海外SEOとは、海外市場に向けた検索エンジン最適化（SEO）のことです。海外SEOでは、地域に合わせた言語、文化、習慣に基づいたキーワードリサーチ、コンテンツ作成、メタデータの最適化、リンク構築など、地域特性を踏まえた最適化が必要です。

また、Google以外の検索エンジン（例：百度、ヤフージャパン、Naverなど）が主流となる地域もあり、それらの検索エンジンに最適化する必要があります。さらに、地域特性に応じたMEO･ローカルSEO（例：Google Business Profileの設定、ローカルキーワードの最適化など）も必要です。海外SEOの目的は、海外市場でのオンラインプレゼンスを強化し、トラフィックやビジネス機会を増やすことです。

本記事では海外SEOについて基礎から国別のアプローチ、具体的な考え方まで解説します。

海外SEOの最新動向

2023年現在の海外SEOの最新動向としては以下のようなものが挙げられます。

自然言語処理の活用：AI技術の発展により、自然言語処理技術を活用したコンテンツの最適化が重要になっています。キーワードスタッフィングや強制的なキーワード密度の操作ではなく、ユーザーが自然に読めるコンテンツを提供することが求められます。

E-E-A-T信頼性の重視：Googleは、E-E-A-T（経験､専門性、信頼性、権威性）の評価をより強化しています。専門的な情報提供や信頼性の高い情報源へのリンク、権威ある著者の肯定的な評価など、高品質なコンテンツの提供が求められます。

ローカルSEOの重要性：地域情報を活用したローカルSEOの重要性が増しています。地域に特化したキーワードやコンテンツ、地図上でのビジネス情報など、ローカルSEOの最適化が求められます。

モバイルファーストインデックス：Googleは、モバイルファーストインデックスを完全に導入し、モバイルサイトの速度、レスポンシブデザイン、UXの向上に注力しています。

ビデオ・音声検索の注目度上昇：ビデオや音声検索がますます重要性を増しています。ビデオや音声コンテンツの最適化、トランスクリプション、キャプションなど、ビデオや音声検索に対応した戦略が求められます。

これらのトレンドを踏まえて、海外SEOの最適化を進めていくことが重要です。

海外SEOの最初の3ステップ

海外SEOを開始するための3ステップは以下の通りです。

地域や言語のリサーチ：まずは、ターゲットとする海外市場の地域や言語についてリサーチを行い、その地域でよく検索されるキーワードやトレンドを把握する必要があります。

コンテンツ作成と最適化：次に、地域や言語に合わせたコンテンツの作成と最適化を行います。ユーザーが求める情報や問題解決のための情報を提供し、地域特性や文化に合わせたキーワードやメタデータの最適化を行います。

リンク構築：最後に、地域特性や文化に合わせたリンク構築を行います。現地の媒体やブログ、SNSなどでのリンクを増やすことで、地域特性に合わせたSEO戦略を展開することができます。

これらのステップを踏んで、海外市場でのオンラインプレゼンスを強化することができます。ただし、各地域の文化や法律にも注意が必要ですので、専門的な知識を持ったコンサルタントやパートナー企業との協力が望ましいです。

海外SEOと日本でのSEOの違い

海外SEOはより多様で、グローバルなキーワードの競争が激しいです。一方、日本のSEOは競合が少なく、地域によって異なるキーワードがあります。また、日本語は英語と異なる構造を持つため、キーワードの選択と配置が重要です。

国別のSEOの特徴を紹介します

一口にSEOといっても国ごとに対象となる言語や検索エンジンが異なりますので、アプローチが変わってきます。以下に国ごとにざっくりとSEO対策を解説します。

アメリカでのSEO

アメリカでSEOを行うには、まずGoogleのアルゴリズムに精通していることが必要です。Googleはアメリカで最も一般的に使用されている検索エンジンであり、Googleの検索アルゴリズムを理解することは、検索結果にランクされるために不可欠です。また、アメリカでビジネスを行う場合は、Google Business Profileプロファイルを作成し、地域検索のためにローカルSEOを最適化する必要があります。

また、サイト内のキーワードの最適化、高品質なコンテンツの作成、リンク構築、モバイルフレンドリーなサイトの作成など、一般的なSEO戦略も必要です。最後に、アメリカ市場に合わせて競合分析やトレンドの把握、最新のテクノロジーの導入など、継続的な改善と最適化が必要です。

韓国でのSEO

韓国のSEO市場は、競合が非常に激しく、地域によって異なるキーワードがあります。また、韓国語は日本語と似た文法構造を持っており、日本のSEOと比較すると似たようなアプローチが求められます。

韓国の主要な検索エンジンはNAVERであり、NAVERに合わせたSEO対策が必要です。NAVERのアルゴリズムは、コンテンツの質やユーザーの反応、ソーシャルシグナルなどを重視しており、検索結果の順位を左右する要因となっています。

また、韓国のSNS（ソーシャルネットワークサービス）は、日本とは異なる特徴を持っています。例えば、韓国ではKakaoTalkが主流であり、KakaoTalk内でのコンテンツのシェアやリンクが重視されます。そのため、韓国のSEO対策においては、SNSを上手に活用することが必要です。

中国でのSEO

中国のSEO市場は、Googleが利用できないため、Baidu(百度)という国内検索エンジンに合わせた対策が必要です。Baiduは、日本の検索エンジンと比較して、検索アルゴリズムが異なります。そのため、キーワード選定やコンテンツの作成方法、リンク構築戦略など、独自のアプローチが必要となります。

中国市場においては、モバイル端末利用者が急増しており、モバイル最適化も重要な要素の一つです。また、中国のSNSには、WeChatやWeiboといったプラットフォームがあり、これらを活用したマーケティング戦略も重要です。

さらに、中国におけるSEO対策においては、言語面だけでなく文化や法律面にも留意する必要があります。中国市場に適した独自のコンテンツやマーケティング戦略を立て、Baiduや中国のSNSを活用することが成功の鍵となります。

ロシアでのSEO

ロシアのSEO市場は、Googleが主要な検索エンジンである一方、Yandexというロシア発の検索エンジンも人気があります。そのため、ロシアのSEO対策においては、GoogleとYandexのアルゴリズムに合わせた対策が必要となります。

ロシア語は日本語とは異なる言語であり、キーワードの選定や配置において異なるアプローチが必要です。また、ロシア市場には、モバイル端末利用者が多いことが特徴であり、モバイル最適化も重要な要素の一つです。

さらに、ロシアのSNSには、VKというロシア発のソーシャルネットワークがあり、VK内での情報共有やコミュニケーションが盛んです。そのため、VKを活用したマーケティング戦略も重要となります。

ヨーロッパでのSEO

ヨーロッパのSEO市場においては、Googleが最も利用されている検索エンジンであるため、Googleに合わせたSEO対策が必要となります。また、ヨーロッパの各国には独自の文化や言語が存在するため、言語面に対するSEO対策も重要です。

総じて言えることは、ヨーロッパのSEO市場においては、Googleに合わせた対策、各国の言語や文化に対応したコンテンツやキーワード選定、GDPRなどの法律面に対する対応が必要となります。各国の特徴に合わせた最適なSEO戦略を立てることが成功の鍵となります。

中南米でのSEO

中南米のSEOには、地域の文化や言語に合わせたキーワードの選定が重要です。また、Google以外の検索エンジンも多く使われているため、それらにも最適化が必要です。さらに、中南米の国々は多言語を話すことが一般的であるため、多言語サイトの作成や翻訳も考慮する必要があります。また、地域の法律や規制にも注意が必要です。最後に、中南米は発展途上地域のため、モバイルフレンドリーなサイトや高速ページロードも重要な要素です。

中南米においてSEOを行う場合、対象とすべき言語や国は、企業の目的やターゲットオーディエンスによって異なります。一般的には、スペイン語、ポルトガル語が最も広く使われている言語ですが、英語やフランス語、オランダ語などの多言語サイトも必要になる場合があります。また、中南米には複数の国があり、それぞれに独自の文化や法律が存在するため、地域ごとに最適化する必要があります。人口が多くインターネット利用率が高い国としては、ブラジル、メキシコ、アルゼンチン、コロンビア、ペルーなどがあります。

中南米における注意すべき法律としては、個人情報保護法や消費者保護法、コンピューター関連犯罪防止法、著作権法などが挙げられます。これらの法律には地域ごとに異なる規制があるため、各国の法律に対応したサイト運営やコンテンツ作成が必要です。また、中南米は地震や自然災害が多い地域でもあるため、サイトのセキュリティ対策や災害対策にも注意が必要です。

アフリカでのSEO

アフリカにおけるSEOには、地域の文化や言語に合わせたキーワード選定が重要です。アフリカは、複数の言語や方言が話されているため、それぞれの地域で最も使われている言葉を知ることが必要です。また、アフリカには複数の国があり、それぞれに独自の文化や法律が存在するため、地域ごとに最適化する必要があります。

アフリカにはインターネット普及率がまだ低い地域もありますが、スマートフォンの利用が急速に増加しているため、モバイルフレンドリーなサイトの作成や高速ページロードも重要です。

また、アフリカにはGoogle以外の検索エンジンもあります。例えば、Nigerian Web SearchやBingなどがあります。

一般的には、アフリカで最も広く使用されている言語であるスワヒリ語、フランス語、英語、アラビア語、ポルトガル語などが重要な対象言語となります。

また、人口が多く、インターネットの利用が盛んな国にも注目が必要です。アフリカにおいては、ナイジェリア、エチオピア、エジプト、南アフリカ、ケニア、タンザニアなどが人口が多く、インターネット利用率が高い国として知られています。

さらに、各国で異なる文化や法律にも注意が必要です。例えば、イスラム教徒が多い国では、宗教的観点からタブーとなるキーワードがあるため、その国の文化や価値観に合わせた対策が必要です。

著者PROFILE

ミエルカ研究所 所長

ミエルカ研究所は、人工知能と言語処理の力で、「言葉」の持つ可能性を追及、研究していくための研究所です。
SEO&コンテンツマーケティング・オウンドメディア支援ツール「ミエルカ」を提供するFaber Companyが母体となってます。