サイトマップはWebサイトの構造をわかりやすく可視化した、ファイルやページのことです。サイトマップの目的は大きく3つあります。Webサイト構築時にその構造を整理するため、ユーザビリティを向上するため、そして検索エンジンにWebページやファイルをクロールしてもらうためです。
サイトマップはSEO対策においても重要です。とくにページ数が500ページ以上のWebサイトでは、漏れなく検索エンジンにWebページの情報を伝えるためにもしっかりと管理・運用する必要があります。本記事ではサイトマップの意味や種類、具体的な作成方法や送信方法などについて、初心者の方にもわかりやすく解説します。
目次
サイトマップとは
サイトマップとは、読んで字のごとく「Webサイトの地図」という意味です。具体的には、Webサイトの構造を可視化したファイルやWebページなどを指します。
サイトマップはSEO対策の一環として、検索エンジンにWebページの情報を伝えるために使われます。たとえばGoogleは、サイトマップがあることでクローラーがより効率的にWebページを巡回でき、インデックスの効率化に役立つことを公表しています。
サイトマップの3つの種類と目的
サイトマップは目的別に大きく分けて3つの種類があります。
- ①Webサイト構築時に使用するサイトマップ
- ②ユーザビリティ向上のためのサイトマップ(HTML)
- ③SEO対策としてのサイトマップ(XMLなど)
①Webサイト構築時に使用するサイトマップ
Webサイトを新しく構築したりリニューアルしたりする際に、サイト全体の構成を整理するために作成するサイトマップです。TOPページ以下のページメニューを決めたり、ページ同士の関連性(リンク)を可視化したりします。
このときのサイトマップは、サイト制作に関わるメンバー向けの説明資料なので、作成にはパワポやデザインソフトが用いられます。
サイトマップを作成し共有することで、クライアントやチームメンバーがサイトの全体像を把握でき、必要なページや不要なページを検討できます。
②ユーザビリティ向上のためのサイトマップ(HTML)
ユーザビリティ向上のために作成される、HTML形式のサイトマップもあります。例えば、サイト上のページ数が多くなる場合に、主要なカテゴリページへのリンクを一覧にすることでユーザーが目的とするページへたどり着きやすくなります。
③SEO対策としてのサイトマップ(XMLなど)
Googleなどの検索エンジンに、Webページの情報や更新情報を伝えるために使用されるサイトマップです。
検索エンジンのクロールを手助けするものなので、検索エンジンが推奨しているファイル形式で作成します。基本的にXML形式(sitemap.xml)で作成するほか、Webサイトやブログの更新案内の役割を持つ「RSSフィード」を活用することもあります。
Googleは以下の場合にサイトマップが必要になることがあるとしています。
- サイトのサイズが大きい
- サイトが新しく外部からのリンクがない
- サイトに動画などのリッチメディアコンテンツが多い、ニュースに表示されている
基本的にクローラーは、Webサイトのリンク(URL)をたどって個別ページの情報を収集します。大規模なサイトではサイトマップがあることで、クローラーの巡回を助けることができます。
サイトがまだ新しく、外部からのリンクがない場合も、クローラーが巡回できないWebページが発生しますので、サイトマップが必要です。そのほかにも、サイト上に画像や動画、ニュースなどのリッチコンテンツがある場合は、別途サイトマップを作成しクローラーの評価につなげることが推奨されます。
一方でGoogleは、ページ数がおよそ500以下となるWebサイトや、リッチコンテンツが少ないWebページなどはサイトマップが必要ない場合もあるとしています。中小規模のWebサイトでは、通常問題なくクロールされインデックスされるためです。
サイトマップの4つの形式
サイトマップには4つの形式があります。それぞれに役割やメリット/デメリットがあるので、目的によって使い分けることが重要です。以下に解説します。
- ①XMLサイトマップ
- ②RSSなどのフィード
- ③テキストサイトマップ
- ④HTMLサイトマップ
①XMLサイトマップ
XMLサイトマップは、XML形式で記述したサイトマップのことです。XMLはマークアップ言語の1つであり、具体的に以下のように記述します。
<?xml version=”1.0″ encoding=”UTF-8″?>
<urlset xmlns=”http://www.sitemaps.org/schemas/sitemap/0.9″>
<url>
<loc>https://www.example.com/foo.html</loc>
<lastmod>2022-06-04</lastmod>
</url>
</urlset>
XMLサイトマップのメリットは、活用の幅が広いことです。画像や動画、ニュースコンテンツに関する情報なども追加できます。
また、さまざまなプラットフォームでサポートされていることもメリットの1つです。CMSではXMLサイトマップを自動生成するプラグインが用意されていることも多いです。
一方、XMLサイトマップのデメリットは、編集が困難な場合があることです。大規模なサイトや URLが頻繁に変更されるサイトでは、サイトマップの構造が複雑になり管理が難しくなる場合があります。
②RSSなどのフィード
RSS、mRSS、Atom 1.0をはじめとするフィードもサイトマップとして利用できます。
フィードとは、Webサイトの内容の要約や更新情報を配信する仕組みのことです。RSSフィードを実装しておくことで、Webサイトの更新をクローラーに知らせることができます。
サイトマップにRSSなどのフィードを用いるメリットは、Webサイトの更新を都度、検索エンジンに配信する手間を省けることです。RSSフィードでは、更新された直近のURLのみが送信されます。
デメリットは、フィード配信で提供できるのはHTMLなどのインデックス登録可能なページと動画に関する情報のみであり、リッチコンテンツの情報を提供できないことが挙げられます。また、フィード配信には専門知識が必要なため、扱いがやや難しい点も挙げられます。
③テキストサイトマップ
テキストサイトマップはもっともシンプルな形式のサイトマップです。1つのURLを1行で記述する、シンプルなテキストファイル形式となっています。
https://www.example.com/file1.html
https://www.example.com/file2.html
テキストサイトマップを用いるメリットは、シンプルである点です。そのため誰でも容易に作成が可能です。
デメリットは、テキストマップで送信できるのは、インデックス登録可能なページのURLのみに限定されてしまう点です。画像や動画、PDFなど、そのほかのデータを送信したい場合は、XMLサイトマップなど、ほかの方法を併用する必要があります。
④HTMLサイトマップ
HTMLサイトマップは、Webサイトの主要なメニュー構成を見える化したものです。ユーザーが目的のページにたどり着きやすくするため、カテゴリページへのリンクを一覧にします。
HTMLサイトマップには、サイトマップの専用ページを設けるケースと、フッターにサイトマップ情報を記載するケースがあります。
WebサイトをCMSで構築している場合は、HTMLサイトマップを自動生成できるプラグインが使える場合があります。WordPressを導入している場合は、後述の「WP Sitemap Page」を使用できるので検討してみましょう。
サイトマップの作り方
サイトマップは手動で作成するほかに、CMSの機能を使って作成する方法と、サイトマップ作成ツールを使う方法があります。以下に、それぞれの作り方を解説します。
①WordPressなどのCMSの機能で作成する
WordPressをはじめとするCMSには、サイトマップを自動で作成する機能やプラグインがあります。
HTMLサイトマップを作成する際は、「WP Sitemap Page」が使用できます。
「WP Sitemap Page」プラグインをインストールし有効化したら、固定ページを追加しショートコードを入力して完了です。
XMLサイトマップの作成には、「XML Sitemap Generator for Google」が使用できます。
「XML Sitemap Generator for Google」プラグインをインストールし有効化するだけで、XMLサイトマップが生成されます。
「設定」から、サイトマップに掲載する情報と非掲載にする情報など、より高度な設定を行うことも可能です。
②サイトマップ生成ツールで作成する
サイトマップを自動で生成してくれるツールも活用できます。例えば、「Xml-Sitemap.com」では、500ページまでのサイトマップを無料で作成できます。
XML-Sitemapにアクセスし、ウィジェット内にサイトマップを生成したいWebサイトのURLを入力します。「START」をクリックすると、サイトマップが自動で生成されます。
「DOWNLOAD YOUR XML SITEMAP FILE」からサイトマップファイルをダウンロードできます。
サイトマップ生成ツールは、無料で使用できるものから有料のものまで、さまざまなサービスが展開されています。
ただし、無料版はページ数に上限があったり、サポートが得られない場合があったりしますので、留意しましょう。
③手動で作成する
プラグインなどの機能をむやみに使いたくない場合は、手動で作成することも可能です。
例えば、XMLサイトマップは、テキストエディタなどでXMLタグを記述し、拡張子を.xmlとすることでファイルを作成できます。
基本的な記述は以下の通りです。
<?xml version=”1.0″ encoding=”UTF-8″?>
<urlset xmlns=”http://www.sitemaps.org/schemas/sitemap/0.9″>
<url>
<loc>http://www.example.com/</loc>
<lastmod>2005-01-01</lastmod>
<changefreq>monthly</changefreq>
<priority>0.8</priority>
</url>
</urlset>
手動でサイトマップを作成する際は、コードの抜け漏れが起きやすいので注意が必要です。Webサイトの情報が新しくなるたびに更新の手間もかかるため、先に紹介したCMSの機能やサイトマップ生成ツールを使って作成する方が望ましいでしょう。
検索エンジン向けサイトマップ作成時の注意点
検索エンジン向けにサイトマップを作成する際は、いくつかルールがあります。ここではGoogleを例に解説します。
①サイトマップのサイズ
サイトマップには送信できるサイズに制限があります。
Googleは、1つのXMLファイルに記載できるURLの数は50,000件以下、ファイルサイズも非圧縮状態で50MB以下と指定しています。
作成したサイトマップのサイズが上限を超えてしまう場合は、ファイルを分割して送信するようにしましょう。
②サイトマップのエンコードと設置場所
サイトマップファイルは、検索エンジンが数値データとして認識できる形式にエンコードしなければいけません。XMLファイルの文字コードはUTF-8(ユーティーエフエイト)で作成しましょう。
作成したサイトマップファイルは、サイトのどの場所に置いても問題ありません。ただし、Search Consoleでサイトマップを送信しない限り、親ディレクトリから下の階層の情報しか伝えられません。そのため、最上位のディレクトリ(ルートディレクトリ)に設置することが推奨されています。
③URLの表記
サイトマップは「絶対参照」のURLを記載します。具体的には「https://○○○.com/XXX/abc.html」まで含めます。「/XXX/abc.html」のように相対URLでの指定はできません。
サイトマップに含めるURLは「正規のURL」のみです。Googleは同じページのPC版とモバイル版が存在する場合、いずれかのURLにのみ掲載することを推奨しています。
検索エンジンへのサイトマップの送信方法
サイトマップは作成し設置しただけでは、SEO対策としては不十分です。検索エンジンにサイトマップ内の情報を認識してもらうために、ファイルをウェブマスターツールに送信する必要があります。
サイトマップの送信方法について、以下の3つを解説します。
①Search Consoleを使用する
Search Consoleにsitemap.xmlファイルを登録することで、Webページの存在をクローラーに通知することができます。Search Consoleの管理画面上で、左端にあるメニューから「サイトマップ」を選択します。
画面上に「新しいサイトマップの追加」検索窓のようなウィジェットが現れますので、sitemap.xmlファイルのURLを貼り付け、送信します。
規模が大きく、サイトマップが要領の上限を超えてしまう場合は、分割して送信しましょう。その場合は、複数のサイトマップをリストにまとめたサイトマップインデックスを使用すると、送信作業が効率化できます。
サイトマップインデックスとは
サイトマップインデックスとは、送信するサイトマップをまとめたファイルです。
例えば以下は、2件のサイトマップをまとめたサイトマップインデックスです。
<?xml version=”1.0″ encoding=”UTF-8″?>
<sitemapindex xmlns=”http://www.sitemaps.org/schemas/sitemap/0.9″>
<sitemap>
<loc>https://example.com/sitemap1.xml</loc>
</sitemap>
<sitemap>
<loc>https://example.egokorodiary.com/sitemap2.xml</loc>
</sitemap>
</sitemapindex>
XML宣言を記述した後で <sitemapindex> タグで全体を囲い、その中にWebサイト上で使用するサイトマップ情報を記述します。
②robots.txtを使用する
robots.txt(ロボッツテキスト)上でサイトマップファイルを指定する方法もあります。 robots.txtは、クローラーのアクセスを制御するためのファイルです。以下のように記述します。
Sitemap: https://www.example.com/sitemap.xml
③pingツールを使用する
サイトマップを送信するには、Pingツールを使用する方法もあります。
https://www.google.com/ping?sitemap=https://example.com/sitemap.xml
pingツールを使用すると、「再度アクセスして処理する必要があるサイトマップであること」が検索エンジンに伝わります。
ただし、pingツールは2023年12月にサポートが終了していますので、2024年以降の利用には注意が必要です。
サイトマップはWebページ以外にも使える
サイトマップは動画など、Webページ以外の情報を伝えることも可能です。
①動画サイトマップ
動画サイトマップとは、Webサイトに掲載している動画のタイトルや所要時間、投稿日やサムネイル画像のURLなどをXML形式で記述したものです。動画コンテンツの詳細を検索エンジンに伝えることができます。
②画像サイトマップ
画像サイトマップは、Webサイトに掲載している画像コンテンツのタイトルや地理情報、ライセンス先URL情報などをXML形式で記述したものです。例えば、JavaScripコードで遷移先にある画像など、一般的なインデックス方法では検出されづらい画像の情報を検索エンジンに伝える場合に有効です。
③ニュースサイトマップ
ニュースサイトマップとは、ニュースコンテンツの情報とその記事に関する追加情報を検索エンジンに送信するためのサイトマップです。
サイトマップは更新・管理しないと意味がない
サイトマップはユーザーや検索エンジンにサイトの構造を伝え、たどりやすくするためのものです。そのため正しく更新・管理しないと意味がありません。
定期的にサイトマップ生成ツールで更新するなどして、検索エンジンに正しいサイトマップ情報を伝えられるようにしましょう。
まとめ
サイトマップとは、Webサイトの構造を可視化したファイルやWebページのことであり、「Webサイトの地図」の役割を果たします。検索エンジンのクローラーは、サイトマップがあることでより効率的にWebページを巡回することができます。
検索エンジンのクローリングを助けるほか、Webサイトの構築時にサイト構造を整理したり、ユーザビリティを向上したりする目的でもサイトマップは作成されます。
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