SEO対策やオウンドメディアを運用していたりすると、かなり気にされる可能性が高いのが「低品質コンテンツ」です。特に検索トラフィックが下がったり伸び悩んだりすると、その要因の一端が低品質なコンテンツにあるのではないか?と気になることが多い様子です。
目次
株式会社Prompta. 代表取締役
出版社、学校法人広報、SEOベンダー企業を経て2013年に個人事業主として独立し2015年に法人化。9年間SEOコンサルティングのみで事業継続。マーケティング戦略立案、担当者育成やブランドマネジメントなども行う。数社のマーケティング顧問やアドバイザーとしても活動。
低品質コンテンツとは?
「低品質コンテンツ」というのは定義が非常に曖昧なので最初に定義を決めておきます。低品質コンテンツとは「ユーザーが求めている情報が存在せず、コンテンツとしての一貫性がないもの。コンテンツの目的やゴールが設定されていないコンテンツ」を指します。
上記に該当するコンテンツがサイト内に多く存在している状態だと、検索トラフィックに影響が出てしまう可能性があります。そこで定義とともに、低品質コンテンツへの対処方法やSEOへの影響について以下の内容で解説します。
- 低品質コンテンツの例
- 低品質コンテンツへの対応方法
- 低品質コンテンツとSEOへの影響
- 低品質っぽく感じるけれども低品質ではないコンテンツ
- 低品質なコンテンツを生み出さないために必要なこと
この記事を読んでコンテンツマーケティングを上手く行ってくれたら嬉しいです。
※SEOとコンテンツマーケティングの基本から整理したい方へ
▶【最新版】正しいSEOとは?5つのSEO対策とチェックリスト
▶成功するコンテンツマーケティングとは? 手順、事例をわかりやすく、簡単に解説
低品質コンテンツとは具体的にどういったものか?
冒頭で低品質コンテンツの定義を書きましたが、もう少し具体的に見ていきます。Googleからウェブ検索のスパムに関するポリシーが公開されています。
参考▶Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー
その中で低品質コンテンツに該当する項目は
- キーワードの乱用
- ハッキングされたコンテンツ
- 無断で複製されたコンテンツ
- スパム行為のある自動生成コンテンツ
- 内容の薄いアフィリエイト ページ
- ユーザー生成スパム
が該当します。言い換えると、
- 内容が薄い
- 無断複製されている
- 自動生成されている
- コメントスパムがある
- ハッキングされた状態
が低品質と見なされやすいです。それぞれ詳しく解説します。
内容が薄いコンテンツ
内容が薄いとは、オリジナルの情報が掲載されておらず、他のサイトの内容で事足りるものです。独自の見解がなく読みやすくするための工夫や付加価値の提供が行われていないコンテンツです。
文章量の短いコンテンツなのかな?と思われがちですが、そんな事はありません。文章量がある程度あるけれども中身がない、読み終わった後に得られるものがないコンテンツは低品質コンテンツです。
- 「調べてみたけどわかりませんでした」や「いかがでしたか」で締められていることが多いトレンドブログ
- 他のサイトからの情報の引用のみで構成されているキュレーションサイト
はここに該当します。
SEOを意識してコンテンツを制作するのであれば、ユーザーは何らかのキーワードを入力し検索結果からランディングします。
キーワードを入力したユーザーには達成したいゴールや知りたい情報があります。それらの情報がまとまっておらず、ただ情報を寄せ集めたものが内容の薄いコンテンツとなります。ユーザー不在で何となく作られたコンテンツや、読み手が想定されていないコンテンツは内容が薄いコンテンツとなります。
Search Consoleの「ページ」を開くと「ページがインデックスに登録されなかった理由」を確認することができますが、そこで「クロール済み – インデックス未登録」となっているページの中の”一部は”内容が薄いページである可能性が高いです。
無断複製されたコンテンツ
無断転載はGoogleの品質ガイドライン違反になります。他のサイトの無断コピーや、微妙に言い回しを変更した劣化コピー、コンテンツフィードの転載、動画や画像の埋め込みを行っただけのサイトがここに該当します。Googleの検索セントラルにも記載があります。
参考▶無断複製されたコンテンツ
引用と転載についての質問を受けることもありますが、情報の主従が成立していれば引用が無断複製されたコンテンツとはされません。
オリジナルの情報をがメインコンテンツとして存在しており、自分の情報の補足のために他のサイトから一部の情報を引用をする、というのはOKです。全てを引用や転載で行ってしまうとNGです。”一部のみ”引用していればOKです。
引用を過剰に怖がる必要はありませんが、引用が多すぎてコンテンツとしての意見が薄まっている状態は低品質コンテンツと見なされる可能性があるので、引用が多くなりすぎないようにした方が良いです。
自動生成されている
今は少なくなりましたが、かつてはワードサラダと呼ばれる無意味な文章を機械的に生成するツールを使ってページを作る手法がありました。Googleは一時期、ページ数や網羅性を評価していた事もあり、こういったツールが使われたりしていました。アルゴリズムの精度も上がったことで廃れてきましたが、今でもたまに見かけます。
こういったツールの現在の主戦場は指名検索結果です。ブランドネームで検索した際によく分からないページが大量に表示された場合、自動生成されたコンテンツがそのブランドネームで露出するために使われている可能性があります。
また、自動生成とは異なりますが、著作権の切れた小説の文章の一部にキーワードをアンカーテキストにしたリンクを忍ばせているページもあります。
これらも低品質なコンテンツです。更新が目的になってしまい「とりあえず何かアップしなきゃ!」となってしまうと、目的が分からないコンテンツがアップされることがあります。
ツールを使った状態とまでは言いませんが、意味が分からないコンテンツが生成される可能性もあります。更新は目的ではなく手段ですので自動生成されたコンテンツのようなものを生み出さないように注意してください。
最近ではChatGPTのようなAIチャットツールが話題になっています。SEOの実務に関連するところですとコンテンツ制作にChatGPTのようなAIツールが活用できないか?といった議論もありました。
コンテンツ制作には時間もコストもかかるのでこの点は気になるところかな、と思います。実際に今回の記事の構成をChatGPTに考えてもらいました。
意外と悪くはなさそうなものがで上がってきました。もう少し曖昧な質問をしてみましょう。
先ほどと似たような構成が上がってきていますね。
ChatGPTが回答してくれた構成は、どちらも悪くはありません。一定のユーザーが知りたいであろう要素についてまとめています。ただ、同じような質問をした場合、類似する回答が上がってくるので、これはそのまま使うことはできません。またユーザーが望む回答以上のプラスアルファや気付きにまで言及するのも難しいかな、と感じました。
SEOのプロとして低品質コンテンツについて相談されている立場から記事を書くのであれば「コンテンツの陳腐化」についてはしておく必要性を感じます。
高品質なコンテンツの解説が必要であれば「誰が言うか?」への言及も必要です。
AIのもっともらしい回答の足りない点や改善箇所に気づけるのであれば有用であると感じますが、回答をそのまま使ってしまうと、平均点は取れるけれどもChatGPTが回答した「高品質なコンテンツ」にはならないかな、と思います。
ただ現実には、平均点のコンテンツさえあれば良い、という場合もありますし、アイデアを出すきっかけにChatGPTは大いに活躍してくれそうです。活用方法によっては今現在でも一部の仕事を引き受けてくれる可能性は感じます。私も何か活用できる方法はないかな?と日々の業務の業務効率化のためにChatGPTの有効活用法を探っています。
コメントスパム・ハッキングされた状態
ブログなどでコメントを開放しており、そこにスパムコメントが大量についている状態も広義の低品質なコンテンツとなります。ハッキングされてしまい、サイトの中身を改ざんされた状態も低品質なコンテンツとなります。
どちらもセキュリティ上の問題として対処すべきですし、スパム対策ができていない状態であればコメントの開放はしない方が良いです。コメントを承認制にしたりスパム対策ツールを導入すると防ぐことができます。
低品質コンテンツではないもの
低品質コンテンツを過剰に気にすると、内容が少ないページの発生をとにかく怖がる、ということがあります。
- 離脱・直帰率の高いページ
- 検索トラフィックが少ないページ
- カテゴリページのようなハブとなるページ
はサイト運営者に低品質コンテンツだと判断されてしまっていることが多い様子です。これらが低品質なコンテンツとは限りません。
離脱率や直帰率の高いページは「問題解決をした事で離脱や直帰となった」可能性もあります。ユーザーのゴールが設定され、それが1つのページで完結しているのであれば離脱されるのは当然です。
無理やり改善しようとして使い勝手の悪いページになってしまう可能性もありますので、滞在時間と照らし合わせてチェックしたり、ヒートマップを導入して熟読率をチェックするなどして総合的に判断してください。
検索トラフィックが少ないページというのは、低品質コンテンツではなく、検索ニーズが少ない(存在しない)可能性があります。しっかりと調査し構成を練ったコンテンツであれば今検索ニーズが無くても、今後読まれる可能性もあります。
必ずしも低品質コンテンツとは限らないので、検索トラフィックがないページを丸ごと削除する、といった対応をしないように注意してください。
検索トラフィックがないページを削除するのは、私もやってしまったことがある失敗の1つです。私の場合は、検索トラフィックが無いページ群を削除したことでサイト全体の検索順位が大きく下落してしまいました。
この現象は私だけではなく、海外でも同様の事例が報告されています。
参考▶【悲劇】CV貢献してない記事ページを整理 → ECサイト全体の売上が減少【ありがち】【SEO情報まとめ】
この事例のような状況にならないように低品質コンテンツかどうかの判断をツールや数字のみで判断しないように注意してください。カテゴリページのようなハブとなるページは多くのコンテンツを効率よく回遊してもらうために必要不可欠です。UI/UXという観点から必要性を考えるようにしてください。
多くのページへのハブとなるページは絶対に必要ですし、類似する情報が整理されて掲載されているページはWebサイトにとっては必要不可欠なページです。ハブページに掲載されているURLをクロールすることでコンテンツが発見されている可能性もあります。
カテゴリページのようなハブとなるページは文字数も少ない傾向がありますが、こちらも気にする必要はありません。文字数が多い少ないが低品質かどうかの判断材料になることはありません。
低品質コンテンツの対処方法
低品質コンテンツの対処方法は3つしかありません。
- 高品質なコンテンツへの改善
- noindexを設定し検索に表示されないようにする
- ページの削除
です。1つ1つ解説します。
高品質なコンテンツへの改善
ベストなのは高品質なコンテンツへの改善ですが、ページに膨大なコンテンツがある場合、あまり現実的ではない可能性もあります。
今は高品質なコンテンツであっても時間とともに陳腐化し、内容が古くなったのに「最新情報!」といった見出しがついていて内容が伴わず低品質化する(価値が目減りする)こともあり得ます。
全てを最新の状態に保つことは大変です。理想的な方法は高品質なコンテンツへの改善ですが、リソースと相談して高品質なコンテンツへ改善するコンテンツを絞る、という判断も必要です。
noindexを設定し検索に表示されないようにする
次に取る方法としてはnoindexの設定があります。HTMLの<header>内に
<meta name=”robots” content=”noindex” />
と記述し、ページは存在しアクセス可能だけれども検索結果にだけ表示しないようにすることでGoogleなどの検索エンジンから除外してもらう方法です。一応、クロールはされているので検索エンジンからページは認識されていますが検索結果に表示されることはありません。
削除するのは色々な理由があって厳しいけれども、検索エンジンから評価されたくない、といった状況の場合に選択されることがあります。ページの見た目も変わらないので、事情があって削除が難しい場合は活用してください。
ページの削除
最後がページの削除です。noindexしなければいけない事情もなく、高品質なコンテンツへの改善も厳しい場合は削除するのも1つの方法です。
注意しなければいけないのは、私の事例のように削除したことでサイト全体の検索順位が下がる可能性も考慮することです。検索トラフィックがないから、といった理由ではなく、しっかりコンテンツ内容を精査した上で本当に消すべきかどうか?を判断するようにしてください。
メディアのテーマと一貫性も大切に
低品質コンテンツとは別ですが、メディアのテーマとは離れた話題で評価されてしまったために、メディアのメインテーマであるコンテンツの順位が下がる、という事もあります。
ニュース性の高い話題、戦争や差別、ギャンブルなどのセンシティブなテーマを取り扱う場合は注意してください。これらのテーマは検索数が多いので、トラフィックが大きく増えてしまい、そちらに引っ張られてサイトのテーマがブレてしまう可能性もあります。
またYMYLに抵触するテーマも非常に厳しく見られる傾向にありますので、コンテンツ化する場合は注意してください。
参考▶YMYLとは?SEOでEATが最も求められる領域となる対象ジャンルは?【動画解説】
低品質なコンテンツを生み出さないために
コンテンツの価値は時間とともに目減りします。多くのコンテンツを公開し、その価値を保ち続けるのは大変な労力が必要です。
最新性の担保が厳しいために削除せざるをえない、というのは非常に勿体ない事です。管理可能な範囲で運用し、メンテナンスコストと収益のバランスが良い形で成立するようにメディアを運営してください。
雑にコンテンツを発注したり、自動生成を使って生成されたコンテンツが低品質なコンテンツと判断されるのは仕方がないことだと思っています。
そうではなく、ユーザーのためを思い作っていたコンテンツが時間の経過とともに陳腐化し低品質なコンテンツと判断せざるを得ない状況を見ていると悲しい気持ちになります。実際そういったコンテンツ群を削除するとサイト全体のトラフィックが改善することもあります。
低品質コンテンツを正しく判断し、生成されるメカニズムや仕組みを知ることで効率的なメディア運用をされる方が1人でも増えてくれたら嬉しく思います。
Faber CompanyではWebサイト改善の無料相談も受け付けています。ユーザービリティ向上についても承っていますので、お気軽にご相談ください。
著者PROFILE
株式会社Prompta. 代表取締役
出版社、学校法人広報、SEOベンダー企業を経て2013年に個人事業主として独立し2015年に法人化。9年間SEOコンサルティングのみで事業継続。
マーケティング戦略立案、担当者育成やブランドマネジメントなども行う。
数社のマーケティング顧問やアドバイザーとしても活動。