SEOとは「Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)」の略語です。検索エンジンに見つけてもらって特定のキーワードで自社Webページを上位表示させるための施策を指します。今回ははじめてSEOに取り組む方でも理解できるように、わかりやすく解説し、検索エンジンやユーザー、キーワード、実際のSEO施策を実施していく流れまでを掴んでもらえるようにしています。
目次
出版社、学校法人広報、SEOベンダー企業を経て2013年に個人事業主として独立し2015年に法人化。9年間SEOコンサルティングのみで事業継続。マーケティング戦略立案、担当者育成やブランドマネジメントなども行う。数社のマーケティング顧問やアドバイザーとしても活動。
SEOとは?
SEOとは「Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)」の略語だと解説しました。
ビジネス上、重要なキーワードで検索上位表示すると見込み客に見つけてもらいやすくなるため、集客という面では非常に有利な状況になります。ただ、検索上位表示するための方法は簡単なものではなく、
- 検索エンジンから理解され、
- 検索者から求められるページやサイト
である必要があります。SEOを成功させるには検索エンジンとユーザー、両方からの支持が必要になるため、この2つをバランスよく行うことが求められます。基本を理解して、SEOを実践していきましょう。
※より本質的なSEOを理解するためにはこちらも参照ください。
SEOは検索エンジンによる集客を行うためのマーケティング施策の1つで、広告ではなく自然検索結果での自社ページがなるべく上位表示するための方法となります。そして、SEOの成功のためには検索エンジンの仕組みの理解が重要になります。
検索エンジンはユーザーのキーワードに応じて適切な検索結果を返そうとします。
検索キーワード→質問
検索結果→回答
と置き換えてもらうと分かりやすいです。
以下似たようなキーワードの検索結果ですが、それぞれ異なるサイト(ページ)が表示されています。
それぞれのキーワードを質問へ置き換えると
「プロテインおすすめ」は「おすすめのプロテインを教えて」
「プロテイン効果」は「プロテインってどんな効果があるの?」
といった内容になります。
検索エンジンは、この質問に対応した回答を瞬時に準備しユーザーへ提供します。SEOはこの検索エンジンが適切な回答を返す仕組みを利用し、質問を先回りして回答を準備し、ユーザーと検索エンジンから回答の1つとして使ってもらうことを目的としています。
検索エンジンの仕組みをつかったSEOを成功させるための要素
先ほど、SEOは検索エンジンの仕組みを活用したマーケティングだと解説しました。検索エンジンの仕組みを理解しなければ適切なSEOはできません。
検索エンジンは検索ユーザーの質問へ良い回答をしようと色々なシグナルを使って判断します。ベースとしては検索ユーザーがどういう回答を求めているのか?を知る必要があります。
ですので、最も基本的なこととして検索ユーザーのことを理解する必要があります。この理解の深さはSEOの成功に直結する要素で非常に重要です。
ただし、検索ユーザーを理解するだけでは良い回答はできません。検索エンジンがどのような手順、仕組みで検索結果(=どのWebサイト・コンテンツを掲載するか)を生成しているか理解をすることです。
検索結果を作るまでに、クロール→インデックス→ランキングという手順を踏んでいます。この3つの要素については後述します。
検索キーワードについて理解する
先ほど例で
・キーワード「プロテインおすすめ」は質問へ変換すると「おすすめのプロテインを教えて」
・キーワード「プロテイン効果」は質問へ変換すると「プロテインってどんな効果があるの?」
となると解説しました。
プロテインを製造販売しているメーカーであれば、これらのキーワードでの上位表示は魅力的なものになりそうです。皆さんのビジネスにおいて上位表示されたらインパクトがありそうなキーワードはどういったものでしょうか?
この検索キーワードの数や検索数(検索ボリューム)が、そのまま自社がSEOを活用してリーチできる市場の大きさになります。
SEOは検索キーワードに大きく左右されるので、検索されないサービスや認知されておらず検索される土壌がないビジネスはSEOで成功するのは難しくなります。
実際に検索キーワードはあるのに、検索されそうなキーワードが把握できなかった、という状況も同様にSEOの成功確率を大きく下げてしまいます。自社に関連するキーワードがどれくらいあるのか?を調べることは欠かせません。
Search Consoleを活用して自社サイトに流入があるキーワードを調べても良いですし、ミエルカSEOのようなツールを使ってキーワードを探ると自社が獲得できていないキーワードなども調査できます。
SEOのメリットとデメリットについて理解する
SEOは多くのマーケティング施策の1つです。それ1つでマーケティングが完結する、といったことはないですしSEOにも得手不得手があります。
SEOが向いていない部分をSEOでカバーしようとすると費用対効果が悪く成果が出ない施策を続けることになってしまいます。メリットとデメリットを知り、適切にSEOを使うようにしてください。
簡単に筆者が考えるメリット・デメリットを挙げてみます。
SEOのメリット:検索結果でユーザーとコミュニケーションが取れる
何かしらの購買やサービスの導入を考えているユーザーの一連の行動はカスタマージャーニーで表現されます。
課題認知→興味関心→比較検討→購買
というカスタマージャーニーがあった場合、SEOが最も得意なのは比較検討フェーズです。購買の1歩手前で、興味関心を持った後の行動くらいの部分がSEOで課題解決しやすいところです。
比較検討を行っているユーザーが検討するサービスを探している場合、SEOで検索露出することは非常に効果的です。比較検討するためのサービスを色々な切り口で探すユーザーは多いですし、そのために検索するのはよくあるパターンです。
比較検討するための評価軸、というのを決めかねているユーザーがいる可能性もありますが、自社商品が得意な内容で選び方を伝える、といったこともできます。比較検討から有利に購買へ進んでもらうためにもSEOに注力するメリットは大きいでしょう。
SEOのデメリット:検索キーワードが存在しない場合は機能しない
検索エンジンの仕組みを利用する以上、検索キーワードが少なかったり存在しないジャンルにおいてはSEOは効果が出せません。サービスやジャンルが認知されていなかったり、ニッチ過ぎて検索する人が少ない場合もSEOで成果を出すのは難しいです。
ニーズがない領域においてSEOで問題解決は不可能ですので、別の施策で何とかする必要があります。また、SEOで認知をとろうとしたり、購買をさせようとするのも難しい場合が多いです。認知に関してはSEOよりもWeb広告やその他プロモーションの方が適切ですし、購買に関してはLPや対面営業など、別の施策の方が効果的なことが多いです。
またSEOを行ってから結果が出るまで時間がかかることもデメリットの1つです。
クロール、インデックス、ランキングの流れを理解する
検索エンジンはユーザーが求めているキーワードに対して適切な答えを返すために改善を繰り返しています。Web上の情報を収集し、集めた情報を整理してデータベースへ格納する、というのが検索結果を返すための準備です。
この流れをクロール、インデックス、ランキングといいます。
1.クロール
2.インデックス
3.ランキング
の順序は不変です。
クロールに問題があればインデックスされずランキングはされません。インデックスされていなければランキングはされません。何かSEOで問題が起こった際は、この順序を思い出し、どこに問題があるのか?を確認するようにしてください。
SEOの技術的な施策の多くはクロールされやすいサイトにして、適切なインデックスを生成してもらい、検索ユーザーに露出してもらう準備をすることです。Googleのクローラは常に新しい情報を求めており、インデックスにも膨大な情報が記録されています。クローラの仕組みや好みも知ることでSEOはやりやすくなります。
引用元:情報の整理 – Google 検索の仕組み
SEOを進めるための流れ
SEOを進めるための流れを3つのフェーズで解説します。最後の分析フェーズまで進んだら、その結果を元にまた改善や追加、制作を繰り返す、というのがSEOの一連の流れです。
1.準備や調査フェーズ
2.準備や調査を元にした改善追加・情報発信フェーズ
3.結果を確認する分析フェーズ
1.準備調査フェーズ
検索ユーザーの理解
・検索ユーザーはどういう状況で検索を行うのか(検索意図)調べる
・なぜ、その情報やサービスが必要なのか調べる
調べる人の目的な置かれている状況が仮説レベルでも構築できていれば、先回りしてコンテンツの質も高めることができます。カスタマージャーニーマップを準備するなどしてユーザーの状況を整理することもおすすめです。
ユーザーの調べるキーワードをサジェストキーワードなどから把握し、マインドマップなどを用いてキーワードマップ化してみるといいでしょう。
参考:検索意図(インテント)とは?SEOに大切な考え方と調べ方
参考:キーワードマップの作り方
自分たちの強みや専門性の理解
Googleやユーザーから評価されやすい情報を把握する意味でも強みや専門性の理解は重要です。GoogleはE-E-A-Tと呼ばれる要素を検索品質評価ガイドラインに組み込んでいます。
E-E-A-Tとは、
- Experience(経験)
- Expertise(専門性)
- Authoritativeness(権威性)
- Trustworthiness(信頼性)
の頭文字をとったものです。
自分たちの専門性や強みを理解することは、自分たちが評価されているE-E-A-Tをある程度予測しながらSEOを行うことに繋がります。外部から知るのは難しいのですが、Search Consoleでキーワードの傾向を調べたり外部からのリンクや言及を調べると傾向が見えることがあります。
競合他社の理解
競合サイトや競合他社を正しく理解することも欠かせません。事業上の競合ばかりみていて、Web上の競合に気づかない、、、なんてことになると意味がありません。
- 競合サイトがどこなのかを決める
- 競合サイトの中身を把握し、コンテンツマップ(キーワードマップ)を作る
- 競合他社が評価されていそうなキーワードで検索してみる
- SNSなどで評判をチェックしてみる
あたりを行いどのような評価をされているのかをチェックしてみることをオススメします。
参考:無料でできる競合サイト分析の7ステップ!SEOにも使える調査方法
キーワードの理解
先程例にだした以下の検索キーワードで、実際に検索結果を見てみてください。
- プロテイン おすすめ
- プロテイン 効果
→どういった情報が並んでいるのか?
→何故そういった情報やトピックが出てきているのか?
→どんなサイトの情報が表示されているのか?
をチェックします。
そのキーワードで検索上位表示できる可能性も見極められると、可能性の低い施策を避けることにも繋がります。
検索上位が大手企業ばかりだったり、公的機関ばかりであると、自社サイトが入り込む余地がなかったりします。また、ビッグキーワードと呼ばれる1フレーズのキーワード(「SEO対策」「オウンドメディア」などの1語)は多くのサイトが狙っていることもあり、入り込みにくかったりします。
2語、3語のロングテールキーワードを狙ってみたり、ニッチだけれども自社の顧客が検索しそうなキーワードを探すなど、キーワードの調査と理解を行います。
2.準備や調査を元にした改善追加フェーズ
検索ユーザーやキーワードにそった現状のページの改善とコンテンツの追加
カスタマージャーニーや自社の強みの把握、競合サイトの調査から改善箇所を決めて施策化します。
- 競合他社よりも順位が負けているキーワードでのページ改善
- 自社に存在しないが競合他社が持っているコンテンツの追加
- 検索ユーザーの状況から足りないコンテンツの追加
コンテンツマーケティングに取り組むのもこのフェーズになります。コンテンツマーケティングの手順や事例は下記を参照してください。
▶成功するコンテンツマーケティングとは? 手順、事例をわかりやすく、簡単に解説
3.結果を確認する分析フェーズ
施策した結果の確認と分析
サイト内の改善やコンテンツマーケティングなど、SEOのために取りんだ結果を確認します。どこが評価されたのか?どういったキーワードで評価され、どういったキーワードが評価されなかったのか?をチェックし、改善や新しい情報の追加を行うための計画を立てます。
検索エンジンの仕組みを知り、施策を正しく実行することで初心者から経験者へ
SEOの概要解説と検索エンジンの仕組みをメインに解説しました。SEOに関しては流れを解説し、細かな各論は別の記事で詳しく見ていただけるようにしています。
特にカスタマージャーニーやコンテンツマーケティングについては、SEOにおいても重要です。どちらもSEOを俯瞰し、SEOの流れを理解し成功させるためには避けて通れません。
テクニックで上位表示できる時代があったことで、眉唾な情報も含めて多くの情報が混在しているのが現在のSEOです。検索エンジン、ユーザー、市場を理解し、マーケティングの一環として取り組むのが最も事業へ貢献できる可能性が高くなります。
私はSEOの専門家として独立し10年近くなりますが、独立後の10年だけでもSEOに取り組む企業のレベルは上がったと感じています。また参入する企業も多くなり、特にコンテンツに関しては供給過多の状況もあって、ユーザーに届けるのが難しくなってきています。
SEOがテクニックで上位表示する時代を経て、ユーザーニーズやコンテンツが重要視されるようになったこともあり、今現在、古く間違えている情報も多く残っています。この記事を読み、実際にSEOを実践して初心者から実践者になっていただけると大変うれしく思います。
Faber CompanyではWebサイト改善の無料相談も受け付けています。ユーザービリティ向上についても承っていますので、お気軽にご相談ください。