OpenAIによって開発されたChatGPTを使った記事ライティングの手法を詳細に解説します。未経験者からプロのライターまで、効率的に高品質な文章を生成するための技術を学ぶことができます。記事ライティング上のSEO対策についても触れておりますので、併せてご参考下さい。
ChatGPTとは?
ChatGPTとは、OpenAIが開発した自然言語処理のAIアルゴリズムです。テレビなどメディアで取り上げられる機会も増え、耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
ChatGPTでは、対話や質疑応答によって質問の回答が得られたり、文章を生成したりすることができます。そのため、構成案のたたき台やタイトル案のアイデア出し、メタディスクリプションの作成、文章のブラッシュアップなど記事作成の効率化を図りたい場合に役立ちます。
実際にChatGPT(GPT-3.5)に記事作成について質問したところ、以下の回答が生成されました。
ChatGPTをはじめとしたAIとコミュニケーションを取るときに重要なのが、AIに問いかける文章です。AIに問いかける文章は「プロンプト」と呼ばれています。AIが出力する回答はプロンプトに左右されるため、欲しい回答を導き出すには適切なプロンプトを考える必要があるわけです。
より質の高いコンテンツを作成するために、プロンプトに時間がかかってしまうこともあります。しかし記事作成の効率化を目的としてChatGPTを利用している場合は、プロンプトに時間をかけてしまうと本末転倒になってしまいます。ChatGPTの特性を理解して、うまく活用しながら記事作成の効率化を図ることが理想的です。
AIの主な種類
ChatGPTをはじめ文章生成ができるAIはさまざまあります。代表的な文章生成AIは、以下のとおりです。
- ChatGPT(OpenAI)
- bing(マイクロソフト コーポレーション)
Bard→ Gemini(Google)- Notion AI(Notion Labs)
- Claude
今回取り上げているChatGPTのエンジンには、現状GPT-3.5とGPT-4の2種類あります。GPT-3.5は無料で利用できますが、GPT-4の利用は有料となります。有料の「ChatGPT Plus」で利用できるGPT-4では、画像で質問できたり、GPT-3.5より回答の正確さが高まったりしています。
また、文章生成ができるAIの他にも、Midjourneyをはじめとした画像生成ができるAIもあるため、用途によって適したAIを利用すると作業を効率化できます。たとえばChatGPTなどの文章生成AIで画像生成AIに対するプロンプトを作成しておくなど、複合的にAIを利用することも可能です。
今回は無料で利用できるGPT-3.5を取り上げて記事ライティングの活用方法を詳しく解説します。
記事作成するときにChatGPTが役立つ場面5つ
SEO対策を意識して記事作成するときにChatGPTが役立つ場面は、以下の5つです。
- ペルソナ設定の作成
- 構成案のたたき台作成
- タイトル案のアイデア出し
- 事例のアイデア出し
- 文章のブラッシュアップ
SEO記事の作成で、ChatGPTを活用してできることを詳しく解説します。
ペルソナ設定の作成
検索エンジンで検索上位に自サイトのページを表示するためには、SEOを意識して記事を作成する必要があります。検索ユーザーに役立つ記事を作成する前に、執筆するキーワードを検索するユーザーがどのような課題を持っているのかを想定しておくと、ユーザーに寄り添った記事が作成できます。そのため、SEO記事の作成では、ペルソナ設定は重要です。
たとえば、ChatGPTで以下の要素を洗い出し、ペルソナ設定を作成してもらえます。
- 年齢
- 性別
- 年収
- 職種
- ユーザーが検索した背景
- ユーザーがどのようになりたいのか
- 顕在ニーズと潜在ニーズ
執筆するキーワードを検索するユーザーが、どのような課題を持っているのかを想定してもらい、ペルソナのセグメントを生成してもらうことが可能です。
実際に、ChatGPTで「Webマーケティング」に関するペルソナ設定を生成しました。
生成したペルソナ設定を活用して、顕在ニーズと潜在ニーズを聞いてみると以下の回答が得られました。
複数回同じプロンプトを投げると、これまでと違った回答が得られます。生成した回答が意図から外れてしまう場合は、プロンプトを変更してみましょう。
また、ChatGPTは人物設定を付与すれば、人物になりきって回答してくれます。ペルソナ設定を作成したらペルソナになりきってもらい、検索意図や抱えている課題を回答してもらうのもひとつの手です。
構成案のたたき台作成
ChatGPTで記事の骨子となる構成案を作成できます。たとえば、先ほど生成したペルソナの課題を解決できるように、記事の構成案を考えてもらいました。
上記のように見出し名と各見出しの内容を箇条書きで生成できます。見出しのルールをプロンプトで設定すれば、体裁を整えて構成案を生成することも可能です。
今回生成した構成案では、「参考文献」といった記事内で取り上げるには適していない見出しを生成してしまうこともあります。
ChatGPTは最新情報を学習しておらず、SEOを意識して生成することが難しいため、あくまで構成案のたたき台として利用するようにしましょう。
タイトル案のアイデア出し
SEO記事のライティングでの悩みのひとつが、記事のタイトル作成です。記事のタイトルはありきたりになってしまいがちなので、ChatGPTを活用してタイトル案を出してもらうことが有効です。
さらに、ChatGPTではタイトル案のアイデア出しのほかに、自分で作ったタイトル案にダメ出しをしてもらうこともできます。よいタイトル案が出てこないときや、考えたタイトル案に納得がいかないときは、ChatGPTに相談してみるのもひとつの手段です。自分では思いつかないようなワードが見つかるかもしれません。
事例のアイデア出し
SEO記事のライティングでは、読者に想像してもらいやすいように「たとえば~」のように事例を交えながら解説することがあります。実体験が少ないキーワードに関して執筆する場合は、事例を考えるのに苦労しがちです。
今回は「Webマーケティング」をおこなうメリットの事例をあげてもらうと以下のように、詳しく解説してくれました。
事例のアイデアを出すときに、ChatGPTと対話しながら、事例をいくつか考えてもらうと自分では出てこないような切り口で提案してくれることがあります。
読者に伝わりやすい事例が思い浮かばないときは、ChatGPTを試してみるのがおすすめです。
文章のブラッシュアップ
ChatGPTは文章の生成だけではなく、文章の校正や推敲にも役立ちます。以下のようにライティングした文章を部分的に読み込ませて修正してもらうことも可能です。
修正した理由を質問すると、以下のとおり回答してくれました。
ChatGPTは修正した理由も答えてくれるので、理由を確認して修正案を採用するか決めるとよいでしょう。文章が伝わりにくく、冗長になってしまった場合にChatGPTを活用するのが有効です。
ChatGPTが記事作成でできないこと
SEO記事のライティングで必要なさまざまな作業を効率化できて、何でも自動化できてしまいそうなChatGPTですが、記事作成で不向きな作業もあります。
たとえば、GPT-3.5でできないのは以下のような作業です。
- 最新情報を集める
- SEOを意識した記事作成
- ファクトチェック
- 記事作成の丸投げ
ただしGPT-4以降、新たな大規模言語モデル(LLM)が発表されるなど状況が変われば、これまでできなかったことも対応できるようになるかもしれません。
それでは、ひとつずつお伝えします。
最新情報を集める
GPT-3.5は2021年にトレーニングを終えているので、最新情報を常に学習しているわけではありません。そのため、最新情報をリサーチするのは困難です。
たとえば、トレンドや時事ネタを記事内で取り上げる際はChatGPTから正確性の高い回答が得られない可能性が高いので、記事作成での使用は向いていません。
しかし、プラグインを使うことでChatGPTに必要な情報を個別に学習させることができます。最新情報などの記事作成で使用する場合は、前もって情報を学習させておくとよいでしょう。
ただし学習させた情報は、OpenAIがデータを保管し他に利用される可能性もあるので、機密情報などが漏れないように留意しましょう。
SEOを意識した記事作成
SEO記事を作成するときは、検索結果の上位記事を参考にしたり、検索意図を把握したりするのが一般的です。
しかし上記でも解説したとおり、GPT-3.5は最新情報を学習していません。そのため、現状を捉えて検索上位の記事や検索意図を正確に把握するのは難しいわけです。
SEOを意識した記事の作成は、アイデア出しにとどめるとよいでしょう。また執筆で利用する場合は、SEO対策ができているかをチェックする必要があります。
ファクトチェック
ChatGPTが生成する文章には、正しい情報と不正確な情報が混在しています。文章を作成するときは、かならずファクトチェックが必要です。
ChatGPTで記事を作成する場合は、作成するキーワードに対して書き手側にまったく知識がないと情報を精査するのが難しいといえます。
記事作成のさまざまな工程を効率化できますが、文章の内容を確認する作業が発生することを念頭に置いておきましょう。
記事作成の丸投げ
ChatGPTを使えば、プロンプトにそって体裁が整った記事を生成できます。しかし、情報が正しくなければ検索ユーザーの役には立ちません。
ChatGPTをはじめとした文章生成AIは、記事作成をすべて自動化できるように見えますが、現状では情報の精査やSEOを意識した文章の生成が難しいという欠点もあります。そのため、記事作成を丸投げすることは避けた方が無難です。
ChatGPTを利用する前に知っておきたい注意点
SEO記事の作成を効率化してくれるChatGPTですが、利用するときに注意しておきたい点があります。
利用する前に、以下の注意点を理解しておきましょう。
- 情報を精査する必要がある
- ChatGPTに機密情報は流さない
- 随時アップデートされるため知識・情報が古くなりやすい
- 利用方針を事前に確認しておく
注意点を詳しく解説します。
情報を精査する必要がある
ChatGPTなどのAIは、文脈と関連性のない文章や事実と異なる内容の文章を生成することがあります。このようにAIがもっともらしい嘘をつくことをハルシネーション(Hallucination)と呼びます。
たとえば、「博多駅周辺で人気のあるもつ鍋店をピックアップしてください。」と質問したところ、以下のように回答してくれました。しかし、調べてみるとピックアップした店舗はどれも実在せず、URLをクリックしてもサイトがありませんでした。
概要までしっかりまとまっているので、まさか実在しない店舗がリストアップされているとは一見しただけではわかりません。
上記のように真偽不明な情報が入っていることがあるため、ChatGPTが生成した文章は必ず情報が正しいのか精査する必要があります。
ChatGPTに機密情報は流さない
ChatGPTでは、チャット履歴や個人情報が他ユーザーに表示されてしまうなど、一部不具合も報告されています。機密情報や個人情報をプロンプトに入れてしまうと学習に利用される可能性があるため、重要な情報を誤って漏らさないように注意が必要です。
実際に大手電子機器メーカーでは、ChatGPTに機密コードの修正や議事録の作成を依頼するなど機密情報を漏らしてしまい、大きな問題となりました。
ChatGPTは業務の効率化に役立ちますが、情報漏洩などセキュリティリスクが伴うことを理解して使用するようにしましょう。
なお、ChatGPTではプロンプトを学習させないようにするオプトアウトを申請することが可能です。オプトアウトする場合は、Googleフォームを通して申請できます。必要に応じて検討しましょう。
随時アップデートされるため知識・情報が古くなりやすい
ChatGPTをはじめとしたAIは日々進化しているので、得た知識や情報が古くなりやすいといえます。常にChatGPTに関する知識や情報をアップデートしておくことが大切です。
記事作成についても進化した大規模言語モデル(LLM)が提供されることで、最新情報なども出力できるようになるかもしれません。現状では、記事作成で活用が難しい工程が、将来的に実用化できる可能性があると考えておくとよいでしょう。
新たな大規模言語モデル(LLM)がリリースされれば、利用方法などAIに関する知識や情報の覚え直しが必要です。
利用方針を事前に確認しておく
ChatGPTを記事作成で利用する場合は、前もって利用方針を決めておくと安心です。
たとえば、現状では情報の精査やユーザー・商品のベネフィットを考慮した執筆は難しく、SEO対策の面でもChatGPTで生成した記事をそのまま使用するのは難しいといえます。記事ライティングでのChatGPTの使用は、要所要所で使う前提で考えることが無難です。どの工程に活用するかは使いながら、自社の記事作成に適した使用方法を模索していく必要があります。
また、万が一のトラブルに備えるためにも、自社での利用方法を統一化しておくとよいでしょう。
ChatGPTで作成した記事のSEO対策は?AI記事に対するGoogleの評価
AIを活用して記事作成を効率化しても、検索結果に表示されなければ元も子もありません。ChatGPTを使用して作成した記事が、検索エンジンで上位表示されるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
GoogleではAIで生成したコンテンツの上位表示について、Google 検索セントラルで以下のように提言しています。
AI を使用したからといってランキングに関して特別なメリットがあるわけではありません。有用、有益なオリジナル コンテンツで、E-E-A-T の基準を満たすものは、検索で上位に表示される可能性が高くなります。作成方法ではなく、内容が評価の対象となります。
引用元:AI 生成コンテンツに関する Google 検索のガイダンス
あくまでもGoogleはコンテンツの質を重視しているため、コンテンツの作成方法については制限していません。ChatGPTで記事ライティングをおこなう場合は、検索意図に対して質の高いコンテンツを提供できているか確認することが重要です。
ChatGPTを利用して常に情報をアップデートしておくことが大切
ChatGPTは進化するスピードが早く、新たな自然言語処理モデルがリリースされれば利用方法も変わります。実際にGPT-4では画像を使って問いかけできるようになるなど、短期間でできることも様変わりしてしまうわけです。そのため、今役立っている情報ややり方がすぐに役に立たなくなってしまう可能性があります。
たとえばChatGPTの情報を集めるなら、noteやTwitter、はてなブックマークをチェックして、新しい情報をキャッチアップしておくとよいでしょう。
当たり前だと思っていた常識が変わってしまうことが大いにあるので、ChatGPTに繰り返し触れながら、AIのアウトプットの癖に慣れておくことが大切です。常に新しい情報を入れながら、ChatGPTを利用する側も知識や情報をアップデートしておきましょう。