SEOに携わる方なら誰しもが聞いたことがある「サジェスト」。その仕組みや活用方法をきちんと把握できているでしょうか?サジェストにはユーザーが抱えている悩みや課題を読み解くヒントが溢れています。しかし、サジェストを網羅したコンテンツを作っても検索順位が上がるわけではありません。本稿では、サジェストの仕組みやSEOでの活用方法を解説し、作業効率がアップするおすすめの調査ツールも紹介します。
目次
サジェストとは?
サジェストとは、「Suggest(提案する)」の由来の通り、検索エンジンが検索ワードを提案する機能です。ユーザーが検索窓で文字を入力した際に、関連性の高いキーワードを予測し、検索候補として表示させるのです。
この機能はユーザーが求める情報を効率的に探すための機能ですが、SEOの観点からはユーザーニーズを知るためのヒントとして活用できるものです。また、SEOの文脈ではGoogle検索を前提として語られる場合が多いです。ちなみに、サジェストはGoogle検索では正式名称は「オートコンプリート」機能です。Yahoo!検索では「入力補助」とも呼ばれていますので、覚えておくとよいでしょう。
サジェストが表示される仕組み
前提として、Googleでユーザーが行う実際の検索を反映しています。しかし、だからと言って、その検索ワードとセットで検索される頻度が高いキーワードを単純に表示させているわけではありません。(また全てがユーザーが検索したキーワード、というわけではないようなのでそこも注意が必要です。)
Google検索ヘルプでは、サジェストを表示させるために以下の情報を参考にしていると公表しています。
☑︎出典:Google検索ヘルプ「Google のオートコンプリートの候補の仕組み」より
1つずつ、具体例や筆者の解釈を加えて解説していきます。
クエリの言語(検索キーワードの言語)
日本語や英語など、検索する際に利用する言語の違いがサジェストにも反映されます。
たとえば英語の「smart」では「smart tv」や「smart plan」などが表示されます。一方で日本語の「スマート」を検索窓に入力すると、「スマート ウォッチ」や「スマート フォーツー」などが表示されます。狙うキーワードが英単語や漢字の場合は特に、言語の違いによってサジェストが異なる可能性を考慮し、検索意図を調査しましょう。
クエリが実行される場所(ユーザーが検索した場所)
検索する場所によってもサジェストの内容は変化します。たとえば、東京の渋谷でランチに関する検索をすると、「ランチ 近く」や「ランチ 渋谷」などが表示されます。このときに、例えば「ランチ 札幌」のようなサジェストが表示されても利用される可能性は低いでしょう。
施設や食事など場所の情報が求められやすいキーワードの場合は、特に位置情報が反映されやすい傾向があります。
クエリで注目を集めている関心事(注目を集めている関心事)
時事ネタやバズワードに代表されるような、トレンド性の高いキーワードもサジェストに出現する可能性が高くなります。たとえば、ニュース記事を読んで知らないもしくは理解が浅い固有名詞を見つけた際に、検索で調べた経験はありませんか?このような、いわゆる「バズワード」も考慮して表示されるため、同一のキーワード検索でも時期によってサジェストが異なる場合があります。
検索ユーザー自身の過去の検索
検索ユーザー自身が過去に検索した内容も、サジェストするキーワードのヒントとして活用されます。各ユーザーにパーソナライズされたサジェストを表示することで、検索精度を向上させるためです。
Web担当者が検索窓で任意のキーワードのサジェストの傾向を調査する際には、過去の検索キーワードの影響を受けないように、ブラウザのシークレットウインドウを使うようにしましょう。過去の検索履歴に影響されない状態で検索結果を見ることができます。
サジェストと共起語の違い
共起語は、サジェストと近い意味で使われることもありますが、実際は全く異なるものです。共起語とは特定の物事を説明する際に、頻繁に用いられる言葉のことです。例えば、「織田信長」についての解説文では、「戦国時代」「本能寺」という言葉がよく用いられます。この場合、「織田信長」というキーワードの共起語が「戦国時代」「本能寺」になります。
SEO施策でサジェストを活用する方法
サジェストで表示されるキーワードは、一定の検索需要があるものと推測できます。さらに、ユーザーの検索行動にもサジェストは大きな影響を与えていると、SEOに関するニュースを多数発表する米国メディア「BACKLINKO」は発表しました。
☑︎出典:Backlinko「How People Use Google Search(New User Behavior Study)」より
2020年8月に公表された調査結果によると、検索者全体の23%がサジェストで表示される検索キーワードを利用していると発表されています。このことからも、自社サイトのメインテーマに関するサジェストは、SEOの観点でしっかりと上位を獲得したいキーワード群と言えるでしょう。
では、具体的にどのように活用するのか詳しく解説します。
SEO施策の企画・キーワード選定
検索上位表示したいテーマごとにサジェストを見ていくことで、どのような検索ニーズがあるかを知るためのヒントとして活用できます。サジェストで得た検索ニーズは、既存コンテンツの最適化や、新規コンテンツ作成の企画に活用できます。
うまく活用するためには、サジェストを検索意図ごとにグルーピングするひと手間が重要です。検索意図を把握したうえでコンテンツ企画を行うことで、ユーザーのニーズに合った品質の高いコンテンツに仕上がりますよ。
タイトルタグ・見出しタグのチューニング
ここまで解説してきた通り、サジェストは一定の検索需要があり、さらに検索の際に活用されやすいキーワードです。ということは、検索ユーザーが既に認知していたり関心が高いキーワードと解釈することもできるでしょう。
認知・関心があるキーワードをうまく活用することで、タイトルタグやhxタグ、meta descriptionといった主要タグをキャッチーに仕上げられるでしょう。ただし、サジェストに縛られて内容が不自然になったり、わかりにくくならないよう注意しましょう。
月間検索ボリュームと併せて活用するのがおすすめ
サジェストはテーマによっては大量に存在し、検索意図の読み解きに悩んでしまう場合があります。このような場合はサジェストだけではなく、月間検索ボリュームでキーワードの市場性もあわせて確認することで、優先順位をつけて読み解くことが可能です。
もちろん、キーワードを選定する際には検索ボリュームだけではなく、ターゲットユーザーの検索意図に合うかどうかを考慮することが大切です。検索ボリュームを重視するあまり、検索意図が異なるキーワードを同じページやコンテンツに盛り込むのは避けましょう。
サジェスト・月間検索ボリュームを取得できるおすすめツール
サジェストを調べる際に、毎回検索窓にキーワードを打ち込むのは手間がかかりますよね。
そんな時はサジェストを一括で取得できるツールの利用が便利です。ここでは、サジェストや月間検索ボリュームを簡単に取得できるおすすめのツールを紹介します。
グーグルサジェスト キーワード一括DLツール(1日1回無料)でサジェストを調査
グーグルサジェスト キーワード一括DLツールは、Googleサジェストに特化した調査ツールです。無料で1日1回まで利用できますが、調査回数を増やすには有料会員登録をする必要があります。Googleサジェストキーワードを大量にCSV形式で一括ダウンロードできる点が特徴です。
ミエルカ|サジェストを検索意図ごとに自動グルーピングできる
サジェストはただ抽出するだけではなくグルーピングが大事、と先ほど紹介しました。しかし、抽出はツールを活用できてもグルーピングを手作業でやることになると、相当の手間がかかります。
「ミエルカ(MIERUCA)」の「インテンショングルーピング」という機能では、抽出したサジェストのグルーピング作業までを自動で行います。
Google広告 キーワードプランナー(無料※)で月間検索回数を調査
サジェストの検索ボリュームを調べる場合には、Google広告内のツールとして提供されているキーワードプランナーが便利です。
ただし、Google広告の利用者に向けた機能ですので、広告出稿を行っていないアカウントでは「1000〜1万」などザックリとした数値しかわかりません。広告出稿していれば回数の制限はなく活用できますので、社内の別部署や委託会社が広告運用を行っている場合はアカウントを共有してもらうか、調査してもらいましょう。
Ubersuggest
Ubersuggestは世界各地の言語でサジェストを抽出できるのが特徴です。
キーワードごとの検索ボリュームもセットで表示されますが、無料で利用する場合は1日3回までの制限があるため、注意が必要です。
サジェストを上手く活用してユーザーニーズを読み解こう
ユーザーの検索意図を把握する作業は、SEOでは欠かせません。サジェストはそのヒントとして大いに活用できますが、検索ボリュームの大きいものを無作為にコンテンツに盛り込んでも意味はありません。
サジェストから得られるヒントを最大限活用するためには、検索意図をグルーピングして 検索意図のカタマリごとにコンテンツを企画することが重要です。効率化するのであればツールの力を借りつつ、SEO施策に活かしていきましょう。
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