Webマーケティングに関わる方にとってCVRという言葉は、思わず身構えてしまうフレーズかもしれません。CVRがアップすることは、売上がアップすることであり、広告の費用対効果が改善することでもあるからです。アップすることで、みんながハッピーになるCVR。具体的に改善するにはどうすればよいのでしょうか?CVRの改善から述べ6万件のリードを獲得してきた筆者が解説します。
目次
1.CVRとは
CVRとは、コンバージョンレート(Conversion Rate)の略です。そもそもCV(コンバージョン)とは転換や変化という意味の英単語。転じて、マーケティングにおいて商品が購入されたり、サービスが申し込まれることを総称してCVと呼ぶようになりました。BtoB企業のリード獲得もCVと定義されます。
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①CVRの計算方法
CVRという単語は、Webサイト以外にも、広告やメルマガなどさまざまな場面で使われます。それぞれで意味合いが異なり、計算式も違います。
WebページのCVR | CV数÷アクセス数×100 |
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広告のCVR | CV数÷クリック数×100 |
メルマガのCVR | CV数÷リンククリック数(またはLPへのアクセス数)×100 |
CVRはWebサイト全体を指すこともあれば、Webページ単体を指すこともあります。レポーティングや会議を行う際には定義を明確にしておきましょう。
②CTRとCPAとの違い・それぞれの計算方法
CVRと一緒によく使われる言葉としてCTRやCPAがあります。まず、CTRはクリック・スルー・レート(Click Through Rat)の略です。一般的にクリック率と呼ばれます。広告などが表示された回数に対するクリック数の割合です。計算式は下記です。
広告のCTR | クリック数÷広告の表示回数(インプレッション)×100 |
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メルマガのCTR | クリック数÷メルマガの開封数×100 |
CPAはコスト・パー・アクション(Cost Per Action)の略で、顧客獲得単価とも呼ばれます。顧客獲得の定義によって計算式は違いますので注意が必要です。たとえば、広告・ウェビナー・イベント出展の場合だと下記のようになります。
広告のCPA | 顧客獲得数÷広告にかけた費用 |
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ウェビナーのCPA | 申込者数÷集客にかけた費用 |
イベントのCPA | リード獲得件数÷イベント出展費用 |
2.WebマーケティングにおけるCVRの重要性
Webマーケティングにおいて、CVRは極めて重要な指標です。WebサイトのCVRが悪いまま、広告などでアクセスを増やしたとしても、穴のあいたバケツに水を注ぐようなものだからです。
ただし、そもそもWebサイトへの流入数が少ない場合や、CVRの改善に時間がかかる場合、短期的にCVが必要な場合などは必ずしもそうとは限りません。あえてWeb広告などの流入施策を実施することもあります。
具体的にはCMS(コンテンツマネジメントシステム)などの仕様上、Webページがテンプレート化されており、きめ細かな調整ができない場合などです。この場合、Web接客ツールなどを導入してCVRを高めるという手法も有効です。
3.CVRに平均値ってあるの?
CVRの目安を知りたいというご相談を受けることも少なくありません。海外の調査ですが下記のような調査結果もあります。こちらは広告運用ツールを提供する企業が、自社の数千の顧客を分析した数値です。
全業界のCVR平均値 | 2.5% |
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ECのCVR平均値 | 1.84% |
法律関連のCVR平均値 | 2.07% |
BtoBのCVR平均値 | 2.23% |
金融関連のCVR平均値 | 5.01% |
参考・出典:What’s a Good Conversion Rate? (It’s Higher Than You Think)
あくまで上記は参考程度にみていただくのがよいと思います。実際には流入するキーワードや流入元によってCVRは大きく異なるからです。流入元が「自然検索で指名検索(社名やサービス名)」の場合、CVRが二桁を超えることも少なくありません。一方で、同じ自然検索であっても一般キーワードの場合は、CVRが1%を下回ることもざらにあります。
CVRを分析する際には、一般的な平均値を意識するよりも、過去の自社サイトとの比較や流入元による違いなどを意識するとよいでしょう。
4.CVRを改善するために見るべき3つのポイント
CVRを改善するために押さえておきたいポイントは流入元、流入先、そしてCVの最終地点であるフォームの3つです。
①流入元の種類(チャネル)
流入元の種類は「チャネル」とも呼ばれます。大きくは下記の6つがあげられます。
- 自然検索
- 他サイト
- 広告
- SNS
- 直接流入
それぞれによってCVRが異なります。下記は筆者のGoogleアナリティクスの画面です。EmailとDisplay(広告)のCVRが高いです。またPaid Search(広告)のCVRも高くなっています。こちらは主にGoogle広告です。
一方で、Organic Search(自然検索)のCVRは1%を切っています。こちらは改善の余地がありそうです。
流入元を分析する観点として、もう一つが流入キーワードです。なぜなら流入キーワード=ユーザーの情報ニーズでもあるからです。具体的な改善施策などは、この後の事例で解説していきます。
②流入先のページ(ランディングページ)
流入先のページ、つまりランディングページ(LP)の分析も、CVRアップには有効です。Googleアナリティクスなどアクセス解析の数値だけでなく、実際にランディングページを目で見ながら分析しましょう。
ランディングページを分析する際に役立つのがヒートマップツールです。ユーザーがどこまでスクロールしたのか、どこをクリックしたのかといった行動プロセスをデータで視覚的に確認できます。
たとえば、よく見られている箇所にCVにつながる導線を設置するなどの施策が考えられます。
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③フォーム
意外と見落としがちなのがCVの最終地点、つまりフォームです。なんとなく決めた入力項目や、修正箇所がわからない入力欄など、よく見ると改善箇所が山ほどあるケースもあります。フォームの改善をEFOと呼ぶこともあります。エントリーフォームオプティマイゼーション(Entry Form Optimization)の略です。
ちなみにミエルカマーケティングジャーナル(このブログ)の場合は、ページの下部に入力フォームを固定で表示させています。こうした取り組みもCVRアップの施策の一つです。
5.7つの事例から得る! CVR改善ノウハウ
CVRの改善に成功した事例を紹介しながら、見るべきポイントと具体的な改善のためのTipsを紹介します。
- ①お役立ち資料をまとめたLPで広告のCVRが3倍に
- ②ホワイトペーパーの内容のチラ見せで、メルマガのCVRが2倍
- ③ユーザーニーズに合致したホワイトペーパーでCVRを4倍に改善
- ④ヒートマップの情報をもとに施策を実施、CVRを5倍に改善
- ⑤離脱エリアへの情報追加でCVRを1.5倍まで改善することに成功
- ⑥熟読エリアにCTA(CVに繋がるリンク)を設置することでCVRが1.83倍に上昇
- ⑦CTAボタンの改修でCVRが2倍に改善
①お役立ち資料をまとめたLPで広告のCVRが3倍に
Google広告などでは、基本的に社名やサービス名などの指名キーワードのCVRが高いです。一方、サービスカテゴリやお悩み系といった一般キーワードのCVRは低くなりがちです。
そこで、あるBtoB企業は一般キーワードと指名キーワードとで、ランディングページ(LP)を分けました。一般キーワード用のLPの方は、その特性を活かしてCTAをお役立ち情報(ホワイトペーパー)にしたところ、、CVRを3倍近くまで改善できたのです。
②ホワイトペーパーの内容のチラ見せで、メルマガのCVRが2倍
こちらもBtoB企業の例です。自社の顧客リストへメール配信を行う際、ホワイトペーパーのダウンロードフォームを設置しました。最初は、入力項目とテキストが表示されたシンプルなフォームを使用していたのです。
しかしCVRがイマイチだったので、フォームにホワイトペーパーの表紙や中身を部分的に掲載したところ、CVRが約2倍に改善されました。
ユーザーの期待感を醸成できるレイアウトに変更して、数字が上がった成功事例です。
☑︎合わせてオススメの記事:ホワイトペーパーとは?作り方・活用法・集客戦略【動画付き解説】
③ユーザーニーズに合致したホワイトペーパーでCVRを4倍に改善
筆者のWebサイトには、「ホワイトペーパー テンプレート」というキーワードで検索上位表示しているページがあります。下記のGAデータを見てもらうと分かるのですが、このページのCVRは3.85%。その下のページ(BtoBオウンドメディアに関するコンテンツ)の1.12%よりも高い数値になっています。
CVRが高い要因として「ホワイトペーパー テンプレート」で流入するユーザー向けに、最適化した資料を設置している点が挙げられます。このように、訪問するユーザーの情報ニーズを想定し、適切なCVポイントを用意することで、CVRを改善できます。
④ヒートマップの情報をもとに施策を実施、CVRを5倍に改善
北海道の水産物を主としたECを運用されている「ぎょれん販売株式会社」様は、ヒートマップを活用することで、約5倍のCVRアップを実現しました。具体的な施策は下記の2つ。
- よくクリックされている導線をさらにバナーで目立たせる
- バナーを熟読エリア(よく見られている場所)に設置する
ヒートマップにはユーザーがクリックした箇所をチェックできる「クリックヒートマップ」があります。頻繁にクリックされている=ユーザーのニーズが高い情報という仮説が成り立ちます。
もう一つのヒートマップは「アテンションヒートマップ」です。これは「よく見られているエリア」を可視化できます。ユーザーニーズの高い情報をバナーで目立たせ、高熟読エリアに設置することで、CVRの大幅な改善につながりました。
詳しくは下記の事例紹介ページでまとめています。
☑︎メディア経由の商品購入数が5倍に!カスタマーサクセスと二人三脚で取り組んだ改善の秘策とは?
⑤離脱エリアへの情報追加でCVRを1.5倍まで改善
広告運用から経営コンサルティングまで幅広いマーケティング支援を行う「後藤ブランド株式会社」様は、ヒートマップを有効活用することでCVRを1.5倍に改善されました。具体的な施策は下記です。
- 離脱エリアに漫画コンテンツを掲載
分析によって、LPのファーストビュー(最初の1画面に表示される領域)の後に、多くのユーザーが離脱していると判明しました。そこにわかりやすい漫画コンテンツを設置し、離脱率が改善したことで結果的にCVRが改善しました。
クライアント様のご都合もあるため、実際に漫画コンテンツを設置したLPの画像はお見せできないのですが、改善に至った経過は下記で詳しくまとめられています。ぜひご覧ください。
☑︎【CVR150%改善!】ユーザーの気持ちを考え抜く。後藤ブランド株式会社様の改善事例
⑥熟読エリアにCTAを設置してCVRが1.83倍に上昇
九州地方を中心にパーソナルジム事業を展開する「株式会社RITA-STYLE」様。ヒートマップで得られたデータにもとづいてPDCAを回し、CVRを1.83倍までアップさせることに成功しました。具体的な施策は下記です。
- 熟読エリアを分析
- 熟読エリアにCTAを設置
ヒートマップでLPを分析すると、ページ下部にある料金表の熟読率が高いとわかりました。料金表を見ているユーザーは申込意欲が高いという仮説のもと、その下に申し込みにつながるCTAを設置。仮説が的中し、CVRアップにつながりました。
詳しくは下記の事例紹介ページでまとめています。
☑︎【CVR1.83倍!】株式会社RITA-STYLE様のヒートマップ活用方法
⑦CTAボタンの改修でCVRが2倍に改善
就活エージェントサービスを運営するHRクラウド株式会社様は、低迷していたオウンドメディアをテコ入れし、2年でPVとCVを約10倍に伸ばされました。コンテンツを追加し、流入数をアップさせるだけでなく、CVRアップ施策にも積極的に取り組んでいます。同社が行った具体的な施策は下記です。
- CTAボタンをよりリッチに、イメージをわきやすく改善
文言だけのCTAボタンに流れやメリットを記載することで、具体的な次のアクションをイメージしやすくなっています。ユーザーにとっての使いやすさを試行錯誤することで、成果につなげている事例です。
詳しくは下記の事例紹介ページでまとめています。
☑︎【新卒社員が人材系オウンドメディアを再生し、CV10倍を実現!
6.CVR改善に役立つツール
これまで解説したように、ヒートマップなどのツールはCVR改善に有効です。大きなメリットは「データで可視化できる」点です。上司やチームメンバーとディスカッションする際、互いに主観で話していてもなかなか前に進みません。仮説を裏付けるデータがあることで、合意形成がしやすくなります。役立つツールを4つ紹介いたします。
①Googleアナリティクス
Googleアナリティクスは無料で使えるアクセス解析ツールです。Webサイト全体のCVRや、ページごと、流入元ごとのCVRを計測可能です。またABテストなどの機能もあります。
☑︎Google アナリティクス
☑︎Google Analytics(アナリティクス)とは?何ができる?わかることから主機能を紹介
②ミエルカSEO
ミエルカSEOはユーザーの検索意図を可視化できるツールです。検索意図をくわしく分析することで、ユーザーのニーズを類推できます。ページやWebサイトに追加すべきコンテンツを的確に制作できます。
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③ミエルカヒートマップ
ミエルカヒートマップはWebページのユーザー行動を可視化するツールです。事例で解説した通り、ユーザーの離脱ポイントや熟読エリアなどの細かい分析ができ、どのようにページを見せるべきか、という方針を立てやすくなります。
☑︎ミエルカヒートマップ(無料で利用できます)
④コンバージョンミエルカ
コンバージョンミエルカはWeb接客を効果的に行うためのツールです。ユーザーの行動に合わせたポップアップ表示が可能です。Webサイトの仕様上、すぐには大幅な改善ができないといったこともよくあります。そのような場合でも、Web接客ツールを活用すれば、ユーザーのニーズに沿ったCVポイントを適切なタイミングでかんたんに表示できます。
7.CVRの改善にはプロセスの可視化が重要
Webマーケティングではレポーティング項目のなかに含まれることも多い「CVR」という指標。ただ指標だけをウォッチしていても改善にはつながりません。Webサイト分析においてよく言われることですが、現場=Webページで何が起きているのかを確認し、その状況を可視化し、仮説を立てることがとても重要です。
仮説を立てるためのデータを得るためにはツール活用が効率的です。特にミエルカヒートマップは無料で利用できるため、入門編としておすすめできます。
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