方法が選択可能
- 検索ニーズのあるようなコンテンツに強い
- SEOを集客のメインチャネルとするには、時間とある程度のコンテンツ数が必要
ソーシャルメディア
- どのプラットフォームを選択するかでリーチできるユーザー層が変わる
- 「シェア」や「いいね」などユーザーの能動的な行動でコンテンツが拡散される
- ファンを獲得するまではリーチできるユーザーが少ない
大切なのは、それぞれのメディアの特性を知り、うまく使い分けること。各メディアの特性ごとに補完し合うようメディア運用設計することで、ユーザーと気持ちのよいコミュニケーションがとれる独自の”プラットフォーム”が構築できるのではないでしょうか。
著者PROFILE
SFA導入コンサルからCRMベンダーのセールスに転身し、営業マネージャーに。その後Faber Company営業部長を経て、マーケティングを担うIMC部を設立。現在は執行役員として、ミエルカのプロダクトマネージャーやセミナー登壇などの活動をメインに行っている。
■ 講演実績:マーケティングアジェンダ/日経クロストレンドForum 他■Twitter:@tsuuky09