オウンドメディアは自社で運営するメディア(ブログやSNS)の総称で、集客は重要です。特にブログの場合、SEOによる集客と相性が良い場合が多いため、適切に取り組むことでオウンドメディアの情報をユーザーに届けやすくなります。
この記事ではオウンドメディアを立ち上げる際に必要なことや、決めるべきこと、実際に運用する際の注意点、SEOのポイントについてまとめました。自社のオウンドメディアに当てはめて考えつつオウンドメディアのSEOが成功するために必要なことについて理解していただければ嬉しいです。
目次
出版社、学校法人広報、SEOベンダー企業を経て2013年に個人事業主として独立し2015年に法人化。9年間SEOコンサルティングのみで事業継続。マーケティング戦略立案、担当者育成やブランドマネジメントなども行う。数社のマーケティング顧問やアドバイザーとしても活動。
オウンドメディア構築の目的の設定
まずは目的をしっかりと決めることが重要です。
なぜオウンドメディアの運営をするのですか?の答えが目的です。もし集客が目的の場合、他の集客施策と比べてオウンドメディアでなければいけない理由も考える必要があります。集客施策は様々あるので、広告による集客でもプロモーションによる集客でも良いはずです。集客施策には得意不得意があります。
特に、オウンドメディアによる集客は直接的な売上になりにくいでしょう。コンバージョンに直結しないことも多いため、オウンドメディアで(短期的に)売上を上げたい!という目的だと、ほぼ間違いなく失敗します。
それでもオウンドメディアを必要な理由が、オウンドメディア構築をする目的です。たとえば売上に直接貢献しにくいけれども、サービスを検討するより前の段階にあるユーザーとコミュニケーションを取る手段としてオウンドメディアは有効です。また、製品に込めた想いをしっかりと伝えて信頼を勝ち取る、という点でオウンドメディアは効果的です。
他にも、オウンドメディア自体を好きになってもらうことで、運営している企業・サービスを好きになってもらう、ファンになってもらうことや、自社のサービスを使ってくれている方に継続利用してもらえるような情報を伝える、といった点はオウンドメディアが得意なところです。
- 信頼構築
- ファン化
- 潜在顧客への接触
といった点が目的に組み込まれているのであればオウンドメディアは有効な手段になりやすいです。改めてオウンドメディアの目的を確認してみてください。
オウンドメディア運用のための仕組みの構築
実際にオウンドメディアを運用するためにはいくつか準備が必要です。
オウンドメディアの制作やシステムの構築
まずはオウンドメディア自体の構築が必要です。自社サイトの一部にブログのような機能を付与するのであれば、CMSの導入も必要となります。
ミエルカジャーナルはミエルカのオウンドメディアです。
https://mieru-ca.com/blog/
のようにミエルカのドメインに/blog/
というディレクトリを構築しWordPressを導入しオウンドメディアを展開しています。基本的に自社サービスや保有するドメインの中で構築することをおすすめします。
参考:SEOを成功させるためにドメインと評価方法・関係を理解する
どういった情報を発信するのか
どういった情報を発信するのか、これもきちんと決めないと頓挫してしまいます。素晴らしい目的があり、オウンドメディアのシステム設計をしても情報が発信されなければ訪問者は増えません。
何もないところから漠然と発信する情報を決めるのは非常に難しいので、最初は思いついたキーワードで検索してみたり、サジェストキーワードや関連キーワードを探ってみることをおすすめします。
他にも
- SNSで検索してみる
- Q&Aサイトからニーズを探ってみる
- ユーザーインタビューをしてみる
- 社内で他のスタッフに相談する
など、思いつき、検索、キーワード関連ツールなどを活用しユーザーニーズを探ってみてください。発信する情報がある程度見えてきた段階で、徐々にターゲットとなるユーザー像も固まってくるかと思います。出てきたキーワードを検索意図ごとに整理して、キーワードマップを作成しておくと今後のテーマ管理としてもよいでしょう。
誰に情報を発信するのか
発信する情報が固まってきた段階で、その読み手はどういうユーザーなのか?を想像します。誰に対する情報発信なのかを想定することで、
- コンテンツ内で使う言葉の選び方
- なぜユーザーは検索したのか?という検索の背景(=検索意図)
- その情報で何を解決したいのか?という読後のゴール
を決めることができます。どういった情報を発信するのか?とセットで誰に向けて発信するのかも考慮することで目的の達成がしやすくなります。
どういう体制でコンテンツ制作を行うのか
コンテンツ制作は非常に手間と時間がかかります。発信する情報やユーザーが決まった後にコンテンツ制作が必要となりますが、その体制を決める必要もあります。
全て社内で行うのか、外部ライターや編集者にもサポートを依頼するのか?といった点も考慮する必要があります。外部ライターを活用した場合の一例としてミエルカジャーナルのパターンを紹介します。
◆ミエルカジャーナルの一例◆
ミエルカジャーナルの場合、私(伊藤公助)は外部ライターとなります。
赤:外部ライター(伊藤公助)の対応範囲
青:ミエルカジャーナル担当者対応範囲
ここから実際の記事コンテンツ制作の流れになります。
このような手順を踏んでいます。SEO関連の情報をSEOの専門家が執筆しているので、テーマの選定から執筆、修正までライターが対応できます。
専門家でかつ文章がある程度書けるライターが確保できるのであれば、オウンドメディアの目的を伝えて、あとはお任せする方法でも記事コンテンツの継続的な更新は可能です。コストはかかりますが運用負荷としては低くなります。
もし外部のライターへ依頼する場合、ライターの業界知識や文章力、リサーチ力によって任せられる範囲が変わります。どこまで対応してもらえるのか?という点を決めた上で社内で行う範囲と依頼する範囲を決める必要があります。
全てを社内で行うことも可能ですので、リソースや費用と相談の上、コンテンツ制作の体制の構築を行ってください。いずれにしても継続的な情報発信ができる状況を構築することが重要です。
参考:優秀なライターさんの探し方!スカウトするときに見極めるべきポイント
外部委託する場合、その範囲と責任の所在は
ミエルカジャーナルの例で説明しましたが、私が対応する範囲とミエルカジャーナル担当者が社内で対応する範囲が決まっています。
責任の範囲も対応する方がそれぞれ責任を負っています。ただし、公開されている情報のファクトチェックはオウンドメディア担当者が行う必要があります。
ライターが間違えた情報を書いてしまっていて、それをオウンドメディア担当者が見逃してアップしてしまった場合、その責任はライターではなくファクトチェック漏れを起こした担当者の責任となるでしょう。
オウンドメディア運営企業として発信する情報への責任から逃れることはできませんので、情報の正確性の担保だけはしっかりと行うようにしましょう。自分たちの事業範囲外や、全く知らないジャンルの情報を公開する、というのはリスクが伴います。その点は注意するようにしてください。
効果測定と改善
コンテンツを定期的にアップできる体制ができた後に必要なのは効果測定です。GoogleAnalyticsやSearch Consoleなどのツールでアクセス数や流入キーワードの状況をチェックします。検索順位計測のツールもあれば、競合サイトも含めた順位比較やファインダビリティスコアで競合サイト分析も可能です。
目標となるキーワード以外にも評価されているキーワードをチェックしたり、逆に思ったほど成果が出ていないキーワードやコンテンツのテコ入れを行う必要もあります。
ヒートマップツールなど、ユーザー行動がわかるツールの導入が可能であれば、ユーザー満足度の仮説を立てたり課題を見つけることもできるかもしれません。SEOツールも活用すれば改善ポイントも発見しやすくなるでしょう。
基本的にはリライトや再編集を行うことで成長していくので、効果測定と改善を繰り返して目的達成を目指してください。
参考:リライトとは? SEOを意識した記事の改善方法・優先度・リスク
この時点でオウンドメディアのコアとなるSEOの解説は完了
ここまで読み進めてオウンドのSEOについて何も解説していないように感じませんでしたか?実はコアとなるSEOの解説は既に完了しています。
オウンドメディアのSEOで最も重要なのはコンテンツです。コンテンツをデリバリーの手段として活用し、検索を通じて届けるのがSEOのコアとなります。
ここまでに解説したコアとなるSEOを中心に要素を抜き出してみます。
- サービスサイトと同一のドメインでオウンドメディアを展開する
- ユーザーニーズを探る
- ユーザー像(=ペルソナ)を固めユーザーに合わせた言葉を使う
- 適切な図表を使って読みやすくする
- 記事コンテンツのゴール(コンバージョンポイント)を決める
- 自分たちの事業範囲でコンテンツを更新する
- 正しい情報を発信する
- 関連する情報への内部リンク
- 効果測定をして継続的なコンテンツの改善を行う
これらの要素が高いレベルで達成できていればオウンドメディアの運営を継続することで一定の成果が出る可能性が高いです。
それ以外に注意するポイントとしては
といった点です。可能であれば
- 外部パートナーを巻き込む
- SNSとの連動やシェアを促す
- アーンドメディアへの掲載も狙う
辺りができれば尚良いです。この記事で解説したコアな部分のSEOが考慮できていれば、中長期で運用することで徐々にSEOの成果が出ている可能性が高いのではないでしょうか。
参考:SNSマーケティングとは?やり方や戦略の立て方を事例を交えてわかりやすく解説
オウンドメディアのSEOで注意すべき要素
最後にオウンドメディアのSEOについての注意点をまとめておきます。
大前提として、SEOはどんなに適切に行なったとしても成果が出るまで時間がかかります。効果測定が必要な状況になるのは早くても半年後くらいから、という可能性もあります。
半年から1年が経過するまでは、とにかく手数を増やして情報発信を続けるしかありません。時間コストを計算し、オウンドメディアで成果が出るまで継続するのが困難である場合、オウンドメディアの運営は避けた方が良いです。
もう1点はGoogleがYMYL(Your money or Your life の略)の情報に関して、かなり厳しく検索上位に表示するページを選別している点です。医療や健康、金融や法律など、誤った情報が拡散されることで悪影響が出やすい領域においては、自然検索からの流入が増えにくくなる可能性もあります。
自社の事業領域であればYMYLに抵触する情報でも評価される可能性はありますが、YMYLに抵触する領域の場合、SEOは難しくなる、と覚えておいてください。また、YMYL領域だけでなく、あらゆる領域において「そのコンテンツにE-E-A-Tが感じられるか、という観点は欠かせないポイントですので制作時には意識してほしいです。
Faber CompanyではWebサイト改善の無料相談も受け付けています。ユーザービリティ向上についても承っていますので、お気軽にご相談ください。