広告、SEO、SNS、メール、展示会など、見込み顧客と接点を持つ手段(チャネル)は数多くあります。しかし、「施策は実施しているのに成果につながらない」「チャネルごとに発信内容がばらばらになっている」「どのタイミングで何を伝えるべきか整理できていない」と感じる方も多いのではないでしょうか。
マーケティング・コミュニケーション(マーコム)とは、顧客や見込み顧客に対して商品・サービスの価値を伝え、認知や比較検討、問い合わせ、購入などの行動につなげるための取り組みです。重要なのは、単発の施策を乱発することではなく、ターゲットの状況やカスタマージャーニーに文脈を合わせ、ブランドとして一貫したメッセージを届けることです。
本記事では、マーケティング・コミュニケーションの意味や戦略の立て方、役立つフレームワーク、コミュニケーションを構成するオンライン・オフラインのプロモーション手法の使い分けや具体的な事例までわかりやすく解説します。

目次
マーケティング・コミュニケーションとは
マーケティング・コミュニケーションとは、顧客や見込み顧客に対し商品やサービスの価値を伝え、態度変容を促すための継続的な取り組みです。
広告・広報・販促といったプロモーション施策を戦略的に設計・統合し、継続的に顧客との接点を築くことで、一貫したブランドを構築することを目的とします。

マーケティング・コミュニケーションが重要視されるようになった要因は、市場の競争激化と消費者が接触するチャネルの多様化があります。
競合企業と差別化を図り、より多くの消費者にブランドを受け入れてもらうには、ターゲットの状況に応じた適切なコミュニケーション戦略が求められるようになったためです。
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コミュニケーション戦略の立て方
マーケティング・コミュニケーションの戦略を立てる、4ステップを解説します。

ステップ1.ペルソナ(ターゲット)を明確にする
まずは、誰に向けて情報発信を行うのかを明確にします。年齢・性別・職業などの属性だけでなく、どのような悩みを持っているのか、何をきっかけに情報収集を始めるのか、購入や問い合わせの際に何を不安に感じるのかまで整理することが大切です。
BtoBであれば、企業規模や業種、担当者の部署や役職、意思決定に関わる人物も確認します。同じ部署でも、現場担当者と部長・役員クラスでは知りたい情報や、響く表現が異なるからです。
ペルソナを具体化することで、訴求すべき内容や選ぶべきチャネルが見えやすくなります。
※関連記事:ビジネス用語「ペルソナ」とは?作り方・設定事例5つでわかりやすく解説
ステップ2.カスタマージャーニーに沿ったコミュニケーションを設計する
カスタマージャーニーとは、ターゲットが商品・サービスを知り、比較し、購入・問い合わせに至るまでの流れを可視化したものです(後述でくわしく説明します)。
顧客は最初から購入を決めているわけではなく、「課題に気づく」「情報を集める」「他社と比較する」「導入を検討する」といった段階を踏むのが一般的です。また、情報収集は検索エンジンやSNS、比較は口コミサイトなど、接触するチャネルも多岐にわたります。
そのため、認知段階では課題への共感を促す記事や広告、比較検討段階では導入事例やカタログ、意思決定段階では料金プランやサポート体制など、段階に応じた情報提供が必要です。
顧客の状況に合ったコミュニケーションを設計することで、検討を自然に次の段階へと進めやすくなります。
※関連記事:カスタマージャーニーって何?概念と基本を5分で理解する
ステップ3.施策のKPIを設定し、効果測定の体制を整える
広告・記事・メール・ウェビナー・SNSなど、それぞれの施策に適切なKPIを設定し、効果を測定できる状態にしておくことが重要です。認知拡大が目的であれば表示回数やサイト流入数、顧客獲得が目的であれば購入数や問い合わせ数をKPIに設定します。
目的が異なればKPIも異なります。認知向けの施策に問い合わせ数をKPIに設定すると、施策を正しく評価できません。施策ごとの役割と指標を整理することで、次の打ち手を考えやすくなります。
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ステップ4.一貫性のあるメッセージを届ける
マーケティング・コミュニケーションにおいて重要なのは、メッセージの一貫性です。チャネルや購買フェーズによって切り口は変わっても、訴求するブランド価値は統一します。
たとえば、広告では「低価格」を前面に押し出しているのに、Webサイトでは「高品質」を打ち出していると、ターゲットが混乱してしまう可能性があります。
この考え方は、統合型マーケティング・コミュニケーション(IMC:Integrated Marketing Communication)と呼ばれます。広告・広報・販促・営業活動を個別に考えるのではなく、顧客から見て一貫した体験になるよう設計することで、ブランドが提供する価値を顧客に想起してもらいやすくなります。
※関連記事:マーケティングとは?定義・何をするか初心者向けに解説
コミュニケーション戦略の設計に役立つフレームワーク
コミュニケーション戦略を検討する際には、フレームワークの活用も有効です。フレームワークを活用することで、思考を整理したり内容をチームで共有したりしやすくなります。マーケティングで使用される代表的なフレームワークを3つ、ご紹介します。
STP分析
STP分析は、「Segmentation:セグメンテーション」「Targeting:ターゲティング」「Positioning:ポジショニング」の3つの頭文字からなるマーケティングフレームワークです。
STP分析を行うことで「どの顧客を優先すべきか」を特定しやすくなります。

STP分析では、居住地や年齢、性別などで市場を細分化(セグメンテーション)し、自社が接点をつくるべき顧客を特定(ターゲティング)します。
市場を細分化する過程では、どのセグメントにどのようなニーズがあるか、母数はどれほど存在するかなどを定量的・定性的に可視化が可能です。次に競合他社の分析を行い、自社の立ち位置(ポジショニング)を決定します。
※関連記事:
・マーケティング戦略立案の流れと役立つフレームワーク、外注への発注成功事例も
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ポジショニングマップ
ポジショニングマップは、縦と横のマトリクスに競合他社と自社を配置することで、自社がどの立ち位置を狙うのかをわかりやすく可視化できるフレームワークです。

ポジショニングマップを作成する際は、事前に競合他社との違いを比較表に落とし込むとスムーズです。比較表のなかから、2つの軸を選びマトリクスに落とし込むことで、ポジショニングマップが完成します。
立ち位置が明確になることで、マーケティング・コミュニケーションにおける「一貫したメッセージ」を策定しやすくなります。
※関連記事:今すぐできる競合分析!やり方・フレームワークと事例
カスタマージャーニー
カスタマージャーニーは、顧客が商品やサービスを購入・契約するまでの一連のプロセスを指します。カスタマージャーニーを以下のように図化したものをカスタマージャーニーマップといいます。

カスタマージャーニーを作成する際は、購買行動の段階ごとに見込み顧客がどのようなメディアを利用し、どのような心理状態にあるかを分析・整理します。コミュニケーション戦略を立てる際の、メディア選定やメッセージ訴求の検討に活用できます。
※関連記事:初めての「カスタマージャーニーマップ」基本と作り方・例~無料テンプレート付き~
コミュニケーションを実行する施策一覧
コミュニケーション戦略を立てた後は、実際の施策を選択・実行する段階です。
広告・SEO・SNSなどの施策をオンライン・オフライン別に整理し、どのフェーズでどの施策が有効かを解説します。
本記事では、顧客の購買プロセスを以下の4段階で定義します。

オンライン
オンラインの施策は、ターゲットの行動データをもとに効果を検証しやすい点が特徴です。施策によってコスト構造や評価指標は異なるため、フェーズと目的に応じて使い分けることが重要です。
| 施策 | 向いているフェーズ | 想定される顧客の状態 | コミュニケーション方針の例 |
| SEO | 興味・関心〜 比較・検討 | 課題を感じており、自分で情報収集している。まだ解決策や依頼先は絞り込めていない | 課題解決に役立つ情報を丁寧に提示し、比較など次のフェーズへの後押しをする |
| SNS | 認知〜 興味・関心 | まだ強い課題感はないが、関連情報には何となく触れている。企業名やサービス名は知らない可能性が高い | 売り込みよりも、気づき・共感・専門性を継続的に届け、想起される状態や、フォローなどで情報を届けられる関係性を構築する |
| リスティング 広告 | 比較・検討〜 購入・問い合わせ | 具体的なキーワードで検索しており、サービス導入や問い合わせに近い状態 | 検索意図に直結する訴求を行い、強み・実績・料金・導入メリットを分かりやすく示す |
| ディスプレイ 広告 | 認知〜 比較・検討 | 明確に探しているわけではないが、関連する課題やサービスに反応する可能性がある | 一目で伝わるメッセージやビジュアルで興味を引き、まずは認知・再訪につなげる |
| メールマガジン | 興味・関心〜 比較・検討 | 過去に資料請求・問い合わせ・名刺交換などの接点があるが、今すぐ検討しているとは限らない | 事例・ノウハウ・セミナー情報などを継続的に届け、検討タイミングが来たときに思い出してもらう |
| 記事広告 | 認知〜 比較・検討 | 自社を知らない、または詳しく知らないが、掲載メディアの情報には関心を持っている | 第三者メディアの文脈を活かし、課題提起から解決策まで自然な流れで理解してもらう |
| 動画広告 | 認知〜 興味・関心 | 受動的に情報に触れており、まだ詳しい説明を読むほどの関心は高くない | 冒頭で関心を引き、課題感・利用イメージ・ブランドの印象を短時間で伝える |
| オンラインイベント・セミナー | 興味・関心〜比較・検討 | テーマに関心があり、まとまった時間を使って情報を得ようとしている。課題感は比較的高い | ノウハウや事例を通じて理解を深めてもらい、相談・商談につながる接点を作る |
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オフライン
オフライン施策は、デジタルでは届きにくい層へのリーチや、リアルな接点による信頼形成に強みがあります。施策によってコストや到達範囲が大きく異なるため、ターゲットと目的に応じた選択が重要です。
| 施策 | 向いているフェーズ | 想定される顧客の状態 | コミュニケーション方針の例 |
| テレビ | 認知〜興味・関心 | 商品・サービスをまだ知らない。課題を明確に意識していないが、生活や仕事の中で今後、接点が生まれる可能性がある | 短時間で印象に残るメッセージを伝え、企業名・商品名・ブランドイメージを覚えてもらう |
| ラジオ | 認知〜興味・関心 | 移動中・作業中などに情報へ接触している。画面を見ていないため、音声だけで理解する必要がある | 覚えやすい言葉やストーリーで親近感を作り、地域性やパーソナリティとの相性を活かす |
| 雑誌 | 興味・関心〜比較・検討 | 特定のテーマや業界に関心があり、自分に関係する情報として読み込む可能性がある | 読者の関心領域に合わせて、世界観・専門性・商品価値を丁寧に伝える |
| 新聞 | 認知〜興味・関心 | ニュースやトレンドを確認している。社会性・信頼性のある情報として受け止めやすい。 | トレンドや社会的な関心ごとに文脈を合わせる。企業の実績、社会的意義、信頼性を前面に出し、安心感を高める |
| チラシ | 認知〜購入・問い合わせ | 地域や生活圏の中で情報に接触している。必要性があればすぐ行動する可能性がある | 価格・特典・場所・期限・問い合わせ先を分かりやすく示し、行動を促す |
| 屋外広告 | 認知〜興味・関心 | 通行中に短時間だけ接触する。強い課題感があるとは限らない | 一目で伝わるメッセージやビジュアルで、企業名・商品名・印象を残す |
| 交通広告 | 認知〜興味・関心 | 通勤・通学・移動中に反復接触する。一定時間、広告を見てもらえる可能性がある | 覚えやすいコピーや課題提起で記憶に残し、Web検索など次の接触につなげる |
| オフラインイベント、セミナー (営業と連携) | 興味・関心〜比較・検討 | テーマに関心があり、直接話を聞いたり質問したりしたい状態。課題感は比較的高い | 専門知識や事例を通じて理解を深めてもらい、個別相談や商談につなげる。リアルであるという特性を生かし、その場で直接商談をする |
| 展示会・カンファレンス(営業と連携) | 認知〜比較・検討 | 業界情報を集めている。具体的な導入予定がある場合もあれば、情報収集段階の場合もある | 短時間で課題との関連性を伝え、名刺交換・資料配布・デモ・後日の商談につなげる |
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コラム:広報・PRとの連携
広告・販促の各施策と並行して、広報・PRとの連携も意識しておくと効果的です。プレスリリースやメディア掲載などの広報活動は、第三者からの情報として受け取られるため、広告とは異なる信頼性を持ちます。
たとえば、新製品のリリースや導入事例の公開タイミングに合わせてプレスリリースを配信し、メディアに取り上げてもらうことで、広告ではリーチしにくい層への認知獲得や、ブランドへの信頼形成につなげることができます。
広告・販促の施策で顧客と接点を作り、広報活動で信頼を補強する。この両輪を意識することで、コミュニケーション戦略全体の効果が高まります。
マーケティング・コミュニケーションの事例
マーケティング・コミュニケーションの事例を、BtoBとBtoCでそれぞれ1つずつご紹介します。
BtoBの事例:株式会社Faber Company
当社・Faber Companyでは、オンラインとオフラインを横断し、複数の施策を組み合わせたコミュニケーションに取り組んでいます。
オウンドメディアである「ミエルカマーケティングジャーナル」「AI×SEO」は認知から比較検討まで、多くのマーケティング担当との接点となっています。
またYouTubeチャンネルの「ミエルカチャンネル」は、SEOの最新情報を専門家の視点から詳しく解説しています。
オフラインの接点としては、SEO業界では最大規模となるリアルカンファレンス「Japan SEO Conference」も開催しています。

BtoCの事例:スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社
スターバックスのマーケティング・コミュニケーションの特徴は、商品そのものだけでなく、店舗で過ごす体験をブランド価値として伝えている点にあります。
とくにリアル店舗では、コーヒーを買う場所ではなく、自宅でも職場でもない「サードプレイス」としての居心地を重視しています。日本でもこの考え方は一貫して打ち出されています。店内の内装・照明・接客・コーヒーの香り・BGM・席の配置などを通じて、くつろぎ・集中・会話が自然に生まれる空間を設計しているのが特徴です。
さらに、季節限定の新商品やホリデーカップ、メニューのカスタマイズなど、顧客が「誰かに伝えたくなる」仕掛けがさりげなく設けられています。こうした店舗体験を起点に、SNS投稿や口コミを通じてブランドが広がるサイクルを意図的に設計しているのがスターバックスの特徴です。
コミュニケーション戦略のポイント
マーケティング・コミュニケーションでは、戦略が机上の計画で終わらないよう、実現可能性を高めることが重要です。戦略の精度や実効性を高めるための視点を4つご紹介します。

5W1Hを意識する
コミュニケーション戦略を立てる際は、5W1Hの視点が欠かせません。
- 誰に(Who)
- 何を(What)
- なぜ(Why)
- いつ(When)
- どこで(Where)
- どのように(How)
同じ商品・サービスでも、5W1Hを整理することで、伝えるべき相手やタイミングに合ったメッセージを設計しやすくなります。
施策の目的とKPIをセットで考える
マーケティング・コミュニケーションにおいて、施策とKPIは連動します。
たとえば、リスティング広告は「顕在層をコンバージョンへ転換する」目的で使うため、問い合わせ数やCPAが評価指標になります。一方、SNSや動画広告は「まだ課題を意識していない層に認知・共感を生む」目的で使うため、インプレッション数・エンゲージメント・指名検索・サイト流入などが適切な指標です。
施策を選んだ後にKPIを考えるのではなく、「この施策で何を達成したいか」を先に明確にすることが重要です。
シングルソース・マルチユース
限られた予算や人員で継続的に情報発信を行うには、ひとつのコンテンツを複数の施策に展開する「シングルソース・マルチユース」の考え方が有効です。たとえば、セミナーの内容を記事化し、要点をSNS投稿にし、スライドをホワイトペーパー化し、さらにメールマガジンで配信する、といった活用が考えられます。
毎回ゼロからコンテンツを作るのではなく、核となる情報を用意し、媒体や顧客フェーズに合わせて再編集することで、発信の効率と一貫性を高められます。
顧客ニーズに合わせたコンテンツを用意する
同じテーマでも、顧客の状況や情報収集のスタイルによって、受け取りやすい形式は異なります。じっくり比較検討したい人には詳しい記事や、比較表、ホワイトペーパーが。移動中や作業中に情報を得たい人にはポッドキャスト、短時間で概要を知りたい人には動画や図解が適しています。
テキストだけに頼らず、音声・動画・図解・セミナーなど複数のフォーマットを用意することで、より多くの顧客に情報を届けやすくなります。
マーケティング・コミュニケーションは、マーケティング戦略に沿って、広告・SEO・イベントなどの個々の施策を「誰に、何を、どの順番で伝えるか」という視点でつなぐ考え方です。まずは本記事で戦略の全体像をつかみ、各施策の設計に活かしてみてください。






