コンテンツマーケティング、オウンドメディア、SEO施策でいきなりコンバージョン(売上などの最終成果)を出すのは中々難しいものです。なぜならコンテンツに来訪したユーザーは「まだ買うつもりがない=ただ情報収集をしたいだけ」だからです。
情報収集ユーザーには、売り込みではなく「おもてなし」によって、より濃いつながりを作る必要があります。そのおもてなしの1つに、ユーザーが興味関心を持ちそうな情報をまとめた資料「ホワイトペーパー」があります。今回は3タイプのホワイトペーパーを活用し、コンテンツマーケティングで重要なコンバージョンアップ、リード獲得のための施策についてまとめました。
ホワイトペーパーとは、意味も合わせて理解しよう
そもそも「ホワイトペーパー(WP とも略されることもあり)とはなにか?」企業活動で用いられるホワイトペーパーとは、次のように定義できると思います。
ユーザーが興味関心を持ちそうな企業のノウハウ、詳細な顧客事例、チェックシートやテンプレートなどお役立ちコンテンツをまとめたものです。
前述の通り、情報収集ユーザーはまだあなたの商品・サービスに興味を持っている訳ではありません。そんなユーザーに「うちの商品どうですか?買ってください!」と売り込みをしても興味を示す確率は低いでしょう。もちろん資料請求することもなければ、お問合せにつながることも低いはずです。このような情報収集ユーザーとは、いざ興味関心を持った段階で、思い出してもらう、アプローチできる状態にすることが重要です。
そこで、現時点で興味のありそうなホワイトペーパー(一般公開していないノウハウ集や、業務で使える作業テンプレート)などをダウンロードできるWebフォームを用意し、メールアドレスなどの個人情報をユーザーに提供してもらうことで、定期的なアプローチができる関係を作ります。CRMシステムとの連携を図れば、獲得したメールアドレスに定期的にメール配信をするなど、“ゆるく”つながれる見込顧客データベースが構築できます。
※ホワイトペーパー以外にも「メルマガ登録」や「セミナー参加」などのオファーでリード獲得する手法もあります。メルマガ、メールマーケティングについてはこちらのコンテンツもご参照ください。
→参考:メルマガ担当に聞く!コンテンツマーケティングとメルマガの相性と活用のポイント
Webフォームへのリンクは、コンテンツを読み終わった下部、サイドバーにバナーなどで設置するのがよいでしょう。ポップアップを表示させるようなツールもあります。マーケティングオートメーションツールやWeb接客ツールを活用すると、よりユーザーにパーソナライズされた方法でオファーを提示することも可能です。(コンテンツへのアクセス回数や閲覧情報などによってオファーを変更するなど)
ホワイトペーパーは3つのタイプで作るのがオススメ
では、具体的にどのようなホワイトペーパーを作ればいいのでしょうか。ホワイトペーパーを3つのタイプに分けてみました。
・「実践しやすい!」ノウハウ系ホワイトペーパー
ホワイトペーパーの王道がノウハウ系です。BtoBだと「売上につながる名刺管理ノウハウ」「読まれるメールマーケティング成功の秘訣」「生産性を高める360度評価のコツ」など、営業、マーケ、人事、それぞれの業務におけるお役立ちコンテンツのイメージです。より具体的で、実践しやすいものであればあるほどユーザーの満足度は高まります。
ポイントは自社の商品やサービスを活用しなくても実践可能なものにすることです。あとは、ノウハウは出し惜しみしないのがポイントかもしれません(笑)
・「知りたい!」調査データ系
「最新20xx年 BtoBマーケターの意識調査」「企業規模別 広告費調査」など、自社でしか出せない統計情報やアンケート情報をまとめたものです。自社独自調査であれば尚良いですが、費用をかけてリサーチをすることでホワイトペーパー制作も可能です。
調査データの活用用途としては「社内稟議に使える」ことを意識するといいかもしれません。「●●業界での導入率が90%以上」というデータは、実施していない企業の担当者からすると会社で予算確保をするための材料の1つになります。 また、調査データ系はビジュアルも大事です。表現したいことに合わせたグラフパターンを使う(シェアを表すなら円グラフなど)ことはもちろん、デザインにも気を配りたいところです。最近だと「インフォグラフィック」という、イラストを活用して調査データを視覚的に理解しやすくする手法もありますので、予算に余裕があれば試したいですね。
・「使える!」ツール・テンプレート系
「◯◯ツール導入時のチェックシート」「自社サイトのコンテンツ評価シート」「顧客アンケートテンプレート」など、ユーザーが実際の業務で活用できるツールやテンプレート類を提供するものです。
単純なる○✕チェックは簡単ですが、少しギミックをいれてチェックした結果が点数や偏差値、何かのキャラクター(動物、歴史上の人物など)になって評価されるものだと、欲しがる・やってみたいユーザーが多いでしょう。(BtoCだと診断系コンテンツは特に人気で、ソーシャルシェアもされやすかったりします) ツール系はノウハウ系との組み合わせも可能で、「●●のノウハウ集~チェックシートつき~」のようなものも有効ではないでしょうか。
コンテンツマーケティング+ホワイトペーパーでリード獲得してつながりを作る
コンテンツマーケティング施策でコンテンツに来訪したユーザーには、いきなり売り込むのではなく、ライトなオファーとしてホワイトペーパーをダウンロードしてもらう。その際にメールアドレスを残してもらい、継続的なコミュニケーションの許可をもらい、いざというタイミングでアプローチできるようにしておく。 こうした長期的なコミュニケーション設計でユーザーとのつながりを作る(=エンゲージする)こともコンテンツマーケティング成功の秘訣の1つです。
ホワイトペーパーの制作と聞くと、手間が掛かりそうと思われる方も多いかもしれませんが、オウンドメディアのコンテンツを作り込んでいれば、それらを様々な切り口でまとめて資料(PDF)にするだけでも価値があります。 (ユーザーは自分が必要な情報に気づいていないこともありますし、紙に印刷したりして移動中に読みたいというユーザーもいます) オウンドメディアは「集めて終わり」ではありません。最終的な成果(コンバージョン)に結びつけるためにも、ホワイトペーパーを含む「ライトコンバージョン」も考慮した、ゴール設計をしていきましょう!
著者PROFILE
SFA導入コンサルからCRMベンダーのセールスに転身し、営業マネージャーに。その後Faber Company営業部長を経て、マーケティングを担うIMC部を設立。現在は執行役員として、ミエルカのプロダクトマネージャーやセミナー登壇などの活動をメインに行っている。
■ 講演実績:マーケティングアジェンダ/日経クロストレンドForum 他■Twitter:@tsuuky09