ECサイトで商品を購入してもらうには、まずはユーザーがECサイトに来てもらう必要があります。ECサイトの集客チャネルとして重要なのは「SEO」。どのようなSEO対策でECサイトへの集客を行えば良いのでしょうか?今回はECサイトでお客様を呼び込むための5つのSEO施策を徹底的に解説します。
株式会社Faber Companyミエルカ カスタマーサクセス コンサルタント
学生時代からWebサイト制作を独学で勉強し、2019年にFaber Compnayへ入社。Webメディア「キャリアの海」の立ち上げと運営に携わり、月間約8万PVの規模にまで成長させる。ミエルカのツール活用やコンサルティングを通して、ECサイト運営企業をはじめ40社以上のWebマーケティングを支援する。
ECサイトで押さえておくべきSEO対策5つ
ECに集客するには、まず検索エンジンに商品やサービスを理解してもらい、その上でユーザーを「買いたい」気持ちにさせ、行動変容を促すことが重要です。そのためのSEO施策5つを紹介します。
1つずつ解説していきます。
①商品詳細ページの最適化
1つ目は商品詳細ページの最適化です。ポイントは5つほどあります。
商品名、ブランド名、メーカー型番が決まっている商品は、タイトルやディスクリプション(description/内容の要約)に書く
みなさんもご経験があるかもしれませんが、「このメーカーのこの商品が欲しい」と既に決まっている時、メーカーの型番でGoogleの検索バーに直接入力して調べることってありますよね?その商品を特定できる場合は太字で出てきますし、ユーザーも検索結果画面の一覧を見るだけで「このサイトで売っているんだな」とすぐに判別できます。
サービス説明、料金、メリットがわかりやすい
「うちで買うとこんなメリットがあります」を示す基本情報を充実させましょう。このサンプルでは、このサイトでは高級時計の新品も中古も販売していることがわかります。最初は新品を買うつもりで検索した人も、「中古はどんな状態なのかな」と興味を持ちやすくなります。
いろいろな角度からの商品写真が充実している
まず下記画像をご覧ください。皆さんは、左と右、同じ商品ですが、どちらの商品ページのECサイトで買いたくなるでしょう?
ほとんどの方は商品情報が充実している左のサイトを選ぶと思います。それはなぜか。
画像の下を見ると、正面、斜め、横からなど、たくさんの写真があります。360度で商品のデザイン、構造、質感などが確認できれば、安心して購入できます。高画質なほうが細かいところまでチェックできていいですね。
しかし画像にだけ縛られる必要はなく、動画で伝えたほうがいい場合は、動画で伝えましょう。目覚まし時計の場合は、どんなアラーム音か気になる人向けに、動画で実際に聞けるようにすると良いですね。ユーザーは「毎日こんな音で起こされるんだな」と理解ができます。
商材が違えば、載せるべき画像の種類も変わります。服や靴など、ファッションアイテムであれば、実際の人が着ている着用画像、縫い目やファスナーがわかるアップの画像が必要です。
SEOの観点からポイントがあります。掲載の際は「altタグ(属性)」を入力するのを忘れないようにしましょう。「ソールのかかと部分」「パンツとのコーディネート例」などの画像ごとの説明文のことです。
検索エンジンに対して画像の情報を説明するためのテキスト情報のこと。代替テキストとも呼ばれます。音声読み上げで視覚障害者の方が理解をするのに役立つ、何らかの理由で画像が表示されない場合にも理解するためのガイドになります。
alt属性については、以下の動画も参考にしてみてください。
☑︎【SEOにおける画像の最適化】最も最適なファイルサイズ・容量・解像度はある?
商品説明文で、購入の決め手になる内容をできるだけ詳しく書く
もう一つクイズです。左と右の商品説明では、どちらのほうが買いたくなるでしょうか?
「30種類のアラーム音が鳴る」を売りにしている商品の場合、左側の方が親切ですね。
「30種類って具体的にどんな音?」と疑問を持つユーザーは、全部を聞けなくても書いてあることで納得感が得られるのです。このように「ペルソナとなるお客様がここは疑問に思いそう」「ここは購入のポイントになる」と思われる内容を、商品説明にできるだけ詳しく書くことが重要です。
一方で「あまり詳しく書きすぎると、商品ではなく読み物コンテンツだと認識される可能性」もあります。Google のジョン・ミューラー氏も「あまりにも長いコンテンツでは、商品ページではなく情報提供を目的としているページだと認識する可能性がある」と指摘しています。
ではどんな情報を選別すべきか。これは難しいのですが、「その情報があることで商品の購入につながるかどうか」を念頭に選別すると良いでしょう。
購入時の詳細情報を充実させる
在庫の有無、価格など購入の判断に必要な情報がファーストビューに入っているか。ECサイトをお持ちの皆さんはぜひチェックしてみてください。
何回もスクロールしないで済む位置に表示されるとカート追加率回数がアップする可能性が高まります。逆に流入してきたお客様が直帰する率を減らすことができます。調整にそれほど手間がかかる部分ではないのでぜひ試してみてください。
レビュー・評価を表示する
大手ECサイトでは常識ですが、レビューや星の評価を設置する商品ページは多いと思います。これからECを始めるから、まだユーザーレビューがない場合は、スタッフの試着レビューなど、実際に使った感じを書きましょう。
例えば「◯センチの身長の私にはMサイズはちょっときつすぎました」「このような場面で便利でした」などといった情報をテキストや画像で載せると信頼度が高まります。
②カテゴリ設計
カテゴリ設計のポイントは3つです。
カテゴリ名は月間検索回数の多いワードを使う
当たり前ですが、カテゴリ名には月間検索回数の多いワードを使いましょう。月間検索数が多いということは、それだけ検索している人数が多いということ。お客様になってくれる可能性のある人がたくさん訪れてほしいのであれば、どのキーワードを選ぶかは自ずと決まってきます。
カテゴリをできるだけ細かく設定する
同じカテゴリで100件を超えるような大きめのECサイトを運営している方には特に注意すべきポイントです。掛け布団がほしくてECサイトに入ったら、敷布団やこたつ布団もある中で、自分の欲しいタイプの商品を探すのは面倒。離脱率が増えてしまう原因になります。
掛け布団カテゴリーを作ると、一発でお客さんが目当ての商品を探しやすく、検索エンジンによる認識の精度を高めるためにも有効です。とはいえカテゴリが細かすぎると逆に迷わせてしまうこともあります。
あまり一般的でないカテゴリや、お客様にとってあまり気にならないメーカー名まで分ける必要はありません。「分けたはいいが、商品が1個しかない」ような場合はカテゴリ分けする意味がほぼないと考えてください。
「こたつ布団」が「こたつ」カテゴリにも、「布団」カテゴリにも存在するような重複が生じた場合、それ自体は問題がありません。しかし必ず「同じURLに誘導する」ことを心がけてください。Googleに重複コンテンツとして認識されてしまいます。
ブランド名✕アイテムの掛け合わせでカテゴリを作る
例えばNIKEのスニーカーを求めている人が「スニーカー」カテゴリからNIKEの商品を探すのは大変です。その場合、NIKEブランドのみのスニーカーを集めた「NIKE」カテゴリを一つ作り、まとめたほうが親切で便利ですね。ユーザービリティ向上のため、よく知られているブランドなら分けておきましょう。
③構造化データマークアップ
「そもそも構造化データとは何?」という解説は、ぜひ鈴木謙一のこちらの動画をご確認ください。
☑︎【構造化データとは?】テストツールやメリット・デメリットを徹底解説
ざっくり説明すると、例えば「ワンピース」というキーワードがあります。人間なら前後の文脈から漫画なのか服のことなのか判別できたとしても、コンピュータにとって、単なるカタカナの5文字の文字列化としか認識できません。そういう時に「意味づけ」をしてあげる役割を果たすのが構造化データです。ECサイトのお話なので、商品の構造化データをコンピュータに教えてあげて「これは商品ですよ」と意味を理解してもらいやすくするものです。
ECサイトでこの構造化データを実装すると、検索結果画面にリッチリザルトという別枠で表示される可能性が高まります。商品名で検索した人が、画像、レビュー、星の数、値段をすぐに確認できます。また、画像検索の結果画面でも「商品」というバッジがつくので、買えることがひと目で分かり、購入に誘導しやすい動線が作れます。
リッチリザルトについての解説動画はこちら。
☑︎【リッチリザルトとは】種類や表示方法・メリット・注意点を徹底解説
HTMLを見ると「けっこう面倒くさそう」と思う方もいるかも知れませんが、お使いのECサイトのシステムの機能の1つでこういった構造化データを自動で作成・実装してくれる機能がついていることがあります。
そうしたサポート機能がない場合、サンプルコードを流用して実装することもできるでしょう。さらに、Googleが提供する「構造化データマークアップ支援ツール」を使いながらコードを作ることができます。
実装したらリッチリザルトや画像検索で商品が必ず出てくる?
これはよく聞かれることがありまこれは残念ながら100%出る保証はありません。構造化データを実装するっていうのは「リッチリザルトを表示させる権利を得た」ことになるだけです。
ECサイトの運営者は構造化データのガイドラインをしっかり守って構造化データを実装。その後、Google側でマークアップされた内容をチェックし、最終的に「この検索キーワードで検索した方にとってリッチリザルトがある方が便利なのかどうか」を判断します。
実装しても必ず出てくる保障はないが、実装しなければ土俵に上がれない。そういう機能だと理解してください。
④Google Merchant Center
ここまで構造化データの仕組みをざっくり説明してきましたが、ECサイトの場合、成果を図るデータはGoogleマーチャントセンターに集約されます。EC版のGoogleサーチコンソールだと考えていただけると良いかもしれません。
マーチャントセンターに自分のECサイトで売っている商品の名前、値段、商品JANコードなどを登録すると、Google 検索のショッピングタブに掲載することができます。以前は有料でしたが、2020年10月から無料掲載もできるようになりました。
マーチャントセンターを使って情報を送信しておくと
ので、たった今値段を変えた、セールを始めた、といった情報をいち早くユーザーにも知らせることができます。
仕組みや登録方法については以下をご参照ください。
Googleマーチャントセンター登録3つのステップ
できるだけ上位に掲載されるようにするには?
せっかく載せるなら、上部の方がお客さんの目につきやすいですよね?
まず大前提として情報が間違っている、(意図的でなくても)ユーザーを騙してしまうような情報がないかは注意していただきたいポイントです。
プレステ5をカートに入れて59,000円ぐらいだと思っていたら、会計するときに65000円と表示される。さらに送料がまた5000円オンされる、といった混乱を招くような情報の記載方法は不誠実です。
意図的でなく情報の更新を忘れていたりする場合も、Googleに「不実表示」とみなされ、最悪アカウントが止まってしまう可能性もあります。
共通の商品コードであるGTIN(日本ではJANコード)を必ず登録することも大切です。
どうしても「一番上の枠に目立つように載せたい」場合は、(これを言うと身も蓋もないですが)有料広告にするのがおすすめです。費用対効果を図るため、短期的に出してみるのもありではないでしょうか。
⑤集客コンテンツの作成
集客コンテンツを作る目的は、商品の購入につながる現在的なお客様を獲得することです。商品を既に知っている買おうとしているお客様(顕在顧客)なら、後は値段や届く日数を比較しやすくすれば購入につながります。
一方で「購入を迷っている」「今すぐ買うわけじゃないけど新しい時計が買いたい気がする」といったお客様(潜在顧客)に対しては、その商品に対しての情報収集型のコンテンツ(お役立ち情報)を届けてあげると、予備知識を獲得して、サイトへの信頼度を高め、ゆくゆくは購入につながることもあります。
購入を後押しするカテゴリとして「卒業式・入学シーズンのギフト」「バレンタインデーにおすすめ」といったトレンドや季節を考慮に入れたコンテンツを作るのはおすすめです。ウンチクとして、「ROLEXのシリアルナンバーの意味とは」「Tシャツのたたみ方」など、違う角度から興味を高めるコンテンツの作り方もあります。
以下の記事や動画も、切り口の参考にしてみてください。
☑︎【ECサイトのSEO】良いECサイトってどんなページ?テキストコンテンツはどのくらいの必要?
ECサイトの集客アップを狙うならSEO対策にも取り組もう
上記で、ECサイトのSEO施策で重要な5つの施策を紹介しました。
サイト構造上、取り組むのが難しい部分もあるかもしれませんが、ぜひできるところから挑戦してみてください。
なお、⑤集客コンテンツ作成 は、システム改修も少なく、比較的取り組みやすい施策だと思います。ご相談があれば無料サイト診断にお申し込みください。どのようなコンテンツが必要になるかなどのアドバイスも可能です。
ミエルカでは無料のWeb診断を行っています。Web広告を出稿する前にぜひ一度ご相談ください。