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なぜ、あのリーガルテック系オウンドメディアは強いのか?

更新日:2023.10.5 公開日:2023.09.29

なぜあのリーガルテック系オウンドメディアは強いのか?

リーガルテック系のオウンドメディア22サイトを調査した前回の記事に引き続き、今回はその深堀版となる後編です。ちなみに、前回の考察は、ざっくりいうと下記のようなものでした。

  • リーガルテック系オウンドメディアはHRテック系オウンドメディアよりも後発が多い
  • 先行するHRテック系オウンドメディアの成功パターンを参考にしているメディアが多い

後編となる今回は、リーガルテック系オウンドメディアと関連性が深い1000個のキーワードの順位を計測、スコア化。スコア上位グループと下位グループとの差異をさらに比較することで、上位グループに特有の傾向を分析してみました。

基本調査の概要

  • 調査対象:電子契約や契約書作成、契約管理サービスを提供する、上場企業または資金調達実績のある企業30社(うち22メディア)。
  • 調査項目:ドメイン形態、運用期間、記事本数、更新頻度、お役立ち資料の数など25項目
  • 調査期間:2023年5月~6月
  • 調査方法:各オウンドメディアを目視にてチェック

追加調査の概要
調査方法:上記メディアに対し、人事やバックオフィスの興味関心が高いと思われる下記のテーマおよび関連キーワード1000個について各オウンドメディアの検索順位を計測(2023年7調査時点)

  • 法務
  • 電子帳簿保存法
  • 電子契約
  • 契約書
  • 業務委託

さらに下記のルールにてスコアを算出

  • 1位を20点、21位以下を0点として点数を付与
  • 点数に検索ボリュームを掛け合わせ、100で割ったものをスコアとする
  • 「スコア中央値以上」の上位グループと「スコア中央値未満」の下位グループに分けて各項目を比較

スコアリング

成果が出ているリーガルテック系オウンドメディア、10の特徴

はじめに、上位グループには下記のような特徴がみられました。

  • 約9割がサブディレクトリ
  • 7割が運営期間3年未満
  • 4割以上が記事本数100本以上
  • 3割が月間8本以上更新
  • SEO記事制作にリソースを集中
  • 4割以上が監修者情報を掲載
  • 半数以上が記事にポップアップを設置
  • 4割以上がお役立ち資料を30本以上掲載
  • DLフォームの項目は10未満に抑える
  • 資料DL後はメール送信

これらの結果から、自然検索で高順位を取得している(=SEO対策がうまくいっている)リーガルテック系オウンドメディアについて、下記のような実態が推測できます。

  • 比較的“若い”オウンドメディアが多い(コロナ禍あるいはその後に開設)
  • SEO記事にリソースを集中し、短期間にコンテンツを増やしている
  • 自社の制作体制だけでなく、監修者も含めた体制を構築している
  • アグレッシブにリード獲得、そのためのコンテンツ開発にも積極投資

では、それぞれの項目を詳しく見ていきましょう。

特徴その①約9割がサブディレクトリ

オウンドメディアのURL構造について、上位グループでは91%がサブディレクトリでしたが、下位グループでは82%と、やや差が見られました。サブドメインの割合は9%で同じ、下位グループでは別ドメインも9%存在しました。

URL構造

メディアの目的や特性に応じて、URLは検討すべきですがSEOにおいてはサブディレクトリが定石となっていることがわかります

特徴その② 7割が運営期間3年未満

運営期間は上位グループのうち70%が3年未満でした。いっぽう、下位グループは80%が3年以上です。実際、上位グループのほとんどが2020年以降に開設されています

運営期間

コロナ禍によって、脱ハンコや電子契約への注目が集まりました。また時を同じくして電子帳簿保存法の改正など行政面でも大きな動きがありました。この時期は、BtoBにおいてもウェビナーやオンライン商談など、主戦場がオンラインに大きくシフトした時期と言えます

特徴その③4割以上が記事本数100本以上

記事本数は上位グループ、下位グループともに45%で100本以上となりました。次の更新頻度とも関連しますが、上位グループが短期間で多くの記事を投下していることがわかります

記事本数

特徴その④3割が月間8本以上更新

記事の更新頻度については、上位グループの30%が月間8本以上と回答しました。28本以上、というメディアは20%です。いっぽうで、下位グループでは28本以上が10%となっています。

更新頻度

上位グループは短期間で先行するメディアに追いつくべく、コンテンツの「量」を確保しています。では、どのようにしてその量を担保しているのでしょうか。

特徴その⑤SEO記事制作にリソースを集中

コンテンツのタイプ別で割合を見ると、上位グループは下位グループに比べ、インタビュー記事や動画の割合が少ないことがわかります。

コンテンツタイプ

また、SNSの運用状況も同様に、上位グループの方が下位グループよりもInstagramやYouTubeを運用する割合が低くなっています。

SNS運用状況

このことから、上位グループはそのリソースの多くを「SEO記事」に集中させていると推測できます。インタビューや動画ではなくSEOに注力することで、一定数以上のコンテンツを担保しているのではないでしょうか。

特徴その⑥4割以上が監修者情報を掲載

上位グループの取り組みはコンテンツの「量」だけにとどまりません。執筆者情報は36%で同じですが、監修者情報については45%と上位グループの方が上回りました

執筆・監修者情報

リーガルテック系オウンドメディアはその特性上、法律に触れる記事が多くなります。弁護士や税理士など専門家とのパートナーシップを構築し、質を担保することが重要となります。

特徴その⑦半数以上が記事にポップアップを設置

ポップアップについては上位グループが55%、下位グループが9%と大きな開きが見られました。後述するお役立ち資料の数とも関連しますが、SEOで流入したユーザーのコンテキストに合ったCTA(コール・トゥ・アクション)を設置することでCVRが上昇します。

ポップアップの有無

特徴その⑧4割以上がお役立ち資料を30本以上掲載

お役立ち資料の数は、上位グループの27%が30本以上100本未満、18%が100本以上で、合計すると45%が30本以上でした。いっぽうで下位グループでは、30本以上100本未満は20%にとどまりました。

お役立ち資料の数

お役立ち資料の数が多いと、それだけ多様なユーザーのニーズに応えられます。

特徴その⑨DLフォームの項目は10未満に抑える

製品やサービス資料のダウンロード時の入力項目の数は、上位グループでは5個以上10個未満が70%、下位グループでは25%と大きな差が見られました。同様に、お役出し資料をダウンロードする際の入力項目の数は、上位グループでは5個以上10個未満が89%、下位グループは40%と差が見られます。

フォームの入力項目の数

上位グループと下位グループ共に、製品やサービス資料とお役立ち資料で入力項目の数に強弱をつけているてんは共通ですが、上位グループでは10個未満の割合が圧倒的に高くなっています

ちなみに、項目としては下記のようなものが多いようです。

  • 企業名
  • メールアドレス
  • 電話番号(日中つながる電話番号)
  • 役職
  • 部署
  • 従業員数

住所がない企業が多く見られました。商談がオンラインに移行したことで、住所を入れる必要性があまりなくなったことも影響していると考えられます。

特徴その⑩資料DL後はメール送信

製品・サービス資料や、お役立ち資料をダウンロードした後の挙動については、上位グループの多くが「直後にメール」でした。すぐにPDFに切り替わるのではなく、送付したメールのリンクをクリックすることで資料がDLできるようになるタイプです。

資料DL後の挙動

この仕組のメリットは下記の通りです。

  • ダミーメールなどを抑制できる
  • 送付するメール内にアポ依頼や関連サービスなどの追加情報を付与できる
  • サンクスページが必ず表示されるため、サンクスページ内で追加情報を見せられる

まとめ:とにかくSEOにストイック!

タイトルの「なぜ、あのリーガルテック系オウンドメディアは強いのか?」に答えるならば、ストイックにSEOに取り組んでいるから、です。リーガルテック系オウンドメディアは、withコロナで開設された比較的若いメディアが多いこと、そしてその渦中に法改正などのドラスティックな動きが重なった=リード創出を最大化すべきタイミングが開設後すぐだったという点が特徴的です。

そのため、一気呵成にコンテンツを投下せざるを得なかった、というところもあるのかもしれません。もちろん、あえて時間のかかるSEOではなくリスティング広告やタクシー広告など、違うチャネルへリソースを投下し成功している企業もあるでしょう。いずれにせよ、今回の教訓は攻めるべきときがきたなら「脇目も振らず集中すること」、さすれば道は開かれん──。

ご清聴、ありがとうございました。

Fabercompanyではコンテンツ制作・改善、コンサル、ホワイトペーパー制作などオウンドメディア支援のメニューを豊富にそろえています。まずは現状分析してみませんか?

著者PROFILE

ファストマーケティング峯林晃治
ファストマーケティング(峯林晃治)

Webディレクター、SEOコンサルタントを経て、2013年に事業会社に入社。主にBtoB領域のデジタルマーケティングに携わる。特に、リード獲得を目的とした自主調査においては7年間で累計400件以上を企画、獲得したリード数(企業の名刺情報)は述べ6万件を超える。2020年に独立。
シニアコンテンツディレクターとして、株式会社Faber Companyでも鋭意活動中。▶︎Twitter

監修者PROFILE

月岡 克博
月岡 克博(つきおか かつひろ)

SFA導入コンサルからCRMベンダーのセールスに転身し、営業マネージャーに。その後Faber Company営業部長を経て、マーケティングを担うIMC部を設立。現在は執行役員として、営業・マーケティング部の統括やセミナー登壇などの活動をメインに行っている。
■ 講演実績:マーケティングアジェンダ/日経クロストレンドForum 他■Twitter:@tsuuky09

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